結論:米国・日本市場は「織り込み段階」、インドは相対的に堅調
トランプ前大統領による追加関税の発動とその後の90日延期をめぐり、株式市場は大きく動揺しましたが、現時点では悪材料の大半は織り込まれつつあると考えられます。
一方で、日本市場は企業業績への影響が不透明なまま調整が進行中。インド市場は米国への輸出依存が低いため、相対的に下落が限定的となっています。
目次
米国株の現状と今後の展望
市場の値動き(2025年4月第2週)
- S&P500:高値から約1%下落
- NASDAQ100:一時は高値から23%の大幅下落
- ダウ平均:一時16%の下落後、週後半に反発
トランプ関税の現状
- 発動済みの10%関税は継続
- 追加関税は90日間の延期
- 日本の自動車への関税も維持
これにより、米国政府は年間3500〜4500億ドルの税収増を見込むとされています。
米国債市場の懸念とQT停止の可能性
- 米財務省の預金口座(TGA)残高:約3600億ドルまで減少
- 債務上限引き上げ交渉中
- FRBのQT(量的引き締め):バランスシートはコロナ後から6.7兆ドルまで縮小
- 10年債利回り:わずか3日で0.5%超上昇
QT継続下でも米国債が売られ、債券市場クラッシュ=金融危機への懸念も広がっています。CPIが低下していることから、QT停止・利下げの可能性は高まっているとの見方が有力です。
日本株の現状と見通し
日経平均・TOPIXの値動き
- 日経平均は大幅に調整中
- TOPIXはレンジ相場を下抜け
日銀の動き
- 国債買入額は計画通りに減額中(市販機ごとに4000億ドルずつ)
- 2026年4月以降の買入れ計画も公表予定
- 次回の政策決定会合での利上げ可能性は低下
ただし、企業物価指数(CGPI)において輸入物価が減少する一方、国内物価が高止まりしており、6月会合で再利上げが検討される可能性は残っています。
企業業績の見通しと為替リスク
- 日経平均のPERが低下中だが、EPSが不透明
- 2025年度の企業計画(短観)では:
- 売上高:製造業・非製造業ともに増収予想
- 経常利益:非製造業が減益、製造業は増益
ただし、為替前提147円(2025年度)は円高リスクを含んでおり、さらにトランプ関税の影響は3月31日時点の短観には織り込まれていない。
市場予想と理論株価
- 野村證券:トピックスEPSを前年比+7%から-7%に過方修正
- MEX試算の理論株価:日経平均3万2000〜3万4000円が下限ライン
ここでトランプ関税がある程度織り込まれたと見るならば、4月7日の安値が一旦の底だった可能性もあります。
政策・需給面のポイント
- 日銀の利上げ観測が後退
- 信用買い残の減少
- トランプ関税による財政出動の可能性が高まっている
ただし、日本政府の対応が鈍く、交渉進展が見られない限り回復は遅れると予想されています。
インド株の現状と期待
ニフティ50(Nifty 50)の状況
- 政策金利は2会合連続で利下げ
- 金融政策のスタンスを中立→緩和的に変更
インド市場が堅調な理由
- 米国への輸出比率が低い
- 米中貿易摩擦の中でAppleなどがインド生産拡大
- 4月以降は季節的に上昇しやすい傾向あり
米国・日本と比べると下落幅も小さく、今後も底堅い展開が期待されるとの見通しです。
投資家が今できること:積立投資の継続が鍵
トランプ発言などで相場は今後も荒れる可能性が高いですが、NISAなどの長期積立投資では「時間分散」の効果が活きるタイミングです。
- 淡々と積立を継続する
- 短期トレードは慎重に、リスク管理を徹底
まとめ
地域 | 状況 | 今後の注目点 |
---|---|---|
米国 | QT停止と利下げ期待あり。国債増発リスクも | FRBの政策変更・債券市場の安定性 |
日本 | 為替前提・企業業績の不透明さあり | トランプ関税の進展と6月日銀会合 |
インド | 米中対立の回避先、金融緩和が追い風 | インフレと政策金利の動向 |
最後に:あなたの投資戦略はどう変えますか?
- トランプ関税をどう織り込んでいますか?
- 現在の市場で注目しているのはどの国・セクターですか?
ぜひコメントで教えてください。相場が荒れている今だからこそ、中長期の視点での戦略を立てることが求められています。
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