2025年現在、世界の貿易に大きな衝撃を与える発表がありました。
アメリカのトランプ大統領(元大統領)が、「相互関税」という新しい貿易方針を打ち出し、世界中の国々に一律または国別に高い関税を課すと宣言したのです。特に、日本に対しては最終的に24%の追加関税をかけるということで、大きなニュースになっています。
本記事では、この「相互関税」の仕組みや、なぜ日本が24%という高い関税の対象になったのか、そして「非関税障壁(ひかんぜいしょうへき)」や「お米の700%関税」など、ニュースだけではわかりにくい用語や背景を、数字と具体例を使って初心者にもわかりやすく説明します。
結論:日本は実質24%の関税がアメリカからかけられる!
アメリカは、2025年4月現在、「まず一律10%の追加関税を世界中にかける」と発表し、その後、国別にさらに追加関税を課すとしています。日本に対しては、10%に加えてさらに14%を追加し、合計24%の関税になります。
- アメリカ時間 5日(日本時間6日):まず全世界に10%の関税
- アメリカ時間 9日以降:日本に対してさらに14%の関税
- 最終的に合計24%
つまり、日本の商品がアメリカに輸出されると、今までよりも24%も高い税金がかけられ、価格競争力が落ちるということです。
そもそも「関税」ってなに?
関税(かんぜい)とは、外国から輸入される商品に対してかけられる税金のことです。目的は主に以下の2つ:
- 自国の産業を守るため(安い外国製品が大量に入ってくると、国内産業が売れなくなる)
- 政府の税収として活用
たとえば、日本が海外から商品を輸入する場合、平均で3.7%の関税がかかっています。これが「輸入関税」です。
自動車産業への影響は特に大きい!
日本の主力輸出品である自動車は、今回の関税強化で特に大きな打撃を受けます。
今までの関税率(アメリカに日本車を輸出する場合):
- 乗用車:2.5%
- トラック(軽トラ含む):25%
今回の関税強化後:
- 乗用車:2.5% + 25% = 27.5%
- トラック:25% + 25% = 50%
つまり、アメリカ市場で日本車が25〜50%も高くなるため、販売数が減ることが予想されます。実際、アメリカでは関税引き上げ前の駆け込み購入が起きていたとのことです。
「非関税障壁(ひかんぜいしょうへき)」ってなに?
トランプ大統領は、日本が「実質46%の関税をかけている」と主張していますが、関税の平均は3.7%。この差の理由が「非関税障壁」です。
非関税障壁とは?
- 関税以外で、外国製品を国内で売りにくくするルールや仕組み
- 例:検査基準、ラベル表示義務、消費税など
日本の例:
- 日本は消費税が10%。アメリカから商品を輸入すると、消費税が10%かかる。
- これは関税ではないが、「価格が上がる=売れにくい」ため、アメリカは「非関税障壁」と主張。
ヨーロッパ諸国では付加価値税が19〜25%あり、同様に「非関税障壁」扱いされています。
また、日本の労働者の賃金が安いため、アメリカに安く商品を売れてしまうこと自体を「不公平」とし、「それも非関税障壁だ」とする主張も出ています。
「700%の米関税」は本当?
トランプ政権が「日本はアメリカの米に700%の関税をかけている」と発言したことも話題になりました。しかし、これは誤解を含む数字です。
実際の経緯と数字:
- 日本は戦後、米の輸入をほぼ禁止していた(国内の農家を守るため)
- 1999年から、WTO(旧GATT)ルールにより輸入義務が発生
- 輸入米には341円/kg(=約778%)の関税がかかっていた
- しかし、一定量(ミニマムアクセス米)は関税ゼロで輸入する仕組みも導入
- 77万トンの輸入義務
- うちアメリカから34万トンが無税で輸入されていた
現在の税率の再計算(2013年度時点):
- 海外の米価格の上昇により、関税比率は約280%
つまり「700%」という数字は、古いデータや誤解を含んでいて、実態とは大きく異なるのです。
今後どうなる?日本が取るべき対応とは
今後、アメリカとの間で「交渉」が行われる可能性があります。
- まず10%の関税をスタートさせることで、各国に「アメリカの要求を飲め」と圧力をかける
- その交渉の中で、「追加14%の関税を避ける代わりに、何か譲歩せよ」という展開が考えられる
しかし、現時点では日本政府としては冷静に事実確認を進め、対話で解決を図るしかないという状況です。
まとめ
- アメリカは「相互関税」として日本に最大24%の追加関税を発表
- 自動車など主力産業への影響は大きく、特にトラックは50%の関税に
- 「非関税障壁」「700%の米関税」など、アメリカ側の主張には誤解や誇張も含まれている
- 日本は今後、外交交渉と事実確認を進めつつ、冷静な対応が求められている
このように、今回の「相互関税」の発表は、日本にとって経済的なインパクトが大きく、特に輸出企業への影響が心配されています。ただし、過去にも同様の外交的な駆け引きが繰り返されてきたため、今後の政府対応に注目していきたいですね。
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