この記事は、YouTubeチャンネルで公開された「Russia Says U.S. Is Planning a $37 Trillion Crypto Reset… “And You’ll Pay For It”」という動画をもとに、内容をわかりやすくまとめたものです。
アメリカの莫大な国債を「暗号資産(ブロックチェーン)」で“リセット”する計画があるというロシア側の主張。その真意と、投資家にとって何を意味するのかを整理します。
結論:ロシアの主張は「アメリカがデジタル化で借金を帳消しにする」との警告
ロシア政府は「アメリカが約37兆ドル(約5,600兆円)の国の借金を、暗号資産や金を利用して事実上の“デフォルト(債務リセット)”を狙っている」と主張しました。
その方法として挙げられているのが「米国債(国の借金)をブロックチェーン上に“トークン化”する」こと。
つまり、借金をデジタル通貨の形に変え、そのルールを政府側で操作可能にするというものです。
アメリカの国債とは?誰がアメリカにお金を貸しているのか
まず前提として、アメリカの「国の借金=国債」は、次の4つの主体から借り入れています。
借り手 | 説明 |
---|---|
① 一般市民 | 個人投資家が国債を購入して政府に貸す |
② 金融機関・企業 | 銀行や年金基金などが資金を運用目的で保有 |
③ 外国政府 | 日本・中国・英国などが保有(合計約9兆ドル) |
④ FRB(中央銀行) | 最終的にドルを発行して政府に貸す |
ロシアは2018年以降、アメリカの制裁を受けて米国債をほぼ手放しており、現在は主要保有国ではありません。
それでも今回のように強く反発するのは、「ドル体制を揺るがせたい」政治的な意図があると考えられます。
ロシアの主張:「アメリカはブロックチェーンで借金をリセットしようとしている」
プーチン大統領の経済顧問によると、アメリカは「金と暗号資産の市場のルールを書き換えようとしている」とのこと。
この中核にあるのが「米国債のトークン化(Tokenization)」です。
トークン化(Tokenization)とは何か?
米国債をブロックチェーン上に「デジタル資産」として記録・取引できるようにする仕組みです。
すでに一部の大手金融機関(ウィズダムツリー、フランクリン・テンプルトンなど)は、ブロックチェーン上で米国債ファンドを発行しています。
さらに、米連邦準備銀行(FRB)のカンザスシティ支店もこのトピックについて公式に研究報告を出しました。
トークン化のメリット(表面上の理由)
項目 | 内容 |
---|---|
① 流動性の向上 | 誰でも世界中から数秒で売買できる |
② グローバルアクセス | ケニアやメキシコの投資家でも参加可能 |
③ 即時決済 | 現在数日かかる送金を数秒で完了 |
④ 自動化・ルール制御 | 利払い日を自動送金するなどのプログラムが可能 |
これだけ見ると便利に見えますが、ロシアが懸念するのは「ルール制御」の部分です。
ルールを“書き換える”ことで起こり得る「デジタル債務リセット」
ブロックチェーン上の資産はプログラムでルールを変更できるため、政府が次のような操作を行う可能性があります。
- 償還期限を変更する
10年国債を勝手に12年に延長するなど、返済時期を後ろ倒し。 - 国ごとに制限をかける
対立国(例:ロシアや中国)の投資家が売却できないよう制限。 - 価値を下げる(デジタル減価)
「1ドル=1トークン」だったのを政策で「1トークン=0.9ドル」に変更。
これにより、米国政府は実質的に借金を10%削減できる。
これは「通貨リセット」または「債務リセット」と呼ばれ、歴史的にも似た事例があります。
歴史が示す「リセット」の前例
年 | 出来事 | 内容 |
---|---|---|
1933年 | 金本位制一時停止 | 金の保有を禁止し、市民から金を没収・固定価格で政府に売却させる |
1971年 | ニクソン・ショック | 金とドルの交換を停止し、紙幣発行の制限を撤廃(インフレ開始) |
どちらも「政府が支払能力を維持するために制度を変更した」歴史的な“リセット”です。
今回のロシアの主張は、同様のことがブロックチェーン上で起きる可能性を指摘しています。
インフレ=隠れた「借金減らし」
動画内では、インフレそのものも「借金の実質的な減価」であることが説明されました。
例えば、政府が新しいお金を発行すると、既存のお金の価値が下がり、同じ37兆ドルの借金を「安いドル」で返せるようになります。
例:
・1995年に40万ドルの住宅ローン → 2025年の40万ドルは当時の価値の半分以下
→ 実質的に負担が軽くなる。
政府はこの「インフレ戦略」を意図的に使ってきました。
なぜロシアがこの情報を発信したのか?
ロシアは制裁でドル圏から締め出されており、ドルの信頼性を落とす発言をすることで「脱ドル圏」への流れを強めたい意図があります。
つまり、政治的プロパガンダの側面も強いという点に注意が必要です。
今後の展望:「37兆ドルのデジタル化」が現実になる可能性
アメリカではすでに「国債のデジタル化」実験が進行中であり、完全なブロックチェーン移行は時間の問題とみられます。
もしこれが本格導入されれば、次のようなリスクが考えられます。
- 国債やドルが「デジタル通貨化」し、資産の一元管理が進む
- 政府が価値や流通をコントロールできる仕組みが強化される
- 個人資産の透明性が高まり、国家による監視が強まる
投資家への教訓:「変化はリスクであり、同時にチャンス」
動画の締めくくりで語られたメッセージは「パニックではなく、理解と準備を」。
歴史上、制度の変化は常にチャンスを生み出してきました。
たとえば1971年のニクソン・ショック後、金価格は10年で10倍以上に上昇しました。
同様に、今回の「デジタル債務化」も新しい投資機会を生む可能性があります。
まとめ:アメリカの「デジタル債務リセット」説の真実とは?
- アメリカの借金総額は約37兆ドル(5600兆円)
- ロシアは「暗号資産化で借金を帳消しにする」と主張
- すでに米国債のトークン化が一部進行中
- 過去の事例(1933年・1971年)でも制度変更により実質リセットが行われた
- 投資家は「恐怖よりも理解」を優先すべき
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