※本記事は、YouTube動画「【このまま悪化すると株価にも影響でる】雇用統計“数字の異変”とトランプ高関税政策が招くアメリカ経済の危機と今後の展開をデータ解説【何を信じればいいのか】」の内容をもとに執筆しています。
結論:雇用悪化と政策リスクが同時進行し、株価下落の可能性大
2025年8月1日に発表された米国雇用統計は、市場予想を大きく下回り、さらに5月・6月分の雇用者数が計25万8,000人も下方修正されるという異例の事態となりました。
これにより「労働市場の減速」が鮮明になり、同時にトランプ政権の高関税政策や移民規制の悪影響が浮き彫りに。
利下げ観測は急上昇し、為替や株式市場にも大きな動きが発生。今後は**スタグフレーション(物価高と景気悪化の同時進行)**のリスクを伴い、FRBの政策判断は極めて難しい局面に入ります。
雇用統計の異変:数字の大幅修正と業種別の明暗
予想を下回る新規雇用
- 7月非農業部門雇用者数:+7万3,000人(予想+11万人)
- 失業率:4.2%(最近の中では高水準)
- 賃金:前年同月比で上昇
驚きの下方修正
- 5月:−12万5,000人
- 6月:−13万3,000人
- 2か月合計で**−25万8,000人**
→ 月平均の雇用増は3万5,000人にとどまり、急減速が明らかに。
業種別の増減
- 増加:医療・福祉、教育、金融、運輸・公共事業、小売、レジャー
- 減少:プロフェッショナルサービス、製造業、政府部門
賃金上昇の裏側:移民減少による統計の歪み
労働力人口が3万8,000人減少し、労働参加率は3か月連続低下。外国生まれの労働者(移民)が減少し、低賃金労働層の比率が下がったことで平均賃金が押し上げられる「統計上の上振れ」が発生。
これはコロナ禍初期にも見られた現象で、実態として賃金が大幅改善したわけではありません。
市場の反応:株・為替・コモディティが急変
雇用統計発表直後の8月1日、米株式市場は急落。AmazonやMicrosoftなど好決算銘柄も下落し、景気敏感な半導体株は特に大きく売られました。
- 利下げ観測:9月FOMCでの利下げ確率が50% → 98%以上に急上昇
- 為替:ドル円は150円台から147円へ一気に4円の円高
- 金価格:ドル安を背景に急騰
トランプ大統領の動き:統計不正疑惑と人事介入
トランプ氏は雇用統計の数字が「不正に操作された」と主張し、労働統計局長を即日解任。これに対し、全米企業経済協会などが「統計の信頼性を損なう」と強く批判しました。
さらにSNS「トゥルースソーシャル」で、バイデン政権が大統領選で民主党有利にするため統計を改ざんしたとの陰謀論的発言を連発。
このような政治的圧力は、統計データの中立性や市場の信頼を大きく損なうリスクがあります。
高関税政策・移民規制が労働市場に与える影響
- 高関税:製造業の輸出コスト上昇 → 雇用減少(3か月連続で製造業雇用は1万人未満の増加)
- 移民規制:建設業・接客業など労働力不足 → 業績悪化・賃金構造の変化
景気悪化のシグナル:4つの重要指標
- 新規失業保険申請件数:横ばいだが高止まり
- 求人数:景気堅調期にもかかわらず減少傾向
- 人員削減数:大幅増ではないが、新規採用の停滞が深刻
- ミザリーインデックス(失業率+インフレ率):上昇傾向に転じ、景気後退リスクを示唆
今後の注目ポイント
- インフレ率:ここから上昇すればスタグフレーション懸念が強まる
- 9月FOMCの利下げ判断
- 米中間選挙:経済指標が選挙戦略に直結
- 市場の信頼回復:統計の中立性維持が鍵
投資家への教訓:銘柄選びより資金管理が重要
動画では最後に「良い銘柄を探すより資金管理の方が重要」というトレードの本質も語られています。どれだけ有望な銘柄でも、資金管理を誤れば市場変動で退場を余儀なくされることは珍しくありません。
特に今回のような政策・統計・市場の三重リスク局面では、ポジションサイズや損切りルールの徹底が生き残りの鍵となります。
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