「新しい保守」が支持される理由とは?参政党と日本保守党の台頭を読み解く

※本記事は、YouTube動画「なぜ『新しい保守』支持される?/参政党の躍進・日本保守党の議席獲得/両党の違い/自民党の中道化/現役世代の経済不安/『外国人問題』の広さ/ライトな外国人嫌悪【PIVOT TALK】」の内容を基に構成しています。

目次

結論:参政党の躍進は3つの要因で説明できる

2024年の参議院選挙において、「新しい保守」を掲げる参政党が14議席を獲得し、まさに「躍進」と言える結果を出しました。また、日本保守党も一定の支持を集めました。

この「新しい保守」政党が支持を得た背景には以下の3点があります。

  1. 現役世代の経済的困窮
  2. 自民党の中道化による「右の空白」
  3. 無党派層の期待と“勝ち馬効果”

それでは、それぞれの要因について詳しく見ていきましょう。


現役世代の苦境が支持の原動力に

出口調査によると、支持層の中心は40〜50代の現役世代です。彼らは賛成党の掲げる「日本人ファースト」というスローガンに共感しました。

なぜ共感が生まれたのか?

  • 実質賃金は過去3年間ほぼ常にマイナス
  • 生活が苦しい中、外国人やグローバル化を“わかりやすい敵”とする説明に納得する人が多かった。
  • スローガンにより、「自分たちの困窮の理由が可視化された」と感じられた。

このような背景から、「外国人問題」が選挙の争点として浮上しました。


「外国人問題」はなぜ多くの人に刺さったのか?

「外国人問題」と一口に言っても、以下のように人によってイメージする内容が異なります

層・立場外国人問題として感じる内容
京都の住民オーバーツーリズム問題(観光公害)
製造業従事者産業の空洞化(中国資本への不満)
保守層移民の増加による文化的変容の懸念
地元住民外国人ドライバーによる事故や騒音

この多様性が、「日本人ファースト」という抽象的だが多くの人が共鳴できるスローガンに収束した要因です。


自民党の中道化が「右の空白」を生んだ

自民党は2012年の第2次安倍政権以降は保守色を強めていましたが、その後の菅政権・岸田政権・石破政権と続く中で中道化が進み、右側の支持層が行き場を失いました。

  • 自民党よりも右の政党がこれまでなかったため、自民党が保守層を「一手に引き受けていた」。
  • 中道化により、「右の右」が空白となり、その空間に参政党や日本保守党が入り込んだ。
  • 特に参政党は、意図的にその空白を狙って立ち位置を決定したと考えられます。

無党派層の期待と“勝ち馬効果”

日本の有権者の3〜6割は無党派層と言われており、今回の選挙でも多くの無党派票が参政党に流れました。

  • 勢いのある政党に投票する傾向が強く、メディア露出などで支持が加速。
  • 「自民党も嫌、野党も嫌」という人々が**“第三の選択肢”**として参政党を選んだ。
  • 実際に党員数は約6万人、全国支部展開、地方議員の活動量も多いことから、強い組織力が背景にあります。

参政党と日本保守党の違い

特徴参政党日本保守党
イデオロギー性柔軟(戦略的に変化)硬直(安倍路線を継承)
主張の一貫性変遷あり(反ワク→日本人ファースト)安定的(伝統・憲法改正など)
組織体制全国展開、支部・地方議員多数限定的、全国組織は弱い
支持層無党派層含む幅広い層主に安倍元首相支持層

海外の右派ポピュリズム政党との共通点と相違点

共通点

  • 経済政策は保護主義・財政拡張主義(減税・バラマキ型)。
  • 社会政策は反リベラル的(伝統的家族観、外国人排除など)。

相違点

  • 日本の外国人排除論は「ライトなもの」であり、過激性は低い
  • 欧州では移民人口が10%以上だが、日本は3%未満
  • 犯罪やテロなどの外国人トラブルも日本では少なく、主張の“現実味”は乏しい。

ポピュリズムの構造:反エリート主義

ポピュリズムとは、「今の政治・経済・文化のエリートが悪い」とする反エリートの思想です。

  • 与党や既存野党が賛成党の主張を取り込むことで、争点化が進行。
  • かつての欧州の右派政党も、既存政党に主張を吸収され、現実路線に転換。

日本でも今後、他の政党が「外国人問題」を取り込む可能性が高いです。


今後の見通し:中道化 or 急進化?

  • 賛成党が中道に寄って大衆支持を維持するか。
  • 逆にさらに急進化し、他政党を“右側”へ引きずり込む可能性も。
  • 特に「外国人問題」のような“価値論争”では過激な主張の方が支持されやすい傾向があります。

まとめ:参政党の登場は日本政治の転換点となるか

2024年参院選における参政党の躍進は、現役世代の経済的困窮、自民党の中道化、無党派層の動向という3つの要因に支えられたものでした。

「新しい保守」は、海外のポピュリスト政党と同様に、分かりやすい敵(外国人・エリート)を示すことで共感を得て支持を広げていると言えます。

今後、他政党がこの流れにどう対応していくのか、そして「日本人ファースト」がどこまで社会の中で議論されるのかが、日本の政治の新たな争点になっていくことは間違いありません。

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