【金利上昇で何が起きる?】日本の10年国債利回りが2%に接近、日本の投資家は米国債を売るのかを徹底解説

本記事は、YouTube動画『【金利上昇】日本の10年国債利回りが2%に接近!日本の投資家は米国債を売って日本国債を買うのか!』の内容を基に構成しています。

日本の10年国債利回りが上昇し、2%に近づいています。金利が上がれば、一般的には国内債券の魅力が上がるため「日本の投資家は米国債を売って日本国債に戻るのではないか?」という見方があります。

しかし、実際にはそうした単純な動きにはなっていません。今回の動画では、日本・海外投資家の動向や、利回り水準だけでは説明できない債券投資の本質が丁寧に解説されています。

以下では、背景とデータを踏まえながら、動画で語られた重要ポイントを詳細に整理していきます。


目次

日本の長期金利上昇と米国債保有の関係

日本の長期金利は大きく上昇し、10年国債利回りは2%に迫る水準となりました。この動きに対して「日本の投資家は米国債を売り、日本国債に戻るのではないか」といった議論があります。

しかし、アメリカ財務省が公表する国別の米国債保有状況を見ると、この“常識的な予想”とは逆の現象が起きています。

2024年末時点で、日本は1兆15億ドルの米国債を保有し世界最大の保有国です。そして2025年9月末にはその保有額は1兆1893億ドルまで増加。


これはわずか9カ月間で1278億ドル(約20兆円)も米国債を買い増した計算になります。

つまり、日本の機関投資家は金利上昇局面でも米国債の保有を増やし続けているのです。


日本国債を売る一方、米国債を買い増す理由

次に、日本証券業協会が発表する「公社債店頭売買高」から国内外の投資行動を確認します。

中期・長期・超長期国債のそれぞれで、外国人投資家が大幅に買い越ししていることが明らかになっています。

  • 当期国債:1兆7000億円の買い越し(=国内勢の売り越し)
  • 超長期国債:10兆9000億円の買い越し
  • 中期国債:11兆1000億円の買い越し

合計すると、外国人は23兆円以上を日本国債に投入し、国内投資家は同規模で売り越しています。

この構図を見ると、
日本の機関投資家は日本国債を売り、米国債を買っている
という実態が浮き彫りになります。

では、なぜ国内の投資家は金利上昇局面にもかかわらず日本国債を買わないのでしょうか?


投資判断を左右するのは「金利の水準」ではなく「方向性」

動画が最も強調している点がここです。

債券投資の判断基準は単なる利回り比較だけではなく、「金利がどちらに向かうか」=方向性が極めて重要になります。

日本の場合、政策金利はまだ0.5%で、今後1%〜1.5%まで利上げされるという見方が広がっています。

金利が上がるということは、債券価格が下がるということです。
つまり、日本国債はまだ下落リスクがある=買いづらいということになります。

一方、アメリカでは利下げが行われたことで、長期金利は短期金利に引っ張られながら低下しやすい環境にあります。


債券価格は上昇しやすいため、米国債の方が買いやすい状況が続いていたのです。

過去の金利上昇局面でも同じ現象が起きていた

興味深いのは、2000年代にも同じような現象が起きていた点です。

日本の10年国債利回りが2%に迫った局面でも、

  • 国内投資家は日本国債を買わず海外投資を増やした
  • 逆に日本の金利が低下し始めると、日本国債の買いが一気に戻った

その後、外国資産売却 → 日本国債購入が急速に進み、2009年以降の急速な円高の一因になったと解説されています。

歴史的にも、日本の投資家が国内債券を買うのは“金利が低下に転じてから”という傾向があるのです。


海外投資家が日本国債を買っている理由

では、なぜ外国人投資家は今、日本国債を大量に購入しているのでしょうか?

動画ではその理由を次のように整理しています。

●1. ベンチマークに対して保有が少なすぎた

日本国債は長らく低金利だったため、海外勢は保有を減らしていました。
金利が上昇したことで、ベンチマーク(運用基準)並みに保有を戻し始めているケースが多いと見られます。

つまり、
「買っている=強気」ではなく
「弱気すぎたのを少し戻しているだけ」
の可能性があるということです。

●2. 為替ヘッジをすると“ヘッジコストがプラス”になる

海外投資家が円をドルやユーロに換えると、

  • ドル:年間3%以上が受け取れる
  • ユーロ:年間1.5%前後が受け取れる

というヘッジコストの逆転現象が起きています。

債券の利回りと合わせれば、日本国債は実質利回りが高い魅力的な投資対象になるのです。


金利水準だけでは投資行動は説明できない

今回の解説で最も重要なのは、債券投資家は利回りの“水準”だけで動いているわけではないという点です。

  • 日本の金利はまだ上昇余地がある → 国内投資家は買いづらい
  • アメリカは利下げ局面 → 米国債は買いやすい
  • 海外投資家はベンチマーク調整+為替ヘッジのメリットで日本国債を購入

こうした複数の要因が絡み合って、複雑な資金フローが形成されています。


まとめ:日本の金利上昇=米国債売りではない

今回の動画で改めて理解できたポイントを整理します。

  • 日本の長期金利が上昇しても、日本の投資家は米国債を買い増し続けている
  • 国内勢は日本国債を23兆円規模で売り越し
  • 債券投資は利回りではなく金利の方向性が重要
  • 海外勢はヘッジコストとベンチマーク調整で日本国債を購入
  • 過去の例でも、日本の投資家は金利が低下し始めてから日本国債を買う傾向がある

日本国債利回りの2%接近は大きなニュースですが、投資家の行動は単純ではありません。
今後の金利動向や為替環境によって、日本と海外の投資フローはさらに変化していく可能性があります。

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