【金融危機の予兆?】アメリカ企業2社の破綻が示す「プライベートクレジット市場」の危うさとは


「【金融】2社の米国企業破綻は金融危機の予兆なのか!プライベートクレジット市場について解説!日本も他人ごとではない」
をもとに内容を分かりやすくまとめたものです。


目次

結論:プライベートクレジット市場は“次のリスク”になり得る

2025年、アメリカでサブプライム自動車会社のトライカラ・ホールディングスと、自動車部品メーカーのファーストブランズ・グループという2社が相次いで破綻しました。


この出来事をきっかけに、「プライベートクレジット市場」が世界の金融システムに波及する可能性があるのではないかと懸念が高まっています。

専門家の間では「これはリーマンショック前夜と似ている」との声も。
しかもこの問題、日本の金融機関も無関係ではありません。


プライベートクレジットとは?

未上場企業への“貸付”をファンドが行う仕組み

「プライベートクレジット(Private Credit)」とは、上場していない企業(未上場企業)に対する融資のことです。


株式投資で言う「プライベートエクイティ(Private Equity)」が未上場企業の株を買うのに対し、プライベートクレジットはお金を貸す形の投資です。

上場企業のように財務情報が十分に開示されていないため、リスクが高い反面、リターンも高いという特徴があります。


そのため、通常は富裕層や機関投資家がポートフォリオの一部として保有する“オルタナティブ資産”として扱われてきました。


市場規模は15年で10倍!急拡大した背景

今やプライベートクレジット市場の規模は約2兆ドル(日本円で約300兆円)にも達しています。
2008年頃から見ると、わずか15年で10倍以上に膨れ上がりました。

その背景には、次の2つの要因があります。

① 投資家側の理由:低金利時代に“高利回り”を追い求めた

2010年代以降の超低金利環境では、安全資産の利回りがほぼゼロに近づき、投資家がよりリスクの高い商品を求めるようになりました。


特に2020年のコロナ禍で金融緩和が進むと、米10年国債の利回りは1%を下回る水準に。
「リスクを取らないと置いていかれる」状況が広がり、プライベートクレジットへの資金流入が一気に加速しました。

② 銀行側の理由:金融規制強化で“貸し渋り”が進行

リーマンショック後の金融規制強化により、銀行がリスクを取りにくくなったことも一因です。


そこで、銀行の代わりにファンドが企業への融資を行う“代替金融”として、プライベートクレジットが急成長しました。


投資ブームの裏で“甘い審査”が横行

金融業界では「やらないと置いていかれる」という空気が蔓延し、審査基準がどんどん緩くなっていきました。
結果として、本来なら融資を受けられないようなリスクの高い企業まで資金調達が容易になってしまったのです。

今回破綻したトライカラ・ホールディングスやファーストブランズ・グループは、その“歪み”の象徴といえます。


JPモルガンのダイモンCEOも「ゴキブリは1匹見つけたら他にもいる」と警告。
この破綻は“氷山の一角”に過ぎない可能性があります。


日本の金融機関も無関係ではない

日本の銀行や証券会社も、近年プライベートクレジット市場への参入を進めてきました。
中でもみずほフィナンシャルグループは、米ゴラブ・キャピタルと提携して2024年から富裕層向けにファンドの販売を開始。

しかし、すでに市場が縮小し始め、問題案件が表面化しているタイミングでの参入には「やめておけ」という声も多いのが現実です。


著者は「誰のための投資なのか?」と金融機関の姿勢を強く批判しています。


プライベートクレジットは“次の金融危機”の引き金になるか

市場規模が膨らみすぎたことで、今後も同様の破綻案件が次々と明るみに出る可能性があります。


この分野は伝統的な金融商品とは異なり、透明性が低く、複雑な契約構造になっているため、どこにリスクが潜んでいるのか見えにくい点が非常に危険です。

特に、これらの債権が証券化されて世界中に販売されている点は、かつてのリーマンショックの構図を思い出させます。
“リスクの拡散”が起こると、再び世界的な信用収縮に発展する恐れもあります。


日本経済への影響:保険会社・金融持株会社にも波及の兆し

動画の後半では、日本の金融業界が抱える他の問題にも触れています。

  • 大手生命保険会社4社が10兆円規模の含み損を抱えている
  • ソニー生命を中心とするソニーフィナンシャルグループも債券で大きな含みを計上
  • アメリカ財務省が米国債の買い戻し(バイバック)を増やしており、市場への影響が拡大中

これらの動きも、プライベートクレジット問題と無関係ではありません。
低金利時代にリスク資産へ資金が流れた構図は、どの金融商品でも共通しているからです。


まとめ:金融危機は“静かに進行中”かもしれない

今回のアメリカ2社の破綻は、単なる個別企業の倒産ではなく、過去10年以上の金融緩和とリスク過多投資のツケが現れ始めた兆候かもしれません。

  • プライベートクレジット市場は約300兆円規模に拡大
  • 審査の甘い融資が積み重なり、今後も破綻リスクが潜在
  • 日本の金融機関もこの波に乗りつつあり、“他人事ではない”

リーマンショックから約15年。
再び“見えないリスク”が金融システムの足元を揺らし始めています。


補足:プライベートクレジット市場の構造(図解)

役割主なプレイヤー内容
借り手(未上場企業)中小企業・スタートアップ銀行融資が受けにくく、ファンドから借入
貸し手(ファンド)プライベートクレジットファンド投資家から集めた資金を企業へ貸付
投資家機関投資家・富裕層高利回りを求めて出資
二次市場証券化商品・金融機関債権を再パッケージ化して販売

今後の注目ポイント

  • 米国での追加破綻が起きるか
  • 日本の金融機関がどこまでリスク資産を抱えているか
  • 規制当局がプライベートクレジット市場に介入する可能性
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