結論:1000万円で年利約3.8%(税引前)のドル利息がもらえるが、落とし穴に注意!
ドル建ての債券、特に米国債は「クーポン(利息)を受け取ることで安定した収入を得られる投資」として注目されています。
でも実際、「1000万円分の米国債を買ったら、利息はいくらもらえるの?」と聞かれて、正確に答えられる人は少ないかもしれません。
このブログでは、「クーポン利率」と「購入価格(発行価格ではない)」の違いや、為替・税金・経過利子といった見落としがちな点も含めて、インカムゲインの仕組みを初心者向けにわかりやすく解説します!
債券の利益は「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」の2種類
まず基本から確認しましょう。債券の利益は大きく2つに分かれます。
種類 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
インカムゲイン | 保有中にもらえる利息(クーポン) | 安定収入が魅力 |
キャピタルゲイン | 売却時の値上がり益 | 金利低下時に発生しやすい |
今回の動画では、インカムゲイン(利息)に注目して話が進みます。
今回のシミュレーション条件(債券A)
実際に1000万円で購入する債券(仮想的な米国債A)の条件は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
満期日 | 2052年5月15日(残り約27年) |
クーポン利率 | 年2.875%(年2回、5月15日・11月15日) |
購入価格 | 73.5ドル(額面100ドルに対して73.5%) |
格付け | S&PでAA評価(優良) |
購入先 | SBI証券(手数料込み) |
この「73.5ドルで買える」というのが最大のポイントです。額面100ドルの債券を割安で買える=将来の利息と償還金を「安く仕入れる」イメージです。
実際の資金の流れ(1000万円でいくら買える?)
為替レートを1ドル=152円と仮定すると…
- 1000万円 ÷ 152円 ≒ 65,788ドル分の債券を購入
- 額面価格ベースでは、88,000ドル分の債券が買えている(100に戻って償還)
つまり、将来88,000ドル返ってくる債券を、今は約65,000ドルで購入できている状態です。
でもちょっと待った!「経過利子」がかかります
債券を途中のタイミングで買うと、「経過利子」という追加コストがかかります。
たとえば…
- 次の利払いが5月15日
- あなたが買うのが4月中旬なら、すでに前回の利払いから「数ヶ月経過」している
- この分の利息を売り手に日割りで払う必要あり
動画の例では、経過利子が640.33ドル(約9万円)でした。
つまり、「表面上の支払額(65,788ドル)」から、経過利子(640ドル)を差し引いた実質の購入額は65,148ドル(約990万円)です。
では、インカムゲイン=毎年の利息はいくら?
ここで勘違いしやすいのが…
クーポン利率2.875% × 投資金額1000万円 ≒ 年利28.7万円
これは間違い!
債券の利息は額面金額ベースで支払われるので、正しくは以下の通りです:
- 額面:88,000ドル × 利率2.875% = 2,547ドル(年間)
- 2回に分けて支払われるので、1回あたりは約1,273ドル
- 円換算(152円)では → 約38万7,000円(税引前)
つまり、990万円で米国債を買って、年利3.8%相当の利息がもらえるというわけです。
手取りベースでは?(税引後)
アメリカの源泉税と日本の課税を合わせて、約20%前後が引かれると考えると…
- 年間インカムゲイン:約31万円前後
注意点① オーバーパー債券との違い
クーポン利率が高い債券は購入価格も高く、たとえば「120ドルで買うオーバーパー債券」では…
- 表面的に利息は多くもらえるが、
- 満期で100ドルしか返ってこない=キャピタルロスがある
- 結果、利回りは割高な分だけ下がる
つまり、クーポン利率と実質利回りは違うということをしっかり理解する必要があります。
注意点② 為替リスクとインフレリスク
- 為替リスク:損益分岐点は「1ドル=63円」
→それより円高ならトータルで損の可能性あり - インフレリスク:固定金利なので、将来インフレが進むと「実質リターン」は下がる
まとめ:米国債インカムゲインのポイント
ポイント | 内容 |
---|---|
利息の計算 | クーポン利率 × 額面(100ドル換算)で計算 |
実質購入額 | 為替・経過利子を加味した金額で把握 |
実質利回り | 額面に対する利息 ÷ 実質購入金額 |
投資判断 | 為替変動・インフレ・満期までの期間を考慮 |
まずは少額から「試し買い」を
今はネット証券を使えば100ドル単位でも米国債を買える時代です。
最初は勉強代と割り切って、小口で体験してみるのもおすすめです。
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