株式市場に関する情報は年末になると特に多くなり、SNSやYouTubeでも様々な意見が飛び交います。
しかし、その多くは個人投資家の主観的な予想であり、信頼性が高いとは限りません。
そこで今回、世界有数の投資会社「Vanguard（バンガード）」が発表した最新の10年後の市場予測を基に、米国株の未来について解説した動画をご紹介します。
ポチップ
バンガードとはどんな会社？
バンガードは、世界第2位の投資会社であり、インデックス投資の父と呼ばれるジョン・ボーグル氏が創設した会社です。
同社は個人投資家向けに世界初のインデックスファンドを提供し、現在も多くの低コストETFを展開しています。
特にティッカーシンボル「V」で始まるETF（例：VOO、VTI）は、バンガードの代表的な商品であり、同社の信託報酬は平均で0.09%という非常に低い水準にあります。
これは、同業他社に比べて圧倒的に安いコスト構造を実現している点でも注目されています。
バンガードの2024年最新予測：10年後の株式市場
今回のレポート「Bend the Landing」では、Vanguard独自のVCMM（Vanguard Capital Markets Model）を用いて、客観的な計算値を基に10年後の株式市場のリターン予測を提示しています。
以下がその主要なポイントです。
1. 地域別のリターン予測
- 米国外株式が優勢
米国外先進国株式や新興国株式の予想リターンは、米国株式を上回るとされています。具体的には、米国株の予想年率リターンが2.2%である一方、米国外先進国株は4.5%、新興国株は5.5%と高めのリターンが見込まれています。 - 米国内では割安株と小型株が有利
米国内では、成長株（グロース株）よりも割安株（バリュー株）や小型株の方が好調との予測です。特にグロース株の年率リターンはわずか0.6%と厳しい見通しが立てられています。
2. 株式バリュエーションの状況
バンガードは、米国株式全体が割高であると指摘しています。
ケープレシオ（インフレ調整後のPER）を見ると、米国株は適正価格を大幅に上回っており、特にビッグテック株がその傾向を強めています。
一方で、米国外株式は割安感があり、今後の成長余地が大きいと評価されています。
債券市場の見通し：リスク対リターンが魅力的
株式市場だけでなく、債券市場についても触れておきましょう。
バンガードの予測によると、債券の期待リターンは3.0～4.0%と、米国株式を上回る見通しです。特に注目すべきは「クーポンウォール」という概念で、現在の高金利環境が将来的な債券価格の上昇を後押しする可能性があるとされています。
債券の投資対象
- 米国総合債券ETF（例：BND）
全体的に安定したリターンが期待され、特に低ボラティリティが魅力です。 - 短期債券やインフレ連動債
インフレ環境下ではこれらの債券が有利になる傾向があります。
30年後の市場展望：より長期の視点で
10年後だけでなく、30年後の予測も発表されています。
バンガードの見立てでは、長期的には現在割高とされる米国株式も価格調整が進み、安定的なリターンを生むとされています。
一方、新興国株式はさらに高い成長率が期待されており、リスクを許容できる場合には投資価値が高いと考えられます。
実際の投資戦略への影響
バンガードの予測を基に、以下の投資戦略が考えられます：
- 分散投資を重視する
米国内外の株式、バリュー株とグロース株、さらには債券を組み合わせたポートフォリオが推奨されます。 - 低コストETFの活用
例えば、VT（全世界株式ETF）、VTV（バリュー株ETF）、BND（米国総合債券ETF）などが候補です。 - 長期目線を持つ
市場の短期的な動きに振り回されず、10年単位の視野で投資することが重要です。
バンガード創設者の教え：インデックス投資のすすめ
最後に、ジョン・ボーグル氏の言葉を紹介します。
「過去のパフォーマンスは過去を示すだけで、未来を予測するものではない。インデックスファンドを通じて市場全体を保有し、あとは何もしないことが投資の成功への道である。」
バンガードの最新予測を参考にしながらも、投資方針を大きく変えるのではなく、長期分散低コストを基本とする投資戦略を継続することが鍵となります。
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