最近ニュースやSNSを見ていると、「AI関連企業が次々と巨額の投資を発表!」という見出しをよく目にします。
OpenAI、NVIDIA、AMD、Amazon、Microsoftなど、世界を代表する企業がAI事業に莫大な資金を投入しており、「AIバブルはまだまだ続く」と信じている人も多いでしょう。
しかし今回紹介する動画「【目を覚ませ】AIバブルは巨大なねずみ講だった。」では、この“AIバブル”の裏側にある驚くべき資金のカラクリを、非常に分かりやすく解説しています。
一見すごい成長のように見えるAI業界は、実は「お金のぐるぐる回し合い」で作られた“幻想”かもしれないというのです。
■ きっかけは「1000億ドルの投資発表」
2025年10月、OpenAIがAMDに対して「500万枚のGPUを購入するために1000億ドル(約15兆円)」を支払うというニュースが話題になりました。
同時に、AMDもOpenAIに1000億ドルを「株式として出資」することを発表。
さらにその前には、NVIDIAがOpenAIに2000億ドル相当のGPUを販売し、OpenAIがNVIDIAに1000億ドルを投資するという発表もありました。
これだけでも十分に奇妙ですが、さらに驚くのはオラクル(Oracle)との取引です。
OpenAIはオラクルに「データセンター利用料として3000億ドル」を支払い、オラクルはその資金を使ってNVIDIAのGPUを購入。
そのNVIDIAは再びOpenAIに投資を行う――まるで資金がぐるぐると回っているような構造になっているのです。
■ 「循環取引」と呼ばれる仕組み
動画で紹介されているこのお金の流れは、経済用語で「ラウンドトリッピング(循環取引)」と呼ばれます。
例えば、A社がB社に100万円を払い、B社がC社に100万円を払い、C社がまたA社に100万円を返す。
実際には誰も儲かっていないのに、帳簿上では全社に「100万円の売上」が立ちます。
これが繰り返されると、まるで経済が活性化しているように見え、企業の評価額(時価総額)はどんどん上がっていきます。
投資家たちは「売上が伸びている企業だ!」と勘違いし、さらに株を買い増す。
こうして、実態を伴わない“バブル”が出来上がっていくのです。
■ AI業界に起きている「お金のぐるぐる」
この構図をAI業界に当てはめると、次のようになります。
- OpenAI が資金調達を行う。
- 集めた資金で Microsoft のクラウド(Azure)を利用。
- Microsoftは受け取った資金で NVIDIA のGPUを購入。
- NVIDIA はその収益をOpenAIへの投資に回す。
結果として、全員が売上を計上でき、株価も上昇。
しかし、実際には「お金が回っているだけ」で、純粋な利益は生まれていません。
同じような構造が Amazon(AWS)とAnthropic、xAIとTesla の間にも存在しています。
特にxAI(イーロン・マスクが設立したAI企業)は、テスラの株を担保に資金を得て、その資金でNVIDIAのGPUを購入しています。
テスラとxAIの両方に同じCEOがいるため、利益相反(コンフリクト・オブ・インタレスト)の懸念も出ています。
■ 売上は伸びても利益は出ない構造
OpenAIの年間売上は約100億ドル、Anthropicは約50億ドルとされています。
数字だけ見ると成長しているように見えますが、問題はその裏側です。
これらの企業は売上を上げるたびに、同じかそれ以上のコストを支払っており、最終的に利益はほとんど出ていません。
つまり「売上=損失拡大」になっているのです。
さらに、AIモデルを動かすための電力・GPUコストは莫大で、ユーザーが支払う利用料金ではとても回収できません。
このままでは、どれだけAIが使われても「利益が出ないビジネスモデル」になってしまうのです。
■ 「AI業界は本当に価値を生み出しているのか?」
動画では、「現在のAIブームは2000年のITバブル前とそっくりだ」と指摘します。
当時は「.com」と名が付くだけで株価が上がり、最終的に多くの企業が破綻しました。
AI業界も同じように、“売上だけが回る幻想の経済”に陥っている可能性があるというのです。
「AIが社会を劇的に変える」と信じたい気持ちは多くの人にあります。
しかし現時点では、OpenAIもNVIDIAも、そして多くのAIスタートアップも、「本当の意味での利益」をまだ生み出せていません。
資金の流れを追うと、ただお金が回っているだけ――それが今の現実かもしれません。
■ それでもAIが持つ未来への可能性
もちろん、動画はAIを全否定しているわけではありません。
AIは今後、人類の生活を大きく変える潜在力を持っています。
問題は「今この瞬間」、バブルのようにお金が回っているだけの構造が危険だということです。
今後、これらの企業が実際に生産性を高め、利益を出せるようになれば、現在の評価額も正当化されるかもしれません。
しかしそうでなければ、投資家が“幻想”から目を覚ましたとき、一気にAIバブルが崩壊する可能性もあります。
■ まとめ:数字の裏側を見抜く力を
AI業界では、毎週のように「数百億ドル」「数千億ドル」といった巨額の資金が動いています。
しかしそれが「実際の利益」なのか「ぐるぐる回して作られた売上」なのかを見極める力が、今こそ投資家に求められています。
もしあなたがAI関連株やETFに投資しているなら、
「その企業は何で儲けているのか?」
「売上は本当に実需に基づいているのか?」
この2つを必ずチェックするようにしてください。
華やかなニュースの裏で、誰かが“ババ抜き”をしているかもしれません。
AIバブルが本物の成長か、それとも巨大なねずみ講か――
その答えを決めるのは、私たち一人ひとりの冷静な判断なのです。


コメント