※本記事は、YouTube動画「【ドル建て債券】海外投資家の米国債保有額は過去最高水準!今後の金利はどうなる(LIVE形式)」の内容をもとに構成しています。
目次
結論:米国債離れは起きていない。むしろ保有額は過去最高水準
一部で「米国債離れ」「ドル離れ」が囁かれていますが、現実のデータ(2025年5月末時点)ではむしろ保有額は増加。投資家が米国債を積極的に買い続けており、今後の金利動向次第ではむしろ「今が買い時」とも言える状況です。
外国勢の米国債保有額は9兆500億ドル、過去2番目の高水準
主な保有国(2025年5月末時点)
順位 | 国名 | 保有額(億ドル) | 前月比 |
---|---|---|---|
1位 | 日本 | 11,350億ドル | +5億ドル |
2位 | イギリス | 約8,000億ドル | わずかに増加 |
3位 | 中国 | 約7,500億ドル | 横ばい(かつては1兆3000億ドル) |
- 中国は過去に比べて大幅に保有を減らしましたが、現在は減らしきった水準で安定
- カナダは2025年4月に急減→5月に再急増(約4,300億ドル)
GPIF(年金運用機関)も米国債を大量保有中
- 外国債券全体のうち51.8%が米国債(過去最高)
- 1年前(49.4%)からも着実に増加
- アメリカ以外の保有先はドイツ、フランス、イギリス、イタリアなど
これは日本の年金資産運用の中心にドル建て債券があることを示しています。
米国債離れは“見せかけ”に過ぎない
- 外国人投資家はむしろ長期債(リスクの高いゾーン)を買っている
- トランプ関税などで市場が揺れた2025年4月でも減少せず
米国債の発行は増えているが、それ以上に投資家によって安定的に消化されているというのが現実です。
今後の金利見通し:短期は低下、長期は横ばい
FRBの利下げ観測(市場コンセンサス)
- 年内に2回利下げ(9月、12月)
- FF金利は0.5%程度下がる見込み
金利予測の要点:
期間 | 金利動向 |
---|---|
短期(1〜2年債) | 低下見通し(利下げ連動) |
長期(10〜30年債) | 横ばい〜じわ下がり |
イールドカーブ | 短期金利が下がり、順イールドへ修正の可能性 |
金利の歴史的水準:今は「高金利環境」
- 現在の10年債利回りは4.38%
- 過去70年で見てもFF金利と10年債利回りはほぼ連動
- 一時5%を超えた2023年と比べれば、今の水準は安定的
過去半年のレンジ
期間 | 金利 |
---|---|
上限 | 約4.6% |
下限 | 約4.1% |
この0.5%レンジで安定推移しており、今後も大きな変動はないとの見方が優勢です。
ドルインデックスは年初来▲10%だが、まだ下落余地あり?
- ドルはユーロ・ポンド・スイスフランなどに対して下落
- しかし、ドルインデックス自体は過去50年で見れば平均的な水準
- 明確な「ドル離れ」と言うにはまだ根拠が弱い
米国財政悪化と新発債の裏側
- 米財政赤字は今後10年で3.4兆ドル(約500兆円)拡大予測
- 発行が増える米国債を誰が買うか?
実は“裏で支えている”プレイヤーたち
支援者 | 内容 |
---|---|
日本政府 | 5500億ドル(約80兆円)の対米出資を表明 |
FRB | バランスシート縮小ペースを緩めて、実質ステルス緩和 |
ステーブルコイン業者 | 規制により裏付け資産として米国債を購入 |
大手金融機関 | SLR規制緩和により米国債を再度購入可能に |
どう運用する?おすすめポートフォリオ戦略
基本構成:バーベル戦略(中期+長期)
比率 | 債券種別 | 特徴 |
---|---|---|
80% | 中期債(10年程度、シングルA格) | 年利5%前後、担保としても優秀 |
20% | 長期債(30年、キャピタル狙い) | 金利低下時に価格上昇しやすい |
実際の債券例(SBI証券掲載)
発行日 | 残存期間 | クーポン | 利回り(参考) |
---|---|---|---|
2025年5月 | 30年 | 4.75% | 4.76% |
2025年発行 | 28年 | 4.75% | 4.85% |
- 20年債が最も高利回りになりやすい(需給の理由)
- キャッシュフローを得ながら資産を安定運用したいなら利付債が有利
応用戦略:債券を担保にローン+他資産へ投資
- 債券を担保に1.4億円ローン → 合計3.4億円運用
- 年間税引後キャッシュフロー:約1200万円
- リスク資産(株・仮想通貨)に思考停止せず分散投資が可能
まとめ:今の米国債は「悪くない買い時」
- 海外投資家の米国債保有は過去最高水準
- 金利も高水準で安定
- 債券は「早く買えば早く利息が得られる」特性あり
- リスクを取りすぎず、中期債中心+長期債少量の構成がおすすめ
長期的な安定資産としてのドル建て債券は、今こそ検討に値するタイミングです。
投資判断はご自身のリスク許容度と運用目的に応じて行いましょう。
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