※本記事はYouTube動画「【楽観厳禁】ぬか喜びするな関税は既定路線」の内容をもとに構成しています。
結論:関税の発動は“既定路線”、米国株の反発に楽観は禁物
米国株は一時的に大きく反発しましたが、その裏には金融システム不安の回避を目的とした“一時的猶予”があっただけであり、関税自体は発動されているのが現実です。
そのため、投資家はこの反発に過度な楽観を持たず、景気後退と企業活動の停滞に備えたポジション構築が求められています。
目次
なぜ米国株は大幅反発したのか?
トランプ大統領の「90日間の猶予」発表
2025年4月、トランプ政権は相互関税の上乗せ分について、報復関税を課していない国・地域に90日間の発動猶予を与えると発表しました。
これを受けて市場は反応:
指標 | 上昇率 | 終値 |
---|---|---|
ダウ平均 | +7.9% | 40,608 |
S&P500 | +9.5% | 5,456 |
NASDAQ総合 | +12.2% | 17,124 |
しかしこれは、「完全撤回」ではなく「一時猶予」である点に注意が必要です。
5%・125%関税は既に発動されている
- 一律10%の関税:2025年4月5日から発動済み
- 中国に対する関税:最大125%に引き上げ
つまり、トリガーは引かれており、あとは爆発を待つだけという危うい状況。米中貿易戦争はむしろ激化しており、長期的に米国株の逆風になる可能性が高いです。
トリプル安の発生と金融危機のリスク
株・債券・ドルすべてが売られる
4月初旬、市場は「株安・債券安・ドル安」のトリプル安に陥りました。
資産 | 下落要因 |
---|---|
株式 | 景気後退懸念と関税発動 |
債券 | ヘッジファンドの換金売り |
ドル | 政策不透明感と金利変動 |
このような状況は金融危機前夜とも言われており、米国債の含み損拡大が深刻です。
米国銀行の債券含み損は約70兆円
FDICによると、2024年末時点で米銀行の債券含み損は4824億ドル(約70兆円)。この損失がさらに膨らめば、金融機関のバランスシートが崩れかねません。
関税は簡単に撤回されない
関税は“引き下げが難しい政策”
一度発動された関税には既得権益が絡むため、後になって引き下げるのは非常に難しいとされます。過去の例としては、1970〜80年代のスタグフレーション期が挙げられます。
当時も名目株価は上がっているように見えて、インフレ調整後の実質リターンはマイナス22%という結果に。
今後の注目リスクと投資戦略
景気後退への懸念は強まる一方
- トランプ政策の不透明感 → 企業の設備投資・新規雇用の抑制
- 中国が報復措置で米国債を売却するリスクも継続
- 今後も金融機関やヘッジファンドの債券売却が継続する恐れ
投資家が気をつけるべき点
- 短期的な株価反発に飛びつかず、インフレ調整後リターンに注目
- ポートフォリオは高配当株や金、現金比率を高めた防御型構成が理想
- 米国株ブームの終焉に備え、分散投資とリスク管理を強化
実例:デルタ航空の決算と景気後退の兆候
- EPSは予想超えだが、売上は横ばい・減速傾向
- 通年見通しを「経済の先行き不透明感」で撤回
- 株価は一時50%以上下落し、デッドクロスを形成中
こうした企業決算の内容からも、景気後退の足音が聞こえてきています。
まとめ:楽観よりも“現実”を直視するべき時期
- 関税は既に発動されており、撤回は困難
- 株式の反発は空売りの買い戻しによる一時的なもの
- トリプル安の裏では、金融機関の不安と中国リスクが潜在
- 投資家は浮かれず、長期停滞に備えた戦略転換を検討すべき
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