この記事は「We Are About To Suffer WORSE Than I Thought… — Richard Wolff’s Last WARNING」という動画を基に執筆しています。
経済学者リチャード・ウルフ教授が、トランプ前大統領の関税政策やアメリカ政治の現状を踏まえ、世界経済と民主主義が直面する深刻な危機について語った内容を整理しました。
結論:関税は「帝国の末期症状」を示している
ウルフ教授の主張をまとめると、トランプ政権の関税戦略や劇場型政治は、アメリカが「帝国としての支配力を失いつつある」ことを隠すための演出に過ぎません。
短期的には政治的パフォーマンスで支持を得られても、根本的な経済問題や国際秩序の衰退を食い止めることはできない、むしろ悪化させる危険があるというのです。
トランプの関税戦略 ― 「民主主義」ではなく「独裁的宣告」
ウルフ教授は、トランプによる関税発動を「独裁的な一方的宣告」と批判します。
通常、世界経済に影響を与えるような政策は国際的な協議や合意を経て行われるべきですが、トランプは他国に相談せずに関税を決定しました。
その結果、世界180カ国以上が影響を受けることになり、各国政府は国内の経済問題を「アメリカのせい」にできる口実を得ました。
ウルフ氏はこれを「保護料を要求するマフィア」に例え、世界からはアメリカが「ならず者国家」として見られ始めていると警告しています。
背後にある「利益構造」 ― グリーンランドとレアアース
ウルフ氏は、米国のテック業界やトランプ支持の大口献金者がグリーンランドの資源開発に関与している点も指摘しました。
AIやIT産業に不可欠なレアアースを求め、グリーンランドで採掘権を確保する企業に資金が流れているのです。
つまり「対中関税」や「強硬外交」は、表向きは国益を守る政策に見えても、実態は一部企業の利益誘導の側面が強い、と批判しています。
アメリカ経済の限界 ― 高賃金と市場停滞
なぜ米企業は中国に生産拠点を移したのか?
理由はシンプルで「米国内の賃金が高すぎる」「市場成長が鈍化している」ためです。
トランプは「工場をアメリカに戻せ」と叫びましたが、経済合理性を考えれば不可能です。
企業は低賃金かつ市場拡大が見込める地域に投資するのが資本主義の本質であり、関税で強制しても根本的な構造は変わりません。
同盟国との摩擦 ― カナダ・メキシコを敵に回す愚策
ウルフ氏は「カナダやメキシコのような同盟国まで敵扱いするのは自滅的」と強調します。
例えばカナダは木材や電力を米国に大量に輸出していますが、もし25%の関税がかかれば米国内の住宅建設コストが急騰し、賃貸価格も跳ね上がります。
さらに、カナダやメキシコが輸出先を中国に切り替える可能性も指摘しました。
冷戦期のように「アメリカが命じれば世界が従う」時代は終わっており、他の選択肢を持つ国々に強硬政策は逆効果になるのです。
アメリカ国内の異常 ― 政治弾圧と民主党の失速
ウルフ氏は、経済だけでなく政治の劣化も深刻だと語ります。
反イスラエル活動を理由に留学生のビザを取り消す、大学が政府に協力して学生情報を渡すなど、表現の自由を侵害する動きが進んでいると指摘しました。
また、民主党は「事実上死んでいる」と断言。バイデンも影が薄く、党内は分裂状態。共和党も同様にトランプを巡って分裂しつつあり、二大政党制が限界を迎えているとの見方を示しています。
帝国の衰退 ― 過去の歴史との類似
ウルフ氏は「帝国が衰退する時の典型的な症状」を現在のアメリカに重ね合わせます。
- 国内政治の分裂と相互攻撃
- 同盟国の切り捨て
- 社会保障費削減と格差拡大
- 見せかけの政策(劇場型政治)で国民の不満をそらす
これはローマ帝国や他の大国の衰退期と酷似しており、アメリカもその道をたどっていると警告します。
中国との比較 ― 成長率の差が鮮明に
国際通貨基金(IMF)のデータによれば、2024年のGDP成長率はアメリカが2.7~2.8%、中国が5%。
この差は縮まるどころか広がっており、ウルフ氏は「米国は中国の台頭を止められなかった」と断言します。
帝国の交代は歴史的に繰り返されてきましたが、アメリカもまたその流れにあるというのが氏の見立てです。
まとめ:劇場型政治の裏で進む「帝国の終焉」
リチャード・ウルフ教授の警告は明確です。
関税や強硬外交は一時的な政治パフォーマンスに過ぎず、アメリカの衰退を覆い隠すだけ。根本的な経済再生策や新しい国際秩序への適応がなければ、衰退は不可避だということです。
- アメリカはもはや「命令すれば世界が従う」国ではない
- 同盟国との関係も摩耗し、他国には中国という選択肢がある
- 二大政党は腐敗し、帝国の末期症状が進行している
- 見せかけのパフォーマンス政治が続く限り、衰退は加速する
教授は「アメリカは否認の段階にあり、問題に正面から向き合えない」と結論づけています。
つまり、最悪の事態はこれから始まる、という警告なのです。
コメント