金融工学について解説した動画の第1弾です。
最初テーマは「デリバティブ(金融派生商品)」。
デリバティブって何?と思う方はぜひご覧ください。
金融工学とは
金融工学とは、数学的理論を基にして金融市場の動きや金融商品の価値を理論的に分析し、理解するための学問分野です。
金融市場における取引やリスク管理など、お金の動きを支える数学的なロジックを研究することが主な目的です。
デリバティブとは
デリバティブは、株式や債券などの基礎となる資産に基づいた金融商品で、価格変動を利用して利益を得るために使われます。
デリバティブは、株価の値動きだけに注目し、実際に株を所有しなくても取引が可能です。
例えば、株式投資の場合、保有している株式が上昇したら利益が得られます。
しかし、利益を得るためには事前に株式を購入するための資金が必要です。
例:株価1000円の株を100株保有していて、株価が1100になった場合、1万円の利益が出ます。
しかし、1万円の利益を得るために10万円の投資をしておく必要があります。
これに対してデリバティブ取引は差金決済が基本です。
先ほどの株式の例でいれば、最初の株式購入分の10万円は不要で、実際の値幅による生じる損益の差分だけを支払ったり受け取りすることができます。
デリバティブの具体例
先物取引
デリバティブの具体例としては、先物取引が挙げられます。
投資家は、将来の価格変動に注目して、株を「買った」または「売った」とみなして先物を購入し、その価格変動から生じる利益または損失を受け取ることができます。
FX
FXも典型的なデリバティブです。
FX業者に証拠金を支払って取引することで、実際に外貨を購入することなく、為替レートの変動によって生じる値幅分だけの損益を受け取ることができます。
CFD
FXは外国為替を利用したデリバティブですが、CFCは個別株、インデックス、コモディティなど多岐にわたるデリバティブです。
考え方としてはCFDの中の為替版がFXになります。
デリバティブのメリット
デリバティブのメリットとして以下の5つが挙げられます。
- リスク管理
- 投機
- アクセスとコスト効率
- 収益性向上
- 市場効率の向上
リスク管理(ヘッジング)
デリバティブは、不確実な市場の条件下で価格変動リスクから資産を保護するために使用されます。
例えば、農家が未来の作物価格の下落リスクを避けるために先物契約を利用することができます。これにより、価格が下がった場合でも事前に決めた価格で作物を売ることが保証されます。
投機
投資家はデリバティブを使用して市場の動きから利益を得ることができます。
たとえば、株価が将来上昇すると予測される場合、オプション契約を購入しておくことで、実際に株を購入するよりも少ない初期投資で大きなリターンを得ることが可能です。
アクセスとコスト効率
デリバティブは、直接資産を購入することなく市場へのエクスポージャーを提供するため、より少ない資本で多くの市場にアクセスできます。例えば、株価指数に連動するオプションや先物を通じて、その指数を構成する全株を購入することなく、全体の市場動向に投資することができます。
収益性向上
デリバティブを使用することで、ポートフォリオの収益性を向上させる戦略を構築することができます。例えば、オプション売買を通じて保有資産から追加の収入を得ることが可能です(カバードコール戦略など)。
市場効率の向上
デリバティブ市場は、価格発見プロセスを助け、市場の透明性と効率を向上させます。市場参加者はデリバティブを利用して、資産の本当の価値や将来の価格動向についての情報をより良く理解できます。
知っておきたい専門用語集
- 金融工学:金融市場の動きや金融商品の価格を、数学や統計学を用いて分析し、理論的に解明する学問領域
- デリバティブ:基礎となる資産(株式、債券、商品など)に依存する価値を持つ金融商品。価格変動を利用して、投機やヘッジ(リスク回避)に用いられる
- 先物取引:将来の特定の時点で資産をあらかじめ決められた価格で売買する契約。価格の変動リスクから保護する目的で利用されることが多い
- リスク管理:潜在的な損失の可能性を予測、評価し、その影響を最小化するための戦略やプロセス
- ヘッジ:投資リスクを軽減または除去するために行う取引。不確実な損失に対して保護を提供する
- レバレッジ:借入金や他の金融手段を用いて、投資の潜在的なリターンを増加させること。高リスク高リターンの取引が可能になる
- 投機取引:価格の変動から利益を得ることを目的とした取引。高いリスクを伴うが、大きなリターンの可能性もある
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