もしロシアが勝利したら?ウクライナ戦争後の世界と激変する戦場を徹底解説

この記事は「【再アップ】もしロシアが勝利したら?ウクライナ戦争後の世界と激変する戦場【豊島晋作のテレ東ワールドポリティクス】」という動画を基に内容を整理・解説したものです。動画のポイントをできるだけ詳しくまとめ、歴史的背景や具体例を補足して、初心者にも理解できるように書いています。

目次

結論:ロシア勝利はヨーロッパの安全保障を根本から揺るがす

もしロシアがウクライナ戦争で勝利すれば、ヨーロッパの安全保障秩序は大きく崩壊します。
特に深刻なのは次の3点です。

  1. ロシアの領土侵略が「既成事実」として受け入れられてしまう
  2. NATOの集団防衛条項(第5条)が形骸化し、同盟の信頼が失われる
  3. 民主国家が独裁国家に対して一歩引いてしまうことで、さらなる侵略を招く

短期的には大戦争や核戦争のエスカレーションを避けられるかもしれませんが、長期的には逆に大規模戦争のリスクを高める結果となるのです。

ロシア勝利のシナリオとは?

ドイツの軍事専門家カルロ・マサラ教授の著書「ロシアが勝利する時」では、2025年にロシアがウクライナの領土の2割を奪取し、スイスで和平交渉が開かれて戦争が終わるという仮想シナリオが描かれています。

ウクライナは分断され、西側諸国は疲弊し、結果としてロシアの侵略を事実上受け入れてしまう。この時点で、ロシアは「軍事侵略によって得られた領土を確保できる」という報酬を世界に示すことになります。

2028年:エストニア侵攻の仮想シナリオ

マサラ教授の本では、停戦から3年後の2028年、ロシアがエストニアの国境の町ナルバに侵攻する場面が描かれています。ナルバにはロシア系住民が多く住んでおり、「彼らを保護する」という口実で軍事介入するという筋書きです。

問題は、エストニアがNATO加盟国であることです。
通常ならばNATO条約第5条に基づき「一国への攻撃は全加盟国への攻撃」とみなされ、集団防衛が発動されるはずです。

しかし、このシナリオではアメリカやフランスが核戦争を恐れて第5条発動に反対。スペインやイタリアも世論の「戦争反対」に押されて反対に回り、結局NATOは動かないという状況が描かれます。

NATO第5条と日米安保条約の共通点

ここで重要なのは、第5条は自動的に発動するわけではなく、加盟国の合意が必要だという点です。


これは日本が依存する日米安全保障条約も同じ構造になっています。日本が攻撃されても、アメリカが必ず即座に軍事介入するわけではなく、国内の手続きを経て判断されるのです。

つまり「同盟がある=必ず守ってもらえる」わけではなく、政治判断と世論の影響を強く受けるという現実があります。

ロシアの核による脅しの効果

ロシアがウクライナ侵攻以来繰り返してきた「核使用の恫喝」は、西側諸国の決断を鈍らせてきました。

2022年当初、欧米は戦車や戦闘機の供与をためらい、小出しに支援しました。その結果、ウクライナが戦況を逆転できず、ロシアに領土を奪われる一因となりました。

この「核の脅し」はエストニア侵攻シナリオでも有効に働き、NATOの団結を崩す要因となります。

歴史からの教訓:宥和政策は大戦争を呼ぶ

動画では1936年のナチス・ドイツによるラインラント進駐が例に挙げられています。


当時、イギリスとフランスは「再び戦争をしてはならない」という第一次大戦の記憶からヒトラーに譲歩しました。しかしその結果、ヒトラーは自信を深め、ポーランド侵攻や第二次世界大戦につながりました。

同様に、ロシアに譲歩すれば、プーチン政権が自信を深め、さらなる侵略を加速させる危険があります。

民主国家と独裁国家の戦争持久力の差

独裁国家は民主国家よりも長期戦に耐えられる傾向があります。国民の不満が抑圧され、情報統制が効くため、指導者が「勝利するまで戦い続ける」という選択をしやすいのです。

一方、民主国家は世論や選挙の影響を受けやすく、長期的な犠牲を国民が受け入れにくい。この構造的な弱点が、ロシアや中国のような独裁国家に有利に働いてしまう可能性があります。

短期回避と長期リスク

確かにNATOが反撃しないことで「核戦争」という最悪の事態は避けられるかもしれません。しかし、その代償としてヨーロッパの安全保障の根幹が破壊され、長期的には大戦争のリスクを高めることになります。

短期的な平和のために譲歩した結果、長期的に大きな犠牲を払うことになる。このジレンマは歴史が繰り返し示してきた現実です。

まとめ

もしロシアがウクライナ戦争で勝利すれば、次のことが現実になる可能性があります。

  • ウクライナは分断され、ロシアの領土拡大が既成事実化
  • NATOの抑止力が崩れ、バルト三国やフィンランドが次の標的に
  • 民主国家は核の脅しに屈し、独裁国家が優位に立つ

短期的に戦争を避けても、長期的により大きな戦争を招く可能性があることを歴史は教えています。

この問題はヨーロッパだけでなく、日本の安全保障にも直結します。日本もまた、日米同盟の限界と「核の脅し」に直面する可能性があるからです。

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