この動画では、「資産運用で99点を取る方法」という書籍の内容について、資産運用初心者にも分かりやすく解説しています。
これは、著者の伊藤氏が2020年に発表した記事「普通の人が資産運用で99点を取る方法」を書籍化したものです。
改めて資産運用におけるシンプルかつ効率的なアプローチが強調されています。以下、動画の内容を初心者向けに丁寧にまとめます。
資産運用で99点を取るとは?
伊藤氏の提唱する「99点」とは、「投資効率99点」という意味で、リスクとリターンのバランスが非常に優れた投資方法を指します。
この投資効率は「シャープレシオ」という指標を基にしており、これは「リターンをリスクで割ったもの」を意味します。
リスクとは値動きの幅で、リターンを得るためにどれだけのリスクを取ったかを示します。低リスクで高リターンを得る投資対象を選び、その中でリスクを効率的に抑えるのが、99点の投資方法です。
資産運用の基本戦略
伊藤氏の提唱する投資戦略は、以下のようにシンプルで効果的です:
- 確定拠出年金 (iDeCo)、 新NISA で積み立てを設定
- 特定口座でも積立設定
- 余裕がある場合は一括投資(例えばまとまった資金がある時)
- 定期的にアセットアロケーションを見直し、リスク管理
これにより、低コストのインデックスファンド(例えば、S&P 500、全米、全世界株式)を購入し、手軽かつリスクを抑えた運用が可能となります。
この戦略では「余計なことをしない」ことが大切で、マーケットのタイミングを計る行為や高リスクの個別株への投資を避けることが推奨されています。
iDeCoを優先すべき理由
伊藤氏はiDeCoを優先するべきだと強調しています。
その理由は、iDeCoによって所得控除が受けられ、税金の節約効果が高いためです。例えば、所得税率が20%の人が控除を受けることで、無リスクで20%のリターンが得られるのと同等の効果があります。
ただし、iDeCoのデメリットとして60歳まで引き出せない制限があります。したがって、計画的に運用することが重要です。
インデックスファンドの重要性
伊藤氏は「時価総額加重平均」のインデックスファンドに投資することを推奨しています。
これは大企業には多く、小企業には少なく資金を配分する仕組みで、低リスクでのリターンを目指せます。
さらに、時価総額加重平均はマーケット全体に投資するため、個別リスクが相殺されやすく、投資効率が良いポートフォリオの構築が可能です。
また、均等加重や配当加重のETFも存在しますが、コストやリスクを考慮すると、時価総額加重平均が最適とされています。
ポートフォリオ構築のシンプルさ
伊藤氏は、ポートフォリオを「現金」と「インデックスファンド」の2つの資産で構成し、投資効率を最適化することを提案しています。
リスクを取れる範囲でインデックスファンドの比率を増やし、必要に応じて現金でリスク調整を行います。
例えば、リスクを取りたくない場合は現金比率を上げ、リスクを多く取りたい場合はインデックス比率を高めるといった調整が可能です。
この考え方は、トービンの分離定理という理論に基づいており、リスク許容度に応じたバランス調整がシンプルかつ効果的であるとされています。
債券やゴールドの必要性について
伊藤氏は、初心者にとってはインデックスファンド1種類で十分だと述べています。
債券やゴールドを加えることでポートフォリオのリスク分散が図れる場合もありますが、一般的には難易度が高く、シンプルな投資の方が効果的です。リスクを抑えたい場合は現金の割合を増やすだけで同様の効果が得られます。
余計なことはしない
伊藤氏は投資において「余計なことはしない」という点を強調しています。
特に、マーケットのタイミングを測る行為や、高配当銘柄や個別株への投資は避けるべきです。
市場のプロたちの平均的なパフォーマンスを得ることが目標であり、インデックスファンドに集中することで、その目的が達成されます。また、米国のファンドデータからも、90%のファンドがインデックスに勝てないことが示されており、個別株選びは効率的でないとされています。
投資は退屈であるべき
最後に、伊藤氏は「投資は退屈であるべき」と述べています。
これは、有名な投資家ジョージ・ソロスの言葉「良い投資は退屈なものである」という考え方に基づいています。楽しい投資が必ずしも良い投資とは限らず、シンプルかつ堅実な投資が長期的に良い結果を生むことが強調されています。
結論
「99点を取る方法」として、伊藤氏は時価総額加重のインデックスファンドと現金のみでポートフォリオを構成することを提案しています。
このシンプルな方法を使うことで、リスクを管理しながら高いパフォーマンスを目指すことができます。また、余計な投資をせずに堅実に長期運用することが、一般的な投資家にとって最も効果的な方法であると結論付けています。
知っておきたい専門用語集
- 確定拠出年金(iDeCo):老後資金を積み立てるための制度。掛金は所得控除の対象で節税効果があり、60歳まで引き出せない
- 新NISA:少額投資非課税制度。個人が年間一定の非課税枠内で投資を行える制度で、利益に対する税金が非課税となる
- 特定口座:株式や投資信託の取引を行う口座。税金の計算と納税を証券会社が代行する「源泉徴収あり」などが選択できる
- アセットアロケーション:資産を複数の異なる資産クラス(株式、債券、現金など)に分散させる方法。リスクとリターンを調整するために行う
- シャープレシオ:リスクに対するリターンの指標。リターンをリスクで割ったもので、高いほど効率的にリターンを得ていることを示す
- 時価総額加重平均:各企業の時価総額に応じて配分する投資手法。大企業の比重が高くなり、個別リスクが抑えられる
- 均等加重:各銘柄を均等な割合で投資する手法。大企業と小企業を同じ割合で保有するため、相対的に小企業の影響が大きくなる
- トービンの分離定理:資産を「リスク資産」と「無リスク資産(現金)」に分けて、個々のリスク許容度に応じた最適なポートフォリオを作る方法
- リバランス:ポートフォリオの資産配分が変化したとき、元の配分に戻すための調整。特に均等加重の場合、価格変動によって定期的な調整が必要となる
- ドルコスト平均法:定期的に一定金額を投資する方法。価格が高いと少なく、低いと多く買うことで平均購入単価が平準化される
- モンテカルロシミュレーション:確率を用いて未来のリターンを複数回シミュレーションする手法。投資のリスクやリターンの予測に活用される
- 効率的市場仮説:市場においてすべての情報が即座に株価に反映されるため、市場を上回る成績を出すことは難しいとする理論
- アセットクラス:異なるリスクとリターンの特徴を持つ資産群。株式や債券、コモディティ、不動産など
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