アメリカのニュースでよく話題になるトランプ元大統領。特に地方の人々からの支持が根強いと言われています。その中でも「ウェストバージニア州」は特にトランプ支持が圧倒的で、まさに“岩盤支持層”とも言われています。
でも、なぜこの州がそんなにもトランプ氏を支持するのでしょうか?この記事では、その背景を歴史や経済、社会問題などから分かりやすく解説していきます。
【結論】なぜウェストバージニア州はトランプ支持なのか?
簡単にまとめると、理由は以下の3つです。
- 石炭産業の衰退とトランプの復活支援策
- 民主党政権による環境規制への反発
- 貧困や薬物問題への危機感と、強いリーダーへの期待
では、それぞれの理由について詳しく見ていきましょう。
① 石炭の町だったウェストバージニア州
ウェストバージニア州は、アメリカ東部の山岳地帯「アパラチア山脈」に位置し、かつては石炭産業で栄えた町です。土地の約80%が森林に覆われる自然豊かな州で、アメリカ国内では石炭生産量第2位(1位はワイオミング州)。
しかし、近年は以下の理由で経済が大きく低迷しています。
- 石炭の需要減少
- 環境保護政策による発電所の規制
- 海外の安価な石炭との競争
その結果、1人あたりの収入も世帯収入も全米ワースト上位となり、「全米で最も貧しい州」のひとつに。
② 民主党政権の環境政策が石炭業を圧迫
民主党は環境問題への対策として、石炭火力発電に対して厳しい規制を進めてきました。
- CO2排出量の削減
- 再生可能エネルギーの推進
- 石炭火力発電所の閉鎖
こうした方針は、石炭で生計を立てていたウェストバージニア州の人々にとって死活問題。
一方で、トランプ氏はこうした環境規制に反発し、石炭産業の再生を掲げて支持を集めました。
たとえば2017年には、オバマ政権時代の「クリーン・パワー・プラン」を撤回。さらに石炭の増産を支援する大統領令に署名し、石炭業界を後押ししました。
③ ドラッグ汚染と貧困の悪循環
ウェストバージニア州は貧困だけでなく、ドラッグ汚染(フェンタニル中毒)も深刻な問題です。
- フェンタニルは医療用の強力な鎮痛剤で、炭鉱労働者に多く処方されていました。
- しかし依存性が非常に強く、簡単に手に入ることから中毒患者が急増。
- 結果、フェンタニル過剰摂取による死亡率が全米1位となっています。
これは石炭労働者の多くが事故で負傷→鎮痛剤としてフェンタニルを使用→依存という流れが背景にあります。
④ 地域の文化と伝統が“トランプ的”だった
ウェストバージニア州は以下のような特徴を持っています。
- 保守的な価値観(伝統、家族、宗教など)
- 銃所持や国境管理への賛成
- 外国からの影響への警戒心
こうした人々にとって、トランプ氏の「強いアメリカ」「自国第一主義」の主張は心に響いたのです。
⑤ 歴史的にも共和党支持の土壌があった
ウェストバージニア州は、南北戦争時に奴隷制度に反対する形でバージニア州から分離独立して誕生しました。もともと北部的・共和党的なスタンスが強い地域であり、2000年以降の大統領選では毎回共和党候補が勝利しています。
【補足】カントリーロードとUMAの話
ちなみに、あの有名な「カントリーロード(Take Me Home, Country Roads)」は、この州をモデルにした楽曲で、2014年には州の公式ソングにもなりました。
また、モスマンやフラットウッズ・モンスターなど、アメリカを代表するUMA(未確認生物)の目撃情報が多いのもこの州の特徴です。都市開発が進んでいない、手つかずの自然が多いことも関係しているのでしょう。
【まとめ】なぜウェストバージニア州はトランプ氏を支持するのか?
- 経済の柱だった石炭産業が環境規制で衰退
- 貧困とドラッグ汚染が深刻化
- トランプ氏が「石炭復活」「雇用拡大」「ドラッグ対策」などを具体的に訴えた
- 伝統的で保守的な文化がトランプ氏の主張と一致
- 歴史的に共和党支持が根強い地域
トランプ氏は、そうした不安や不満を代弁する“分かりやすい言葉”と“強い態度”で語りかけたことで、多くの州民に「この人なら変えてくれるかもしれない」と思わせたのです。
地方の現実を知ることで、アメリカ政治の本質が見えてくる。
今後の選挙でも、ウェストバージニア州のような“トランプ岩盤支持層”がどのように動くかは注目すべきポイントです。
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