本記事は、YouTube動画
『アメリカ人の約8割が将来に悲観。その背景と投資家が学ぶべき心構え【リベ大公式切り抜き】』
の内容を基に構成しています。
好調なはずのアメリカで、なぜ将来への悲観が広がるのか
アメリカといえば、世界最大の経済大国であり、ドルという基軸通貨を発行する国です。
ITやAIなど最先端分野を牽引するシリコンバレーを抱え、高い労働生産性と巨大な内需市場を持つ国として知られています。そのアメリカで、「国民の約8割が将来の経済に悲観的」という調査結果が出たと聞くと、多くの人が意外に感じるのではないでしょうか。
今回の動画では、ウォール・ストリート・ジャーナルとシカゴ大学が実施した世論調査をもとに、アメリカ国民の経済観と、そこから投資家が学ぶべき重要な心構えについて解説されています。
ウォール・ストリート・ジャーナルとシカゴ大学の世論調査
今回取り上げられている調査は、「現在の経済状況に満足しているか」「将来の経済状況をどう見ているか」という、非常にシンプルながら本質的な質問から構成されています。
まず注目すべきは、現在の経済状況に対する評価です。
調査によると、アメリカ国民の62%が「今の自分の経済状況に満足している」と回答しています。
一方で、不満を感じている人は38%にとどまっています。過半数が現状に満足しているという点だけを見ると、アメリカ経済は個人レベルでは決して悪い状態ではないことが分かります。
この数字は、日本で同様の調査を行った場合と比べても、かなり高い水準だと考えられます。
現状満足なのに将来は悲観、その矛盾
ここからが、この調査の最も興味深いポイントです。
将来の経済見通しについて尋ねたところ、実に77%もの人が「将来に悲観的」と回答しました。
現状に不満を持つ38%の人が将来にも悲観的、というのは理解できます。しかし、それを大きく上回る77%が将来を悲観視しているという点が、この数字を一層不可解なものにしています。
これはつまり、「今の生活には満足しているが、将来には不安を感じている人が非常に多い」ということを意味します。
動画では、こうした人々から聞かれる代表的な声として、次のような考えが紹介されています。
- 自分自身は経済的に満たされているが、子ども世代が同じように豊かになれるとは思えない
- 人々の成功を後押ししてきたアメリカ経済の力が弱まっている気がする
- アメリカの繁栄は、すでにピークを迎えているのではないか
要するに、「これ以上良くなる未来が想像できない」という感覚が、多くのアメリカ人の間で共有されているのです。
追加解説:それでもアメリカは強いという現実
ここで動画は、人間の心理と現実の経済成長のギャップに焦点を当てます。
アメリカは世界最大のGDPを持ち、広大な国土と豊富な天然資源を有し、地政学的にも比較的安全な場所に位置しています。加えて、イノベーションを生み出し続ける土壌があり、歴史的に見ても非常に強い国です。
動画内では、伝説的投資家ウォーレン・バフェットの有名な発言が紹介されています。2015年当時、バフェットは次のように述べています。
1930年、自身が生まれた当時と比べて、アメリカの1人当たりGDPは実質で約6倍に増加した。自分の両親の世代にとって、それは夢のような成長だった。
この発言から約10年が経過した2025年現在、アメリカの1人当たりGDPはさらに上昇しています。数字だけを見れば、人類、そしてアメリカ人の暮らしは、この100年で驚異的な改善を遂げてきました。
それでも多くの人が将来に悲観してしまうのは、人間が本質的に「悲観的になりやすい生き物」だからだと動画では指摘されています。進化の過程において、危険を過大評価し、最悪を想定する個体のほうが生き残りやすかったという見方もあります。
投資家が学ぶべき最大のポイント:インデックス投資と楽観主義
ここからが動画の核心部分です。
動画では、成功するインデックス投資家の最大の特徴は「楽観的であること」だと強調されています。
インデックス投資において、悲観は成功を遠ざける要因になります。なぜなら、将来を悲観するということは、価格が下がった局面でインデックスファンドを手放してしまう可能性が高まるからです。
一見すると、悲観的な見方は「賢そう」に見えることがあります。逆に、楽観的な姿勢は「何も考えていない」「甘い」と見られがちです。しかし、インデックス投資では、他人にどう見られるかは重要ではありません。
人類が長期的には成長し続けると信じること。
ウイルスの流行があっても、やがて人類は克服すると考えること。
金融ショックが起きても、いずれ収束すると考えること。
景気後退が来ても、また好景気は訪れると考えること。
株価が大きく下落しても、いずれ回復すると考えること。
これこそが、インデックス投資家に求められる正しい姿勢だと動画では述べられています。
楽観と無謀は違う:キャッシュを持つ意味
ただし、動画では重要な注意点も示されています。それは、「楽観」と「無謀」はまったく別物だということです。
キャッシュをほとんど持たず、過剰なリスクを取った状態で「自分は大丈夫だ」と思い込むのは、楽観ではなく単なる無謀です。どんな時でも楽観的でいるためには、十分な現金(キャッシュ)を持つことが精神的な支えになると説明されています。
将来、本当に株価の大暴落が起きる可能性はゼロではありません。いつ起こるかは分からないものの、起きる前提で備えておくことは大切です。そのうえで、「いずれ戻る」「また最高値を更新する」と考え続けられるかどうかが、長期投資の結果を左右します。
まとめ:悲観が広がる時代だからこそ、投資家は楽観的である
今回の動画では、アメリカ国民の約8割が将来の経済に悲観しているという現実が紹介されました。世界最大の経済大国に住んでいても、現状に満足できない人は存在し、将来に不安を抱く人は非常に多いのです。
人間は完全に楽観的になることも、常に満足し続けることも難しい生き物なのかもしれません。しかし、少なくともインデックス投資においては、楽観的であり続けることが、精神面でも資産形成の面でも大きなメリットをもたらします。
「世の中はきっと良くなっていく」「人類はこれからも成長していく」。
この考えを信じてコツコツ投資を続ける姿勢は、長期的に見れば、心にも財布にも優しい選択だと言えるでしょう。
インデックス投資を実践している方は、短期的な不安や周囲の悲観論に振り回されず、楽観的なスタンスを保ちながら、地道に継続していくことが重要です。


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