本記事は、YouTube動画『【遂に始動】新TOPIX基準でバリュー株時代到来か!注目すべきポイントを専業投資家が公開!』の内容を基に構成しています。
結論:新TOPIX基準は「恒常的な競争」を生み、バリュー株に追い風となる可能性が高い
結論から述べると、2026年10月から本格適用される新TOPIX基準は、これまでのような「一度入れば安泰」という指数ではなく、毎年生き残りをかけた競争にさらされる仕組みになります。
この変化によって、特にボーダーライン上にいる企業は、株価を引き上げるために配当や自社株買いなどの株主還元を強化せざるを得なくなり、その結果としてバリュー株が注目されやすい環境が生まれる、というのが動画の主張です。
さらに、指数から外れた後に需給悪化で割安になった銘柄や、パッシブ資金が抜けることでアクティビストが入りやすくなる銘柄など、複数の投資チャンスが同時に生じる点も強調されています。
導入:なぜ今「バリュー株時代」が意識され始めているのか
動画では、まず「なぜ今になってバリュー株なのか」という疑問から話が始まります。その最大の背景として挙げられているのが、新TOPIX基準の導入です。
これまではプライム市場に上場していれば、一定条件を満たすことでTOPIXに採用され、指数連動のパッシブ資金が自動的に流入していました。しかし新基準では、この前提が大きく変わります。単なる市場区分ではなく、時価総額や売買代金を基準にした「相対評価」によって、毎年入れ替えが行われる仕組みになるのです。
新TOPIX基準で何が変わるのか
累積時価総額による「相対評価」への転換
新TOPIXでは、流通株式時価総額の累積比率97%を満たすかどうかが継続基準となります。これに加えて、年間売買代金が一定水準以上であることも求められます。
重要なのは、これまでのように「基準をクリアしているかどうか」ではなく、「上位から何%に入っているか」で評価される点です。つまり、他社の株価が上がれば、自社が何もしていなくても相対的に順位が下がり、指数から外れるリスクが高まります。
毎年続く生き残り競争
この入れ替えは年1回行われます。最初の基準日は2026年8月末で、その結果を基に10月に入れ替えが行われる見込みです。
これにより、TOPIX採用企業は常に競争環境に置かれます。特に時価総額が数百億円規模の企業は、少しの株価変動でボーダーを跨ぐ可能性があり、経営陣にとって大きなプレッシャーとなります。
なぜバリュー株が有利になるのか
ボーダーライン企業は還元強化に動きやすい
動画では、時価総額およそ400億円から800億円前後の企業が、特にボーダーラインになりやすいと説明されています。このゾーンには、成熟企業やキャッシュを多く抱えたバリュー系銘柄が多く含まれます。
こうした企業がTOPIXに残るために最も即効性のある手段が、配当性向の引き上げやDOEの変更、自社株買いといった株主還元の強化です。業績改善は時間がかかりますが、還元策は比較的短期間で株価に反映されやすいためです。
本決算シーズンが重要なタイミングになる理由
特に5月の本決算は、還元方針が見直されやすい時期です。動画内でも、過去の事例として、銀行株やサブコン関連で決算発表を機に還元強化が行われたケースが挙げられています。
2026年8月の基準日に向けて逆算すると、2026年3月期決算やその前の本決算で動かなければ間に合わない企業も多く、今後還元強化の発表が相次ぐ可能性があると指摘されています。
指数除外後に生まれる「もう一つのバリュー機会」
除外銘柄は中期的にパフォーマンスが劣化しやすい
新TOPIXから外れる銘柄は、パッシブファンドによる売却が段階的に進むため、株価の下押し圧力を受けやすくなります。過去の指数入れ替え時のデータを見ても、除外銘柄は市場平均を下回るパフォーマンスになる傾向が確認されています。
その結果、もともと割安だった銘柄が、さらに割安になるケースが出てきます。
割安化した後に仕込む戦略も有効
動画では、「生き残りをかけた戦いに賭ける」のも一つの手段だが、「外れた後に需給悪化で割安になった銘柄を拾う」のも有効な戦略だと述べられています。
還元強化によって配当利回りが底上げされた企業であれば、指数から外れた後も極端に株価が元の水準に戻る可能性は低く、リスクリワードの観点でも魅力があると説明されています。
パッシブ資金の流出とアクティビストの存在
パッシブ資金が抜ける意味
TOPIX連動のパッシブファンドは、銘柄によっては5%から10%程度を保有しています。これが指数除外によってなくなると、安定株主が一気に減少することになります。
動画では、具体例として時価総額約500億円規模の企業を挙げ、パッシブ経由で約25億円相当の売却圧力が生じる可能性があると説明されています。
アクティビストが入りやすくなる構造
安定株主が減り、キャッシュを多く抱えた企業は、アクティビストにとって格好の標的になります。
経営陣にとっては、株価下落に加えて、株主提案や対話対応といった負担も増えるため、結果として「それなら先に還元してしまおう」という判断に傾きやすくなります。
具体的な銘柄の探し方とチェックポイント
ボーダーライン企業の見つけ方
動画では、累積時価総額のランキングデータやETFの組み入れ比率を見る方法が紹介されています。ETFの構成銘柄を上から順に並べ、累積時価総額を計算することで、おおよそのボーダーラインを把握することが可能です。
還元余地のある企業の特徴
特に注目すべきなのは、ネットキャッシュを多く持つ企業です。
時価総額300億円から500億円規模で、200億円前後の現金を保有しているような企業であれば、数年間にわたって総還元性向80%から100%といった思い切った施策を取る余地があります。
投資タイミングとリスクリワードの考え方
動画では、投資タイミングについて「今からでも遅くない」と述べられています。市場全体がまだこのテーマを強く意識していない段階では、期待が織り込まれておらず、下値リスクが比較的限定されやすいという考え方です。
仮に還元強化が実現すれば、バリュー株では株価が1.5倍から2倍程度になる可能性もある一方、下落した場合でも20%から30%程度に収まりやすいとされ、リスクリワードは良好だと説明されています。
まとめ:新TOPIX基準は一過性ではなく、長期的な構造変化である
新TOPIX基準の最大の特徴は、この競争が一度きりではなく、毎年繰り返される点にあります。経営陣は常に時価総額を意識せざるを得ず、そのプレッシャーが株主還元や資本効率改善を後押しする構造が生まれます。
その結果、バリュー株を中心に、これまで動きが鈍かった企業にも変化が求められる時代が到来します。動画は、この構造変化を早い段階で理解し、準備しておくことが、今後の投資戦略において大きな意味を持つと締めくくっています。


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