【新NISAと暗号資産の税制はこう変わる?】金融庁の令和8年度「税制改正要望」を徹底解説(元動画タイトルを基に記事を書いています)

目次

結論(忙しい人向け3行要約)

  1. 金融庁は新NISAの使い勝手を大きく改善する要望を出している。中核は同年スイッチングの解禁、未成年への積立枠拡大、対象商品の拡大、暗号資産の20%分離課税化。
  2. これらが実現すれば、ポートフォリオ変更が柔軟になり、家族単位の非課税運用が拡張し、投資初心者や高齢者にも選択肢が広がる。
  3. ただし現時点は「要望」段階。すべてが即時に通るわけではない点に注意。

はじめに:今回のポイントと前提

この記事は「【胸熱】新NISAが神進化!仮想通貨が金融商品扱いへ!絶対に理解すべき税制改正要望」という動画の内容を、初心者にも分かるようにできるだけ詳しくまとめたものです。


前提として、以下は金融庁が示した「税制改正要望」であり、法改正として決定したものではありません。実現可能性や時期は流動的です。


新NISAの基本を30秒でおさらい

新NISAは2つの枠で構成される。


・積立投資枠:年120万円
・成長投資枠:年240万円

合計の年間上限は360万円。
生涯の非課税枠は1人あたり1800万円。最速で5年で埋め切れる設計。


改正要望の目玉1:同年スイッチング解禁(非課税枠の即時復活)

現状の制限

たとえば年間360万円の上限を使い切ったあと、含み益のある投資商品を100万円売却しても、その年に非課税で100万円を買い直すことはできない。


結果として、ポートフォリオの組み替えが年内は事実上ストップしがち。

要望の中身

iDeCoのように、売却と同時に非課税枠を即時復活させ、同年内に別商品へ振り替え可能にする=同年スイッチングを可能にする。

何が便利になるか(具体例)

・例1:株式中心から債券中心へ年齢に応じたリバランス
 60歳を境に株式比率を下げ、債券を増やしたい場面で、まとまった額を売ってすぐに買い直せる。


・例2:急騰銘柄の利益確定→低評価資産へ乗り換え
 相場環境に合わせた動きが取りやすくなる。

効果の大きさ

・長期投資の中でも、リスク管理やリターン改善のための「適時リバランス」を年内に実行できる。
・特に資産規模が大きくなった後(例:評価額3000万〜4000万円)での資産配分変更の機動性が段違い。


改正要望の目玉2:未成年にも積立投資枠を拡大(ジュニアNISAの現代版イメージ)

要望の主旨

18歳未満にも積立投資枠を解放。想定はインデックス中心の積立(成長投資枠は対象外の見込み)。
年額は大人の360万円ではなく、月10万円=年120万円程度の方向性が示唆。

家族全体で非課税枠を最大化(数字で理解)

・大人だけ:1人1800万円
・家族2人:3600万円
・家族3人:5400万円
・家族4人:7200万円
・家族5人:9000万円
ここに未成年の年120万円が積み増されると、長期の複利効果がさらに加速。

贈与とのコンボが現実的(具体的な金額感)

・贈与の基礎控除は年110万円。
・親が子どもに110万円を贈与し、子ども名義の積立枠(年120万円想定)をほぼ埋める運用が可能。
・資産規模が大きい世帯ほど、相続税率(40〜55%など)との比較で生前贈与の合理性が高まる。

注意点

・経済格差の拡大リスク:早期から積立できる家庭とできない家庭で差が開きやすい。
・投資判断は保護者。投資教育の重要性が増す。


改正要望の目玉3:対象商品の拡大(債券ファンド、毎月分配型などの議論)

積立投資枠に債券ファンドを

現行は株式中心だが、高齢者や低リスク志向の投資家向けに、債券オンリーのファンドも積立枠で買えるようにする案。

毎月分配型ファンドの扱い

毎月分配の解禁論点も浮上。
ただし高コストや元本毀損リスクへの配慮が必要。たとえば信託報酬や分配の設計に「定量的な基準」設定を求める声がある。

生命保険(外貨建て含む)の可能性

将来、生命保険を組み込む論点が出る可能性もあるが、手数料(スプレッド)の不透明性は課題。
スプレッドの例:
・参考価格100に対し、買値102、売値98なら往復4%相当。
・他の金融商品よりもコストの透明性確保が不可欠。


改正要望の目玉4:暗号資産の課税を20%分離課税に

現状

暗号資産(仮想通貨)の利益は雑所得の総合課税。最高税率は住民税込みで最大約55%。

要望の方向性

金融所得課税に組み込み、源泉20%の分離課税へ。
FXが普及して分離課税に移行した歴史とのアナロジーが語られている。

具体的なインパクト

・個人での暗号資産投資のハードルが大幅に下がる。
・日本居住者の国際的な投資環境の不利が緩和。
・投資家保護や課税インフラの整備とセットで進む可能性。

補足

現状でも海外口座でのETF投資など迂回的な選択肢は存在するが、実務ハードルは高い。国内制度の整備が最も現実的。


現行と要望の違いを一目で

論点現行要望の方向性想定メリット
年内スイッチング売却してもその年の非課税枠は復活しない売却と同時に枠復活、同年に買い直し可機動的なリバランス、利益確定後の再投資が容易
未成年の積立枠18歳以上のみ18歳未満にも積立枠を拡大(年120万円想定)家族の非課税運用を拡大、超長期の複利活用
積立枠の対象株式中心の投信債券オンリー投信の解禁を検討高齢者・低リスク志向に適合
毎月分配型原則NG解禁を検討(基準設計の議論あり)キャッシュフロー需要に対応(ただしコスト管理必須)
暗号資産の税制雑所得の総合課税(最大約55%)金融所得課税の20%分離課税へ個人投資家の実効負担を軽減、投資拡大に追い風

初心者向けQ&A

Q1:同年スイッチングができると、何がそんなに変わるの?

A:評価額が大きくなった後のリスク調整や、相場局面に応じた乗り換えが年内に可能になる。従来は売っても枠が戻らず、その年は非課税で買い直せない不便さがあった。

Q2:未成年の積立枠は、誰がどんな商品を買うの?

A:保護者が口座管理し、インデックス中心の長期積立が基本線。贈与を活用すれば、教育と資産形成を同時に進められる。

Q3:毎月分配型って何が問題?

A:分配=お小遣いのように見えるが、実は元本取り崩しを伴うケースもある。手数料や分配方針を数値で厳格にチェックする必要がある。

Q4:暗号資産の20%分離課税になると、すぐに税負担は下がる?

A:要望がそのまま法制化されれば下がるが、現時点は未決定。制度設計や開始時期の確定を待つ必要がある。


歴史的背景と制度設計のヒント

・日本の少子高齢化が進む中、家計のリスク許容度は世代で大きく異なる。債券や毎月分配の議論は、高齢者のキャッシュフロー需要や低ボラ志向に応える文脈がある。
・FXやETFなど、新しい投資形態は普及段階で課税や適合商品のルールが変わってきた歴史がある。暗号資産も同様の道筋をたどる可能性がある。
・NISAは「貯蓄から投資へ」の政策の柱。家族口座の組み合わせ(贈与の活用)と、同年スイッチングによる機動性は、普及と定着の鍵になりうる。

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