※本記事は、YouTube動画「【ついに現実味】消費税廃止・減税で逆に損する人、業種,トランプ関税で注目の輸出大企業どうなる?」をもとに作成しています。消費税の減税・廃止が現実味を帯びる中、誰が得をし、誰が損をするのかを制度の仕組みから丁寧に解説します。
結論:消費税の減税・廃止は全員得をするとは限らない。損する人・業種も確実に存在する
2025年夏の参議院選挙を控え、各政党から「消費税廃止」や「軽減税率0%」「消費税5%へ引き下げ」など、さまざまな案が提案されています。しかし、単純に「減税=みんな得」ではなく、制度の裏側を知れば“逆に損する人”もいるのです。
目次
消費税「増税派」と「減税派」の主張とは?
●増税・維持派の主張
- 消費税は税収23兆円。国税の約1/3を占める。
- 高齢化社会の財源として不可欠。
- 所得税・法人税に比べて安定・公平・脱税困難。
- インボイス導入でさらに透明性アップ。
- 減税すれば財政不安で消費マインドが逆に冷える。
●減税・廃止派の主張
- 消費税は逆進性があり、低所得者ほど負担が重い。
- 減税で可処分所得が増え、個人消費が活性化。
- 給付金よりも効果的な物価高対策。
- 中小企業の事務負担が激減する。
- 法人税・所得税の増収でカバーできる可能性も。
【図解でわかる】消費税の“預かり金”と“益税”の仕組み
企業は「もらった消費税」から「払った消費税」を差し引いて納税します。これが本則課税。
例:
- 商品を3,000円(税抜)で販売 → 消費税300円を上乗せ → 3,300円で販売
- 仕入れは1,000円(税抜)+100円(消費税)= 1,100円
- ⇒ 納税額:300円 − 100円 = 200円
理論上は「消費税は価格に影響しない」とされますが、現実の取引では税込価格での交渉が多いため、企業側が負担するケースが多くなります。これを「転化率」と言い、B2C事業者では60〜80%程度しか転嫁できていないのが実情です。
【減税で得する業種・人】
1. 低所得者層
- 可処分所得に占める消費の割合が高いため、逆進性の恩恵が大きい。
2. B2C業者(小売・飲食・美容など)
- 税込み価格での価格競争が厳しく、消費税の負担を価格に転嫁しにくい。
- 減税で価格調整の圧力が緩み、利益率改善に寄与。
3. 非課税売上業種(医療法人・学校法人・不動産賃貸など)
- 消費税がもらえないのに払わされる=“消費税払い損”
- 減税・廃止により、損失構造が是正される
【逆に損する人・業種】
1. 免税事業者で益税状態だった人
- 売上1,000万円未満の個人事業主など、インボイス未登録でも消費税を乗せて請求し利益にしていた人
- 減税・廃止されると、その“おまけの利益”が消滅
2. 輸出大企業(例:トヨタ、ホンダなど)
- 現在は輸出時に「仕入れにかかった消費税を還付」される=“実質的な輸出補助金”とされている
- 減税・廃止になると、還付が受けられなくなり税務上の優遇措置が消える
- 特に部品や原材料の還付分が大きい企業ほど影響
※トランプ前大統領はこの還付金制度を「実質的な輸出補助金」として批判。関税強化の口実にもなっている。
消費税減税が与える“政治と財政”への影響
●国・財務省が最もダメージを受ける
- 税収が一時的に確実に減少(23兆円規模)
- 国債発行増 → 金利上昇リスク・信用低下の懸念
- NHK特集でも「財務省の国債発行努力が続く」との警鐘あり
今後の争点:法人税・所得税とのバランスへ
消費税廃止による財源不足を補うために、将来的に法人税・所得税の引き上げが議論される可能性が高まります。
→ 輸出大企業や高所得層が反対に回るシナリオも想定される。
まとめ:消費税廃止・減税は“一律の恩恵”ではない
分類 | 得する人・業種 | 損する人・業種 |
---|---|---|
一般消費者 | 低所得層、家計支出の多い世帯 | – |
B2C事業者 | 飲食・小売・美容など(価格転嫁が難しい) | – |
免税事業者 | 医療法人、学校法人、不動産貸しなど | – |
輸出大企業 | – | 消費税還付を受けていた大手輸出企業 |
免税益税状態の個人事業主 | – | 免税で消費税を受け取っていたフリーランスなど |
国・財務省 | – | 税収減、国債増発への圧力 |
コメント