※この記事は、PIVOT TALKの動画「【iDeCo改悪説を検証】根源は最初の税制設計のミス/退職所得控除5年ルールの改正の仕組み/S&P500やオルカンへの集中投資にオタク会計士・山田真哉が疑問符」をもとに構成しています。
結論:今回のiDeCo「改悪」とされるルール改正は、“本来の制度設計のズレ”を正しただけ。ただし、制度を信じて加入した人にとっては「実質改悪」
最近話題となっているiDeCo(個人型確定拠出年金)の退職所得控除の「5年ルール」改正。これにより「iDeCoが改悪された」「出口課税が重くなる」との声が上がっています。
しかし、オタク会計士として知られる山田真哉さんはこれを「税制の設計ミスを正したにすぎない」と説明し、iDeCoの本質や制度の前提に立ち返って考える必要があると語ります。
改正のポイント:「5年ルール」が「10年ルール」に変更
以前の制度では、
- 60歳でiDeCoを一括受取
- 65歳で退職金を受取
といった時間差をつけることで、退職所得控除を両方に最大限適用できる裏技が存在していました。
しかし今後は、
- iDeCoと退職金の受取間に10年間空けないと、控除が重複適用されない
という形になります。
これは本来、iDeCo=退職金の代替手段として設計された制度において、同時に受け取るべきものがズレた結果、税制の歪みが生まれていたことを修正するものです。
なぜ今、改正されたのか?
背景には以下のような理由があります:
- 本来は「定年退職と同時にiDeCoを受け取る」前提だった
- しかし近年は企業の定年延長(65〜70歳)により、「60歳でiDeCo」「65歳で退職金」のパターンが普及
- その結果、退職所得控除が重複されて“過剰に非課税になる”ケースが増加
- 本来の税の中立性を保つために、ルールが是正された
つまり、税制の「抜け穴」を塞ぐ意味合いが強い改正です。
それでも「改悪」と感じる理由
とはいえ、多くの人がiDeCo加入時に「今の税制がこのまま続く」前提でシミュレーションしており、
- 将来の節税メリットを期待して加入
- 突然の制度改正に「裏切られた」と感じる
という心理的な面から「実質的な改悪」と捉えられています。
山田さんは「制度を信じて加入した人には申し訳ないけど、税制は30年後には変わるのが当たり前」と説明しています。
S&P500一択投資に疑問符?インデックス投資のリスクと分散戦略
動画後半では、S&P500やオルカン(全世界株式)に一極集中することのリスクについても議論されています。
時代は「経済力」から「軍事力」重視へ
- これまでは「経済成長国=投資先」とされていた
- しかし今後は安全保障や軍事力を背景にした「経済ブロック化」が進む可能性
- アメリカ中心 vs 中国中心 vs 第三極の出現
こうした視点から、「S&P500一本で30年積立する戦略は時代遅れになるリスクもある」と山田氏は指摘します。
時代に応じて「インデックスの形」も変わる
- 時価総額加重平均インデックス(例:S&P500やオルカン)は「ガーファム偏重」などの問題がある
- アメリカではすでに「均等配分型」や「アクティブ要素を含むインデックス」が登場
- 日本も数年遅れでこれらの新商品が入ってくる可能性がある
→「インデックス=放置でOK」という時代は終わりが来るかもしれない
iDeCoは「投資」ではなく「年金」だと再認識を
iDeCoはあくまで「年金制度の一種」であり、以下のような保障的側面もあります。
- 障害を負った場合の給付
- 死亡時の遺族への支給
- 老後の生活資金確保
NISAとの違いは「60歳まで引き出せない代わりに税制優遇が大きい」という点であり、「投資信託を使った年金積立」であることを理解することが大切です。
将来に備えて:制度の変更は前提、5〜10年ごとの見直しを
動画の最後では、
- 制度や世界情勢は20年〜30年スパンで大きく変わる
- 投資戦略も5〜10年単位で見直すのが現実的
- AIの進化により税計算や資産戦略も自動化されていく
といった将来展望にも触れられており、「制度を信じすぎない柔軟な資産形成」が求められる時代になってきていると締めくくられています。
まとめ:iDeCo改悪の本質と今後の資産形成のヒント
項目 | 内容 |
---|---|
改正内容 | iDeCoと退職金の控除重複ルールが「5年→10年」に |
本質 | 税制設計のミスを正した是正処置 |
投資戦略 | 時代に合わせて5〜10年ごとに見直すことが重要 |
iDeCoの役割 | 投資ではなく「年金」+「保障制度」 |
将来の鍵 | 軍事力・経済ブロック・AI活用の進展にも注目 |
iDeCoは出口戦略が読みにくいが、今のキャッシュフロー改善や税制優遇の観点では依然として有力な制度です。過度に悲観せず、変化に柔軟に対応する姿勢が求められています。
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