元動画のタイトル「インド金融都市GIFT CITYがなぜ急速に注目を集めているのか!インド人だらけの米国投資銀行の現状!」を基に記事を書いています。
結論
GIFT CITYとはインドが国家戦略として推し進める金融特区であり、アメリカの投資銀行がインド人採用を制限される可能性を受けて、インド国内での事業拡大を加速させていることが、急速に注目されている最大の理由です。
さらに
- 法人税免除などの強力な税制優遇
- 大手金融機関が次々と拠点開設
- ドル建て融資の3分の1がGIFT CITY経由に
など、金融ハブとしての存在感が急上昇しています。
GIFT CITYとは何か
GIFT CITYは正式名称をGujarat International Finance Tec-Cityと言い、インド西部でモディ政権が2010年代から開発してきた金融経済特区です。
現在は
・超高層ビルが次々完成
・金融機関、IT企業、大学の研究拠点が進出
という状況で、2020年代に入り一気に稼働が進んでいます。
特に注目すべき点は税制優遇です。
GIFT CITYの税制優遇の例
・法人税が一定期間免除
・金融取引に関わる規制が大幅に緩和
・海外企業の進出手続きが簡素化
これにより、海外の大手金融機関が次々と進出しています。
どれくらい金融機関が集まってきているのか
実際に名前を挙げると、
・バンクオブアメリカ
・シティグループ
・JPモルガン
・スタンダードチャータード
・HSBC
・バークレイズ
・ドイツ銀行
・三菱UFJフィナンシャルグループ(日本)
・シンガポール取引所(SGX)
など、世界の大手が並んでいます。
さらに、2024年4月から2025年3月までにGIFT CITY経由でインド国内に実行されたドル融資は200億ドル、約3兆円。これはインド企業向けドル融資の3分の1に相当します。
2年前は16パーセントだったため、シェアが急上昇しているのが分かります。
なぜ一気に注目され始めたのか
最大の理由はアメリカのトランプ政権の移民政策が再び強化され、インド人採用が難しくなっていること
です。
アメリカの金融はIT化が進み、ITエンジニアの比率が非常に高くなっています。
そして世界最大のIT人材供給国はインドです。
例えば以下の有名な金融システムはインドで開発されました。
・ゴールドマンの取引システム Atlas
・ブラックロックのポートフォリオ管理システム Aladdin
これにより、アメリカの投資銀行内でもインド人の比率が上昇しています。
米国投資銀行のインド人比率はどれくらいか
具体的な数字がこちら。
・ゴールドマンサックス
全社員 4万3000人中 8000人
比率 17パーセント
・JPモルガン
全社員 31万8000人中 6万人
比率 19パーセント
他の米系投資銀行も15パーセント前後がインド人です。
つまりインド人がいないと金融機関が回らないレベルになっているわけです。
トランプ政権が採用制限をどう変えるのか
ポイントは以下の通りです。
・インド人ITエンジニアのビザ発給が厳格化
・アメリカ国内のインド人採用が難しくなる
・アメリカ人の仕事を奪っているという批判が再燃
・金融アナリスト職までインド人が担う例が増加
これらを受けて投資銀行は
「ではインド側の拠点を増やそう」
と動いています。
つまりインド人をアメリカで雇えないなら、インドで雇う流れが強まるということです。
ではなぜGIFT CITYが選ばれるのか
インドの金融拠点としてはバンガロールやムンバイも有名ですが、GIFT CITYは政府が「国際金融都市」として制度設計をしている点が違います。
・法人税免除
・外資規制が緩い
・ドル取引が可能
・オフショアセンターとして機能
・世界中の銀行が入る環境が整備済み
このため、アメリカの投資銀行にとってインド拠点拡大の最適地として浮上しています。
しかしトランプ政権はGCC(グローバルケーパビリティセンター)にも規制をかける?
動画では以下の指摘がされています。
近年、IT部門だけでなく
・金融アナリスト
・金融スペシャリスト
など高度専門職までインド側に移しているため、アメリカ国内の雇用を圧迫しているという批判も出ています。
そのため、インドのGCC自体への規制も強化される可能性があるという見方もあります。
とはいえ、すでにインド人なしではビジネスが成立しないため、金融機関は拠点拡大を続けざるを得ません。
GIFT CITYの将来性
GIFT CITYはまだ開発途上であり、現在の姿は「成長途中の砂漠の中の金融特区」といった印象です。
しかし
・国際金融都市を目指す国家プロジェクト
・世界の大手金融が続々進出
・ドル融資シェアが飛躍的に増加
・アメリカの政治が追い風
という条件がそろったことで、今後数年間は確実に注目され続ける見込みです。
歴史補足 インドはなぜ金融ハブを本気で目指すのか
インドはこれまで
・巨大IT産業
・アウトソーシングの中心
・ソフトウェア開発大国
として世界に名を馳せてきました。
しかし金融サービスの国際拠点という位置付けは弱く、アジアではシンガポール、香港、東京が中心でした。インド政府は
「ITと金融を掛け合わせた新しい国際金融センター」を構築することで、アジアの金融ハブの座を狙っています。
これは長期的には
・インドルピーの国際化
・金融機関の誘致
・テクノロジー産業との融合
を狙う国家戦略です。
この記事のまとめ
最後に本記事の内容を箇条書きで整理します。
- GIFT CITYはインド政府が推進する金融経済特区
- 法人税免除など強力な税優遇がある
- アメリカの大手投資銀行が次々と進出
- 2024〜2025年のドル融資の3分の1がGIFT CITY経由
- 米投資銀行の15〜20パーセントがインド人社員
- トランプ政権の移民制限によりインド拠点の重要性が増大
- GCCへの規制強化の懸念はあるが、インド拠点拡大は不可避
- GIFT CITYは今後さらに注目される可能性が高い


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