この記事は「【過度な現金保有避けて】米国株・ゴールドの残り3ヶ月でやるべき運用戦略を15厳選して解説」という動画の内容を基に、初心者にも読みやすいよう小見出しを増やして再構成したものです。要点は同じでも、箇条書きに頼らず、手順がすっと頭に入るように書いています。
結論を先に
現金は必要最小限、積立は止めない。株を中核、ゴールドをクッションに据え、年末までにリバランスと損益通算を淡々と済ませる。
来年の利下げやインフレ再燃など複数シナリオを作り、為替とセクターを微調整する。これだけで守りと攻めが同居する。
現金は保険。持ち過ぎはコスト
インフレ下の現金は時間とともに目減りする一方、暴落時に買い向かう弾薬でもあります。
動画では目安を5から10パーセントとし、それ以上は投資効率を落とす可能性が高いと指摘していました。
心配が拭えないなら、一部を金に置き換える選択もありです。金は現金より値動きがあるぶん、非常時の現金化でもリターンが残りやすいからです。
コアは米国株。クッションはゴールド
株と金は性質が違います。
株は成長を取りにいく資産、金は危機で買われやすい資産。
例えば株八〇・金二〇の配分で、株が一〇下げ、金が五上がる局面では、全体の下げはおよそ六に緩みます。毎回都合よく動くわけではありませんが、異質なもの同士を組み合わせると、ドローダウンの角が丸くなるのは歴史的にも確かです。
配分づくりは三行で終わる
- 配分を決める
- 乖離の許容幅を決める
- 幅を超えたら機械的に戻す
例えば目標が株75・金20・現金5、現状が株82・金13・現金5なら、株を七売って金を七買う。理由を探さず、予定通りに手を動かすのがコツです。
年末の二大タスクは税金とリバランス
投資は暦で区切られます。
年末までに、含み損があるなら一度売って損を確定し、年内の利益と相殺する。
いわゆる損益通算です。
利益五十万円と損失四十万円なら、課税対象は十万円まで圧縮できます。もし年間トータルが損なら、確定申告で三年間繰り越せます。これをやるかどうかで来年の手取りが変わります。
デュレーションは短く。長い債券は今は不利
債券価格は金利に敏感です。長期債ほど金利の変化に大きく揺れます。
見通しが読みにくい今は、超長期債よりも短期債を中心に据えた方が、想定外の金利変動に耐えやすい。長さを縮めるだけで、ポートフォリオ全体のブレは目に見えて小さくなります。
為替は「決め方」を決めておく
円高は外貨資産の評価額を押し下げ、円安は押し上げます。
ヘッジの有無は好みが分かれますが、迷うなら買い付けの濃淡で調整するのが実務的です。円高が進んだ月は多め、円安が進んだ月は少なめに、同じ銘柄を積み上げる。これだけでも長い目で平均コストは整います。
セクターは微調整。偏りは小さく削る
政治や地政学のニュースに一喜一憂するより、配分の偏りを一段薄くする方が確実です。
情報技術が四割に膨らんだなら、五ポイントだけヘルスケアやインフラに移す。巨大な入れ替えは要りません。小さな調整を積み重ねる方が、税金や取引コストの観点でも合理的です。
テーマ投資は「旬の追い風」を短く使う
利下げ観測が強まるとテックに資金が集まりやすい。
こうした流れに乗るのは有効ですが、コアにはしない。常に五から一〇の範囲で味付けにとどめ、上がれば機械的に利確し、下がればコアに資金を戻す。入る前に出口を決めておくことが唯一のルールです。
オプションは補助輪。まず仕組みを一枚だけ
急落の保険を低コストで用意するなら、指数に対する遠いプットの買いが基本です。
難しく感じるなら、まずは少額で仕組みを体験し、コストと効き目の感覚を掴む。慣れないうちは、保険料を取り戻そうとコールを売って複雑化しない方が安全です。
毎日・毎週・毎月の「見るもの」を固定する
情報の波に溺れないために、見る指標を決めます。
毎日は主要指数、米二年債利回り、ドル円、VIX、金価格。毎週は失業保険の新規申請と原油在庫。毎月は雇用統計と消費者物価。数字がしきい値を超えたら、事前に決めた調整をするだけ。感情で判断する余地を減らします。
積立は止めない。残枠は埋め切る
下がったら怖くて止め、上がったら欲が出て増やす。この逆張りこそが長期成績を悪くします。
積立は相場の機嫌と無関係に続ける。年内の非課税枠が残っているなら、月次設定を見直し、埋め切る段取りだけは前倒しで済ませる。ここは努力ではなく仕組みで解決します。
来年の三本シナリオを紙に書く
- 利下げが進んで成長株が主導する場合
- インフレが再燃して金とエネルギーが強い場合
- 同時下落で守りを固める場合
それぞれで株・金・現金の比率、買い増しや撤退の条件を書き、どれに近づいているかを毎月判定する。正解かどうかより、ズレの理由を言語化できることが、次の一手を確実にします。
失敗パターンは先に潰す
- 現金をため込み過ぎて機会損失
- 似た資産を増やして分散した気になる
- 長期債で金利変動をモロに被る
- テーマ投資をコアサイズに膨らませる
- 積立を相場の機嫌で止める
どれも避け方は明快です。配分表、リバランス幅、積立設定、そしてチェックする指標。全部を一枚のメモに落とし、年末までその通りに動く。やることは増やすのではなく、固定することです。
さいごに
年末は手仕舞いの季節ではなく、次の年の助走期間です。
現金は保険の分だけ、株は中核、金はクッション。
配分の乖離を戻し、損益通算で税を減らし、積立を続ける。ここまでができていれば、テーマやオプションのようなスパイスは、怖くない。派手さはないのに、着実に強くなる設計です。来年の相場がどちらを向いても、慌てずに一手が出せるはずです。
コメント