結論:円預金だけは「円という1銘柄への全力投資」。ドル還流を理解して、自分の資産にも世界の流れを取り込むべき
最初に結論からまとめると、この動画が伝えたいポイントはだいたい次の3つです。
- 今の円安は「日米金利差」という表面的な理由だけでなく、ドルが世界の基軸通貨として選ばれてきた歴史と構造(ペトロダラー、ドル還流)が背景にある
- 現在は、そのドルの強さを支える仕組みとして、米ドル建てマネーマーケットファンド(米ドルMMF)が巨大な受け皿になり、世界中の待機資金がドルに流れ込んでいる
- 日本人が円預金だけを持ち続けることは、利回りの低い円という「1銘柄」に全力投資しているのと同じであり、構造的な円安の中では、ドル資産などを使って自分も「ドル還流の流れに乗る」視点が必要
つまり
・「円安はそのうち終わるだろう」と何も考えず円預金だけを握っていると、
・口座の数字は減っていなくても、購買力(価値)はじわじわ削られていく可能性が高い
という警告です。
ここから先は
・なぜ日米の金利差がここまで開いたのか
・なぜドルだけが特別に強いのか(ペトロダラー、ドル還流)
・今のドル還流の具体的な姿(米ドルMMFと高金利)
・この構造がいつ終わるのか、個人はどう備えるべきか
を、初心者にも分かるように順番に整理していきます。
1 日米の中央銀行が辿った「正反対の30年」が、今の円安を作った
まずは、一番表面的な要因「日米の金利差」からです。ここを理解するには、日本銀行(日銀)とアメリカのFRBが、この30年以上まったく違う敵と戦ってきたことを理解する必要があります。
1-1 日銀はずっと「デフレ」と戦ってきた
日本は1980年代後半、バブル景気の絶頂を経験しました。しかしバブル崩壊後は、一気に経済が冷え込み、物価が下がり続ける「デフレ」と長期停滞に苦しみます。
・物価が上がらない
・企業の売上も伸びない
・給料も上がらない
という、冷え切った経済です。
この状況で日銀が最優先したのは
・とにかくお金を市場に供給して、経済を温める
・企業がお金を借りやすく、人々がお金を使いやすい環境を作る
ことでした。
そのために
・金利をほぼ0%まで下げる
・長期にわたって「超低金利・金融緩和」を続ける
という政策を、何十年も続けてきました。
2025年になって、ようやく政策金利を0.5%程度まで上げましたが、それでも世界的に見れば「ほぼゼロ金利」に近い水準です。追加利上げにもかなり慎重で、「本格的な金融引き締め」はまだ先と見られています。
1-2 FRBは「インフレ」と戦い、金利を高く上げてきた
一方アメリカは、日本とは逆に「インフレ」と戦ってきました。
特にコロナ後
・経済が急回復しすぎて、物価がどんどん上がる
・人手不足、賃金上昇、原材料高などで、高インフレが定着しかけた
ため、FRBは
・熱くなりすぎた経済を冷ますために、政策金利を大幅に引き上げる
・短期間で一気に利上げを進める
という、日銀とは真逆の「金融引き締め」を行いました。
2025年10月時点の予測例では
・FRBの政策金利はおおよそ4〜4.25%レンジ
・日銀は0.5%
というように、ざっくり3〜4%ポイントもの差がついている状態です。
FRBは最近になって利上げペースを少し緩めていますが、それでも金利水準そのものは依然として高いままです。
1-3 金利差は、なぜ為替(ドル円)をこれほど動かすのか
ここで、シンプルな疑問が湧きます。
「金利差があると、なぜドル高・円安になるのか?」
イメージしやすくするために、かなりざっくりした例を出します。
・A銀行(日本円):金利 0.1%
・B銀行(米ドル):金利 4%
あなたが100万円を預けるとします。
・A銀行に預けた場合:1年後の利息は、せいぜい数百円〜数千円
・B銀行にドルで預けた場合:為替リスクはあるものの、理屈上4万円近い利息
世界中の投資家も同じことを考えます。
・金利がほぼ0の円で持っていても増えない
・どうせ現金で持つなら、金利が高いドルで持っていたい
こうして
・円を売ってドルを買う
・ドルで債券やMMFに投資する
という動きが世界規模で起こります。
結果として
・円を売る人が多い → 円安方向の圧力
・ドルを買う人が多い → ドル高方向の圧力
が継続的にかかり、1ドル150円超といった水準が「当然の結果」として生まれているわけです。
しかもこの日米金利差は
・単なる一時的な現象ではなく
・過去20年以上にわたる経済構造の違いから生まれたもの
なので、簡単には解消しません。
この「金利差」が、目に見える円安の直接要因です。しかし、ドルの強さの源泉は、それだけではありません。
2 歴史編:ドルを「最強通貨」にしたペトロダラーとドル還流
金利差の奥にある、もっと根っこの話が「ペトロダラー」と「ドル還流(ドルリサイクリング)」です。ここは少し歴史の話になりますが、円安やドル高の本質を理解するうえでかなり重要なパートです。
2-1 かつてドルは「金」に裏付けられていた(ブレトンウッズ体制)
第二次世界大戦後、世界は「ブレトンウッズ体制」というルールで動いていました。
・アメリカのドルだけが、金と交換できる特別な通貨
・他の国の通貨は、そのドルと一定のレートで結び付けられる
という仕組みです。
つまり
・金(ゴールド)が、ドルの価値を裏付ける
・ドルが、世界中の通貨の基準になる
という、金本位制に基づいた世界でした。
ところが1971年、アメリカのニクソン大統領が
・ドルと金の交換を停止する
と宣言します。これが有名な「ニクソンショック」です。
この瞬間、
・ドルは金という絶対的な裏付けを失った
・「じゃあ、これからドルの価値は何が支えるの?」
という問題が世界中で生まれました。
2-2 石油とドルを結びつけた「ペトロダラー」誕生
金に代わる「新しい裏付け」を探したアメリカが目をつけたのが、世界中が必要とする戦略資源「石油」です。
1974年、アメリカは当時世界最大の産油国だったサウジアラビアと、歴史的な合意を結びます。
・アメリカはサウジに軍事的な保護・経済支援を提供する
・その代わりに、サウジは自国の石油輸出の代金を、すべてドル建てで受け取る
という約束です。
このルールは、やがてOPEC加盟国にも広がり、
・世界の石油は、ドルで決済するのが当たり前
というシステムが出来上がりました。これが「ペトロダラーシステム」です。
ここで起きた変化は、非常にシンプルですが強力です。
・日本でもドイツでも、中国でもインドでも
・石油を輸入したければ、まずドルを手に入れなければいけない
という新ルールが、事実上世界に課されたのです。
これにより
・アメリカ経済が多少悪くても
・世界中が石油を買うために、常にドルを必要とする
という「構造的なドル需要」が生まれました。
2-3 産油国にたまったドルが、アメリカに戻ってくる「ドル還流」
ペトロダラーには、もう1つ重要な側面があります。
・石油価格が上がる
・産油国(サウジや湾岸諸国)には、莫大なドルが流れ込む
しかし、それだけのドルを自国の中だけで使い切ることはできません。
そこで彼らは
・余ったドルを、どこか安全で利回りのある資産で運用したい
と考えます。
その行き先が
・アメリカの国債(米国債)
・アメリカの金融資産
だったわけです。
つまり
・産油国は石油を売ってドルを稼ぐ
・そのドルで、アメリカの国債を買う
・アメリカ政府は、世界中から集まるドルで財政を回せる
という、お金の大きな循環が生まれました。
これが「ペトロダラーリサイクリング」、日本語でいう「ドル還流」です。
この仕組みの中で、
・世界の石油取引がある限り、ドルの需要は途切れない
・産油国の余剰ドルは、結局アメリカの金融市場に戻ってくる
という構造が、何十年も続いてきました。
これが、金利差だけでは説明できない「ドルの根源的な強さ」です。
3 現代版ドル還流:米ドルMMFという巨大な「ドルの預け先」
ペトロダラーが「石油→産油国→米国債」という大きな流れだとすれば、現代のドル還流の最前線は「マネーマーケットファンド(MMF)」です。
特に、米ドル建てMMFが、世界中の待機資金を吸い込む巨大な器になっています。
3-1 MMFとは何か?ほぼ現金に近い、超短期の投資信託
MMF(マネーマーケットファンド)は、一言で言えば
・たくさんの投資家から集めたお金を
・プロが安全性の高い、短期の金融商品で運用する投資信託
です。
特徴としては
・元本保証ではない
・ただし「1口=1ドル」を維持することを目標に運用する
・投資対象は、満期が短くて安全性の高い債券に限定されている
具体的には
・米国財務省が発行する短期国債(T-Bills)
・アップルやマイクロソフトなど信用力の高い企業の短期社債(コマーシャルペーパー)
といった、信用度の高い短期債券です。
さらに
・アメリカの証券取引委員会(SEC)が、MMFに厳しいルールを課している
・投資商品の平均残存期間を60日以内にしなければならない
など、金利変動による価格変動リスクを極力抑える設計になっています。
そのため
・銀行預金のように預金保険で守られているわけではないものの
・市場では「最も安全な金融商品の一つ」と見なされている
というポジションにあります。
3-2 利回り比較:米ドルMMF 3〜4% vs 円預金 ほぼ0%
重要なのは「利回り」の差です。
動画の例では、2025年時点で
・米ドルMMF:年3〜4%台
・日本の円預金:ほぼ0%(100万円預けても1年で数円〜数十円レベル)
・円建てMMF:0.数%程度
という、圧倒的な差が示されていました。
例えば
・日本の銀行に100万円を1年間預ける
→ 利息はほとんどゼロ
・同じ100万円をドルに替え、米ドルMMFで運用する
→ 理論上、3〜4万円程度の利息が期待できる(為替変動リスクはある)
となれば、
・「特に使い道が決まっていない待機資金」は
・円で寝かせておくより、ドルMMFに置いておきたい
と考える投資家が増えるのは、ある意味当然です。
この動きが
・世界中で起こる
・待機資金がドルMMFに集まり続ける
という現象に繋がっています。
結果として、米ドルMMFの残高は
・約7.3兆ドル(日本円で約1000兆円超)
という、とてつもない規模まで膨らんでいます。
これは
・世界中の個人や企業が
・「事実上、金利のつくドル預金」としてMMFを使っている
と言っても良いレベルです。
3-3 日本にいながら、ドルMMFを使える時代
以前は、こうした米ドルMMFは主にアメリカの投資家向けのものでしたが、今は日本からでもネット証券を通じて比較的簡単にアクセスできるようになりました。
動画内では
・SBI証券
・楽天証券
・WeBull証券(ウィブル証券)
などの名前が挙がっており、とくにウィブル証券の「マネーブル」というサービスが具体例として紹介されています。
マネーブルの特徴としては
・口座にある使い道のない米ドル資金を、自動的に高利回りの米ドルMMFに振り向ける
・一度設定すれば、放置していても待機資金が年3%超の利回りを生み続ける
・必要になったときは、そのMMFを原資にそのまま米国株やETFの売買に使える
といった点が挙げられていました。
ここで大事なのは
・特定のサービスを使えという話ではなく
・「日本にいても、ドル還流の流れに個人レベルで乗れる手段が揃ってきた」
ということです。
円預金しか知らなかった時代から
・円
・ドル現金
・ドルMMF
・ドル建て債券・株式
という選択肢が、ネット証券を通じて個人にも開かれている、という変化は押さえておくべきポイントです。
4 「ドル還流サイクル」が円安を自己強化する仕組み
ここまでの話を、ざっくり「サイクル」としてつなげてみると、次のような流れになります。
- 日米の金融政策の違い
・アメリカは高インフレと戦うため高金利
・日本はデフレ・低成長と戦うため低金利
→ 日米金利差が3〜4%ポイントも開く - 金利差が、世界中の資金をドルに引き寄せる
・円はほぼ0%、ドルMMFは3〜4%
・合理的に考える投資家は、「待機資金はドルMMFに置こう」と考える
→ 円が売られ、ドルが買われる - 集まったドルは、米国債やMMFなどで運用される
・アメリカ政府や企業にとっては、世界から資金が集まる「超優良な資金調達環境」
・米国の金融市場はさらに大きく・深く・信頼される存在に - 米国の金融市場の厚みと信頼が、さらにドルの魅力を高める
・「やっぱりドル資産が一番安心」と考える人が増える
・新興国・先進国問わず、ドル建て資産への投資が増える - その結果、ドル高・円安が続きやすくなる
・円安が進むと、円建て資産の購買力は相対的に落ちる
・「やっぱりドル持っておこう」と考える人が増え、さらにドル需要が増える
このように
・日米金利差
・ドルMMFや米国債への資金流入
・ドルの信頼と需要の維持・拡大
が、お互いを強化し合う「自己強化ループ(フィードバックループ)」になっています。
これが「ドル還流のサイクル」です。
5 この構造はいつ終わるのか?あり得るシナリオと現実的な見通し
では、このドル還流サイクルと円安基調は、いつか終わるのでしょうか。
動画では、構造を崩し得るシナリオとして、主に二つが挙げられていました。
5-1 シナリオ1:日銀がアメリカ並みに大幅利上げする
一つ目は
・日本が本格的な利上げに踏み切り、日米金利差を一気に縮める
というシナリオです。
しかし現状の日本経済を考えると
・家計も企業も「超低金利前提」で長年生きてきた
・住宅ローン、企業の借入、国債残高、どれをとっても急激な利上げには耐えにくい構造
・少し金利を上げただけでも、景気への悪影響が大きい可能性がある
ことから、
・アメリカ並みに一気に金利を引き上げる可能性はかなり低い
と考えざるを得ません。
5-2 シナリオ2:アメリカが深刻な不況に陥り、ゼロ金利へ逆戻りする
もう一つは
・アメリカが大不況に陥り、FRBが再び利下げを繰り返してゼロ金利に戻る
というシナリオです。
これが起きれば
・ドルの金利的な魅力は一気に低下
・ドルMMFの利回りも下がり、待機資金が別の国や通貨に逃げる
という流れはあり得ます。
しかしその場合
・アメリカだけでなく、世界中の株式市場や債券市場が大荒れになる
・リーマンショック級、もしくはそれ以上の世界同時不況リスク
も同時に抱えることになります。
つまり
・ドル還流サイクルが弱まる時は、世界経済全体もかなりのダメージを受けている可能性が高い
という、別の意味でのリスクを伴います。
5-3 現実的には「中期的にこの構造は続きやすい」
こうしたシナリオを踏まえると、動画では
・少なくとも中期的(数年単位)には、今の円安を支える構造は続く可能性が高い
・日米金利差が突然ゼロになるような展開は、なかなか想定しづらい
とまとめています。
だからこそ
・「いつか円高に戻るだろう」と何もしないのではなく
・構造を理解したうえで、自分の資産の持ち方を考え直す
ことが重要になります。
6 個人はどう動くべきか:円だけに全力ではなく、「世界の流れ」を自分の味方にする
最後に、一番実務的な部分です。
ドル還流の構造を理解したうえで、私たち個人はどう資産を持てば良いのでしょうか。
動画のメッセージを整理すると、ポイントは次の通りです。
- 円預金だけ=利回りゼロの円という1銘柄への全力投資だと理解する
- ドル資産を一部持つことで、円安という逆風をある程度ヘッジできる
- 米ドルMMFなどを活用すれば、「日米金利差」というマクロ要因を自分の味方にできる
- ただし、為替リスクや商品ごとのリスクは必ず理解した上で、自分の判断で使う
これをもう少し具体的なステップに落とし込んでみます。
6-1 ステップ1:自分の資産がどれだけ「円100%」かを把握する
まずは現状把握です。
・銀行の円預金
・円建て保険
・日本株、投資信託(日本株中心)
など、実際に自分の資産を紙に書き出してみると
・ほとんどが円建て
・海外資産はごくわずか、もしくはゼロ
という人が多いはずです。
これは
・利回りの低い「円」という1銘柄に、全資産を集中投資している
のと本質的には同じです。
まずは
・自分の通貨構成(円:ドル:その他)
・自分の資産のうち、どれくらいが海外資産か
をざっくり把握してみましょう。
6-2 ステップ2:生活防衛資金は円で残しつつ、「外貨ゾーン」を作る
次に考えるべきは、バランスです。
いきなり全てをドルに変える必要はありませんし、それをやると今度は「ドルに全力投資」のリスクを抱えることになります。
大事なのは
・数ヶ月〜1年分の生活費は、円の現金・普通預金で確保しておく
・それ以上の余剰資金の一部を、徐々に外貨建て資産に振り向ける
という考え方です。
具体的には
・生活費6ヶ月分までは、円の普通預金
・それ以上の余裕資金の一部(例えば10〜30%程度)を、ドル資産に
といった形で「外貨ゾーン」を少しずつ作っていくイメージです。
6-3 ステップ3:ドル資産の選択肢を知る(MMF・債券・株式など)
ドル資産といっても、選択肢はいくつかあります。
・ドル現金(外貨預金など)
・米ドルMMF
・米国債
・米国株、米国株式ETF
などです。
その中でも、動画で特にフォーカスされていたのが
・米ドルMMF(低リスクで短期運用、利回り3〜4%前後)
です。
特徴としては
・為替リスクはある
・元本保証ではないが、安全性は比較的高い
・待機資金の置き場として、「円預金よりは圧倒的に利回りが高い」
というポジションなので、
・「とりあえず今は株を買うタイミングじゃない」
・「だけど円で寝かせておくのはもったいない」
という資金の一時避難場所として使いやすい、という位置づけです。
ただし当然ながら
・どの商品もリスクゼロではない
・為替が大きく円高方向に振れれば、円換算の評価額が減る可能性もある
ので、「元本保証の高金利預金」と思い込むのは危険です。
各商品ごとのリスク・手数料・税制を、自分でも一度は確認しておくべきです。
6-4 ステップ4:短期の為替予想でギャンブルしない。あくまで「長期の通貨分散」として考える
最後に、一番大切な心構えです。
ドル還流の話を聞くと
・今すぐ全部ドルに変えたほうがいいのでは?
・今は150円台だから、もっと上がる前に急いでドル買いしよう
と短期的な為替予想で動きたくなりますが、それはおすすめできません。
為替レートは
・数ヶ月〜1年単位では、専門家でも正確に当てるのはほぼ不可能
・ニュースや発言で、短期的に大きく行ったり来たりする
からです。
この動画が伝えているのは
・「明日ドルが上がるか下がるか」ではなく
・「長期的に見て、ドルという通貨とアメリカの金融市場に資本が集まり続ける構造がある」という話
です。
だからこそ、
・ドル資産を持つのは、短期の為替ギャンブルではなく
・10年、20年スパンでの「通貨分散」「世界の成長を取り込む」ための一手
として位置づけるのが大事です。
7 まとめ:円安時代を生き抜くために、「世界のルール」を自分の味方にする
最後に、この記事の内容を簡単にまとめます。
- 今の円安は、日米金利差だけでなく、ペトロダラーやドル還流といった歴史的・構造的な要因に支えられている
- ドルは、石油決済に必須であること、産油国の余剰資金が米国債に還流してきたこと、安全で巨大な金融市場があることから、他の通貨にはない特別な需要と信頼を持っている
- 現代では、米ドルMMFという形で世界中の待機資金がドルに流れ込み、年3〜4%の利回りを求めて「ドル預け」が加速している
- 日米金利差 → ドル需要増 → 米国の金融市場強化 → さらにドル需要増、という自己強化ループが、円安基調を支えている
- この構造を一気に壊すには、日銀の大幅利上げか、アメリカの大不況によるゼロ金利復帰が必要だが、どちらも簡単ではない
だからこそ、私たち個人にとって大事なのは
- 円預金だけ=円という1銘柄への全力投資になっていないかを見直すこと
- 生活防衛資金は円で確保しつつ、余剰資金の一部をドル資産などに振り向けること
- 米ドルMMFなどを通じて、日米金利差やドル還流という「世界の大きな流れ」を自分の資産形成にも取り込むこと
です。
もちろん、特定の商品やサービスに「全力で乗れ」という話ではありません。
大切なのは
・構造を知ったうえで、自分で考え、自分で選ぶ
・円安という逆風をただ嘆くだけでなく、その同じ力を自分の味方にする方法を検討する
という姿勢です。
あなたの資産は、今どれくらい「円100%」になっているでしょうか。
紙に書き出してみて、外貨や海外資産の割合をざっくり計算してみることから、一歩目が始まります。


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