【株で負ける人の共通点】ナンピン・資金の入れ方・自動売買…「よくやりがち」な行動がなぜ敗因になるのか

本記事は、YouTube動画『みんなよくやりがちですがこれすると株は負けるように出来てます。』の内容を基に構成しています。


目次

導入:真面目に頑張るほど「負けパターン」にハマるワナ

株式投資で負ける人は、決して怠けているわけでも、投げやりに取引しているわけでもありません。
むしろ、真面目に勉強し、熱心に取り組んでいる人ほど「よくやりがちな行動」で自分を不利な状況に追い込んでしまうことがあります。

動画の中でテスタ氏は、視聴者からの質問に答える形で、

  • 株式分割に過度な期待をすること
  • 板(注文状況)を「支配できるほど」大きなロットで取引してしまうこと
  • 貯金を一気に市場へ入れてしまうこと
  • 負けているのに資金やポジションを増やすこと(ナンピンの発想)
  • 自動売買や「必勝法商材」に安易に乗ること

といった行動が、結果的に「負けるように出来ている」構造を、具体的なロジックで説明しています。

以下では、動画内容をたどりながら、なぜこれらが危険な行動なのかを整理していきます。


背景:一見「合理的」に見える行動が、なぜ不合理になるのか

多くの投資家が陥るのは、「目先のメリット」だけを見て行動してしまうことです。

  • 株式分割 → 単価が下がって買いやすくなる → 上がりそう
  • ナンピン → 買い値を下げられる → 戻れば一気にプラス
  • 自動売買 → 勝ちパターンをプログラム化 → 放置で利益
  • 貯金全額投入 → 元手を増やせばリターンも大きくなる

いずれも直感的には魅力的に見えますが、テスタ氏は「前提が間違っている」「条件を無視している」と指摘します。

重要なのは、その行動が“勝てるロジック”と整合しているかどうかです。
動画では、個別の質問に答える形で、この点が繰り返し強調されています。


株式分割:「割りやすくなったから上がる」は本質ではない

形式だけの「値ごろ感」に惑わされない

動画の冒頭で出てきた質問は「株価分割の銘柄をどう見ればよいか」というものです。

テスタ氏は、まずはっきりとこう述べています。

「株価分割で上がるのはあまり好きじゃない。
分割しても、その会社の本質的な価値は変わらないと思っている。」

株式分割は、たとえば

  • 1株10万円 → 2分割で1株5万円
    というように見かけの株価が下がるだけで、企業価値そのものは変わりません。

もちろん、任天堂のように1単元の価格があまりに高すぎて個人投資家が手を出しにくい場合には、分割で投資しやすくなるという“実務的なメリット”はあります。しかし、それはあくまで「取引しやすさ」が変わるにすぎず、

  • 分割=自動的に割安
  • 分割=必ず株価が上がる

わけではありません。

テスタ氏は、分割で上がった部分は、いずれどこかで“帳尻合わせ”的に剥げ落ちていくことが多いと指摘し、分割そのものを投資判断の中心に据えることに慎重な姿勢を示しています。


「板を支配できるほどのロット」で戦うと負ける理由

自分のロットが大きすぎると出口がなくなる

次に取り上げられた質問は「スキャルピングのとき、板の支配権を握っている感覚はあるか」というものです。

これに対してテスタ氏は、明確にこう答えます。

「板の支配権を握ったら勝てないです。
だから、板の支配権を握らないロットでいける銘柄しかやらない。」

ここで言う「板の支配」とは、

  • 自分の注文量が板の多くを占めてしまう
  • 自分が動かないと売買が成立しにくいという状態を指します。

この状態になると、次のような不利が生じます。

  • たくさん買った分、売るときも大量に売らないと利益にならない
  • しかし自分の売りが板を押し下げてしまい、自分で自分の首を締める展開になりやすい

テスタ氏は、理想としては

  • 板1枚分程度のロット(あるいは多くても2枚程度)で収まる規模
    を推奨し、「3枚買うようになったらしんどい」とまで表現しています。

重要なポイントは、
「大きく張れる=有利」ではなく、「市場の中で自分が目立たないロット=有利」
という逆説です。

自分の存在が価格形成に影響し始めた瞬間、トレーダーは市場の参加者から「観察される側」になってしまい、優位性は失われます。


貯金400万円でも「まずは50〜100万円」から始めるべき理由

元手があるからといって、全額入れる必要はまったくない

動画では、「貯金が400万円あるが、そのうちいくらから株を始めればいいか」という相談も取り上げられました。

テスタ氏の答えは非常にシンプルです。

「株を始めるだけなら、400万円のうち50万円とか、100万円とかで十分。
400万円あるからといって、400万円全部を入れる必要はない。」

ここで強調されているのは、

  • “勝てるようになってから”お金を増やす
  • 最初から全力で入るのではなく、自分のルールや勝ちパターンが固まってから資金を追加すべき

という考え方です。

「負けているときに資金を足す」のが、もっとも危険

さらに重要なのが、次の指摘です。

「負けているときに足さないことが大事。
負けているということは、何かが間違っている可能性が高い。」

負けている状態というのは、

  • ロジックが機能していない
  • 市場環境が想定と違っている
  • 自分のトレードルールが未成熟

など、どこかに欠陥がある可能性が高い状態です。

その状況で「取り戻したい」という感情から資金を増やすことは、
論理的にはまったく筋が通っていない行動だと説明しています。


ナンピン:負けている方向に「さらに賭ける」行為

直感的には魅力的、論理的には危うい

テスタ氏は、「負けているときの資金追加」と**ナンピン(買い下がり)**を同じ問題として捉えています。

  • 自分の想定と逆方向に動いた
  • 含み損が出ている
  • そこでさらに買い増しして平均取得単価を下げる

という行動は、一見すると合理的にも見えますが、

「自分が思った方向と逆に行っているから含み損になっている。
自分が間違っている可能性が高いのに、さらに買うのは理にかなっていない。」

と断言します。

ナンピンを繰り返して一度うまくいくと、その成功体験が強く記憶に残り、
「ナンピンすればいつか戻る」という危険な思い込みを強化してしまう場合もあります。

しかし、ロジックとして考えれば、

  • 「間違っている可能性が高い場面で賭け金を増やしている」
    という点で、極めてリスクの高い行動と言えます。

「1年先のイベント狙い」は本当に効率が良いのか

将来の好材料だけでは「資金効率リスク」が残る

別の質問者は、

  • 今後の需要や負債解消イベントを見据えて企業を分析し
  • 1年後の決算やイベントを見越して投資し、
  • 日々の値動きは気にせず保有し続けるスタイル

について意見を求めました。

テスタ氏は、こうしたやり方自体は

「硬い取引方法として“あり”ではある」
と認めつつも、資金効率の問題を指摘します。

  • たとえ1年後に上がる可能性が高いとしても、
    その1年のあいだ資金が拘束されてしまう
  • 年率換算で見ると、思ったほど高いリターンになっていない場合も多い

そのため、

  • 期間をもう少し絞る
  • 「この時期が一番アツい」と自分なりに考え、
    それ以外の期間は資金を他に回す

といった形で、「資金効率」を常に意識することが重要だと述べています。


自動売買・必勝法商材:「勝てる人しか勝てない」という現実

自動売買そのものは「肯定でも否定でもない」

自動売買に対する意見を問われた際、テスタ氏はこう答えています。

「自動売買自体は肯定でも否定でもない。
ただし、そもそも“勝てる理論”がなければ意味がない。」

自動売買とは、

  • 「こうなったらこう売買する」というルールをプログラム化したもの

であり、その元となるルールが勝てないロジックであれば、人間がやっても機械がやっても結果は同じ(=勝てない)というわけです。

つまり、

  • 自動売買=楽に儲かる仕組み

ではなく、

  • 勝てるトレードロジックを持っている人が、
    それを自動化して効率を上げるための手段

にすぎません。

なぜ「みんなに売られた手法」は勝てなくなるのか

動画の中で特に印象的なのは、「手法を売ること」と「勝てること」の両立は難しいという指摘です。

仮に、

  • ある手法を使えば1人で100億円儲かる余地があるとします。

しかし、この手法を使う人が増えるとどうなるか。

  • 2人使えば、1人あたり50億円
  • 4人使えば、1人あたり25億円
  • 1,000人、1万人と増えるにつれ、1人あたりの取り分は急速に薄まる

市場の「おいしい部分」は有限であり、「気づいている人が少ない」からこそ大きな利益が出るという側面があります。

したがって、

  • 本当に勝てる手法を持っている人が、それを広く販売することは経済合理性に合わない
  • それでも「誰でも勝てる必勝法」として高額で売られているものは、構造的に詐欺的にならざるを得ない

というのがテスタ氏の結論です。

特に投資系のYouTube動画には、

  • 「この自動売買で放置で資産○倍」
  • 「このロジックだけで誰でも億り人」

といった広告が挟まれるケースが多いとされ、「ああいうものには絶対に入らないでほしい」と強く注意喚起しています。


まとめ:よくある行動ほど、意識して疑ってみるべき

動画『みんなよくやりがちですがこれすると株は負けるように出来てます。』で語られた内容を整理すると、次のような共通点が見えてきます。

  • 株式分割に過度な期待をしない
    → 企業価値は変わらず、「買いやすさ」が増すだけの場合が多い
  • 板を支配できるほどのロットで戦わない
    → 自分の注文が価格に影響し始めた瞬間、優位性は失われる
  • 貯金があっても、最初から全額は入れない
    → まずは50〜100万円程度から初め、勝てるようになってから資金を増やす
  • 負けているときに資金やポジションを増やさない(ナンピンに注意)
    → 「間違っている可能性が高い」場面で賭け金を増やすのは、論理的に破綻している
  • 1年先のイベント狙いでも「資金効率」を忘れない
    → 堅そうに見えても、時間をかけ過ぎると年率リターンは低くなりがち
  • 自動売買や高額商材は、「構造的に負けやすい仕組み」を理解してから考える
    → 勝てる手法は「みんなに売った瞬間」に勝てなくなる

これらはいずれも、投資初心者だけでなく、経験者であっても陥りがちなポイントです。

テスタ氏が繰り返し伝えているのは、
**「感情やイメージではなく、“理屈”で自分の行動を検証すること」**です。

  • なぜ今、資金を増やすのか
  • なぜこの銘柄にナンピンするのか
  • なぜこの自動売買にお金を預けようとしているのか

その問いに、自分自身が納得できる“論理”で答えられないのであれば、
それは「負けるように出来ている行動」かもしれません。

一見、当たり前に見える行動ほど、
一度立ち止まって「本当に理にかなっているか」を疑ってみること。
それが、株式市場で長く生き残るための、最も地味で、しかし最も重要な一歩だと言えるでしょう。

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