※本記事はYouTube動画「中東問題継続なのに株が上がった理由(6月16日)」をもとに構成しています。
目次
結論:イランが対話を希望=早期収束の期待感が「リスクオン相場」を作った
中東でのイスラエルとイランの軍事衝突が激化しているにも関わらず、2025年6月16日の米国株式市場では、主要指数が大幅に反発・上昇しました。
その背景には、「イランがアメリカとの核協議再開を望んでいる」という報道があり、中東問題の長期化回避の期待が高まったことが挙げられます。
各指数の動き(6月16日)
指数 | 上昇率 |
---|---|
ナスダック | +1.52% |
S&P500 | +0.94% |
ダウ平均 | +0.575% |
ラッセル2000 | +1.12% |
金融市場に影響を与えた主要要因
1. 中東リスクの「一時的な緩和」
- トランプ前大統領や複数メディア(WSJ、ロイター)によると、イランは核協議再開を模索。
- カタールやオマーンを通じて、米国と非公式接触を試みたという報道が、リスクオンにつながった。
2. 原油・金価格の下落
- 原油:一時的に上昇後、2.08%の下落。
- 金:中東リスクで急騰後、トレンドラインで反落。
- ホルムズ海峡封鎖の懸念が現実化しなかったことで、過度なリスクが後退。
3. 米長期金利とドルインデックス
- 10年債利回り:やや下向き、MACDは下落方向でダイバージェンス。
- ドルインデックス:懸念ラインで踏みとどまり。
- 米ドル/円は144円台を維持し、円安傾向が続く。
リスクオン継続を支える投資家心理
- VIX(恐怖指数)は再び20を割り、19台へ。
- フィア・アンド・グリード指数:「62」=強気寄りを維持。
- MetaやAMDなどハイテク株に買いが集中、メタは+2.9%、AMDは+8.81%の上昇。
今週の重要イベントと予測
FOMC(米連邦公開市場委員会)
- 今週はFRBの政策金利と経済見通しが発表される予定。
- 市場予想では年内2回の利下げ見通しが維持される可能性が高い。
- パウエル議長は明確な利下げシグナルを出さず、慎重姿勢を続ける見込み。
米小売売上高(6月17日発表予定)
- 予測:前月比−0.6%(コアは+0.2%)
- 消費動向の強さ次第で、利下げタイミングに影響する重要指標。
原油とホルムズ海峡の今後の懸念
指標 | 状況 |
---|---|
ホルムズ海峡 | 今のところ封鎖は発生していない |
原油価格 | 現在は反落中(下がる可能性あり) |
ガス施設 | 攻撃されたが国内消費用中心で影響限定的 |
- 原油の約20%がホルムズ海峡経由。
- 封鎖が起きれば、輸送コスト高騰 → 原油急騰 → 株安 → インフレ加速の可能性。
通貨市場と注目のFX通貨ペア
メキシコペソ/円
- 完全問題で一時6.9割れも反発、上昇トレンド回復
- 200MA・50MAを上抜け、ゴールデンクロス接近中
ポーランドズロチ
- 政策金利5.5%、高金利通貨として注目。
- 長期レンジの上限付近に到達、押し目買いの戦略を検討中。
仮想通貨・ビットコインも上昇
- ビットコイン:+3.06%で再び11万ドル目前。
- 今後、11万ドルラインの攻防が重要な節目に。
株式市場の全体的な動きと注意点
- ナスダック100:+2.41%上昇し、日足のレンジをブレイク。
- S&P500:史上最高値まであと1.81%。
- ただしMACDにダイバージェンス(上昇と下落の乖離)が見られ、調整のリスクあり。
今後のリスク要因
- トランプ前大統領の「関税発動予告」がマーケットにどこまで影響するか。
- ホルムズ海峡封鎖の新たな兆候が出た場合。
- FRBが予想外のスタンスを示した場合(利下げ回数の変更など)。
まとめ:リスクは続くが、今は「希望」に市場が反応している
中東情勢は依然として緊張状態にあるにもかかわらず、**「イランが対話を望んでいる」**という報道が投資家心理を安定させ、株価は上昇しました。
しかしこれはあくまで一時的な「期待相場」であり、ホルムズ海峡の封鎖やFRBの政策変更が引き金となれば、再びリスクオフに転じる可能性も十分あることは忘れてはなりません。
今後の戦略としては、次の3つを意識しておきましょう:
- 重要イベント(FOMC、小売売上高)前後の値動きに注目
- 原油と金の価格変動=リスクオン/オフの指標として監視
- 為替市場でのトレンド転換に備えた柔軟なポジション管理
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