2025年4月、トランプ元大統領の「全世界関税引き上げ」発表によって株式市場は大きく動揺し、一部では「ブラックマンデー再来か?」との懸念も広がりました。
この記事では、「なぜトランプ氏は株価が下がるリスクを承知で、あえて関税を強行するのか?」について、5つの理由を中心に解説していきます。あくまで一部に憶測も含まれますが、米国政治と経済のダイナミズムを知る上で、非常に参考になる内容です。
1. 理由① 製造業の復活と雇用回帰のため
トランプ氏の支持基盤は、白人労働者層と言われています。この層に響くスローガンが「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」です。
その中心施策が「関税強化による製造業の国内回帰」。関税を高く設定すれば、海外の企業はアメリカでの販売が不利になります。結果として「ならアメリカで工場を建てて現地生産しよう」という流れを促す、という狙いです。
しかし実際はどうか?
- アメリカは人件費が高く、土地も高額。
- 工場建設には数年単位の時間と巨額の初期投資が必要。
- 即効性はほぼなし。
- 関税引き上げによって起こる物価上昇(インフレ)の方が先にくる。
実際に報道では、関税の影響で年間約30万円もアメリカ国民の生活費が増えると指摘されています。つまり、雇用が戻る前に生活が苦しくなるという逆転現象が起きる可能性があるのです。
2. 理由② 関税による歳入増加と財政再建
関税は政府の収入源でもあります。特にトランプ氏は財政赤字や貿易赤字を問題視しており、関税強化によってこれらを減らしたいという意図があります。
しかし、ここにも大きな問題があります。
誰が関税を支払っているのか?
- 輸入企業(アメリカ企業)が関税を負担
- 仕入れ価格に関税分を上乗せ
- 最終的にアメリカ国民が高い商品を買わされる
この流れで、消費が冷え込み企業の売上が減少 → 経済全体が悪化する可能性があります。また、海外企業が米国市場から撤退する動きも出てきており(例:メルセデス・ベンツの一部車種)、結果的に歳入も減るリスクがあります。
3. 理由③ 外交カードとしての関税
トランプ氏は関税を「交渉の武器」としても使っています。
実際、過去には関税をちらつかせることで、メキシコやカナダから国境警備強化などの譲歩を引き出した実績があります。
しかし、これは非常にリスクの高い戦略です。
- 相手国がすべて交渉に応じるとは限らない
- 中国はトランプの関税にすぐに報復関税を発動(2025年4月4日)
- 世界中から反発を受ければ「アメリカ対全世界」という孤立構図も
交渉力はありますが、多国間とのバトルはアメリカ経済にも跳ね返ってきます。
4. 理由④ ヒーロー像を演出するため(憶測)
「アメリカを外国から守る英雄」としてのイメージ戦略もあると考えられます。
- 「アメリカの利益を外国に奪われてきた」
- 「トランプがそれを取り返す」
こういったメッセージが特に感情的な層に響きやすく、指示者は強い指導者=トランプと見なすようになります。
2023年7月の銃撃事件にも屈しない姿勢は、まさにヒーロー演出の一環でした。トランプ氏はプレゼンテーション能力に長けており、演出力も政治戦略の一部として活用していると見られます。
5. 理由⑤ 株価の下落を意図的に作るため(憶測)
驚くべきことに、今回の関税強化が「株価操作目的だったのでは?」という見方もあります。
- 大統領令による関税発動は議会承認が不要
- つまりタイミングを完全にコントロール可能
- 完全な「サプライズ関税」で市場を混乱させることもできる
そして株価が下がれば、次に「関税撤回」や「緩和」をちらつかせて株価上昇を誘導することも可能です。
実際に3月下旬には、関税に対する「柔軟な姿勢を示す発言」だけで株価が上昇*しました。これを意図的に利用できるとすれば、非常に強力な市場操作の手段とも言えます。
まとめ:関税政策の背景には複雑な政治と経済の思惑がある
理由 | 内容 |
---|---|
① 製造業の復活 | 国内雇用回帰を狙うが現実性は低く物価上昇リスクあり |
② 歳入増加 | 一時的に税収は増えるが、国民がそのコストを負担 |
③ 外交カード | 交渉の武器として有効だがリスクも高い |
④ ヒーロー像演出 | 敵を作り、指導者としてのカリスマ性を強化 |
⑤ 株価操作(憶測) | タイミングを計り市場を動かす目的も? |
関税というのは単なる貿易政策に見えますが、実際には外交、政治、選挙戦略、経済操作など複数の目的が絡んでいます。
トランプ氏がこのまま再選を果たせば、アメリカだけでなく世界経済にも大きな影響を及ぼすのは間違いありません。
最後に:中長期投資家はどう動くべきか?
動画内で話されていたように、「私は中長期投資家として投資を継続する」という姿勢も非常に重要です。短期的な下落に一喜一憂せず、冷静に市場を見つめ、情報を武器に投資判断を下していきましょう。
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