※本記事はYouTube動画「インド市場はバブルか?(米国の25%関税の影響も) | アクシャット・シュリヴァスタヴァ」の内容を基に作成しています。
目次
結論:今のインド市場は「バブル」ではないが、「過大評価」はされている
アクシャット氏は、現在のインド市場は明確なバブルではないが、過去の平均よりも明らかに割高であり、注意が必要と指摘しています。
特に短期的な投資で大きなリターンを期待するには厳しい局面である一方、長期的な目線であれば投資のチャンスもあると分析しています。
米国の25%関税がインド市場に与える影響は?
短期的な影響は限定的
- インド株の多くは国内需要主導型で、外国直接投資(FDI)も減少傾向にあるため、
- 米国の関税強化(25%)の直接的な悪影響は短期的には小さいと見られています。
長期的には警戒すべき構造的課題
- 米中は「AIファースト経済」へ移行中。米国は再工業化に向けてAIとメガファクトリーによる生産性革命を進めている。
- 一方で、インドはAI技術の国家レベルの導入が遅れており、今後「安い労働力」という武器もAIに奪われる恐れがある。
- インドは米中のどちらのパートナーにもなっていないため、自力で成長戦略を構築する必要があるという厳しい現実がある。
インド株市場の現状:2024年〜2025年の動き
株価の停滞:コンソリデーション(調整)期間
- 過去1年間(2024年〜2025年)はNIFTY指数など主要指数のリターンがほぼゼロ〜マイナス。
- 例えば、大手ファンドの多くで年利1〜2%未満のリターン。
- INR(インドルピー)の下落も加味すると、実質的なリターンはマイナス圏に突入。
「上昇トレンドの中の調整局面」にすぎない
- インド市場は2018年〜2020年にも**3年間のボックス相場(横ばい)**を経験。
- 今回も似たようなパターンで、2025年はその1年目と考えられる。
- 市場の約70%は横ばい期間で占められるという統計もあり、「今が異常」というよりは「よくある現象」。
インド市場は本当に割高なのか?
フォワードP/E比で見る市場の過熱感
指標 | 値 |
---|---|
現在のフォワードP/E(2025年7月時点) | 23〜24倍 |
過去10年平均 | 約20.18倍 |
過去20年平均 | 約17.67倍 |
→ 現在は明確に過去よりも割高水準であることがわかります。
- アクシャット氏は自身のポートフォリオの35%をキャッシュで保有中。慎重姿勢が見て取れます。
成長株(Growth)vs 価値株(Value):米国とインドの決定的な違い
投資家の「成長志向」が加速中
- 世界の投資マネーは「成長株(Growth Stocks)」に集中。例:
- Nvidia、Meta、Microsoft、AMDなどは数百%のリターン。
- インド市場ではこのようなグローバルに通用する成長企業が極めて限られている。
- 例:Zomato、Swiggy、Jio Financeなどが挙げられるが、技術的には世界トップには及ばない。
小型株・IPOへの過剰期待には要注意
- IPOの多くは**創業者のエグジット(出口戦略)**目的であり、一般投資家が高値掴みしてしまう傾向。
- 多くの個人投資家がSIP(積立投資)経由でIPO銘柄を買わされている現実もあり、注意が必要。
INR(インドルピー)の下落リスク
- INRは年平均で3〜5%下落しており、これは投資リターンを減少させる大きな要因。
- インドは輸入大国であるため、通貨安は経済全体に悪影響を及ぼす。
- この為替リスクも考慮して投資戦略を設計する必要がある。
投資戦略:SIP vs 機会狙いの投資家
SIP投資家の戦略
- **「ステップダウンSIP」**を推奨。
- 株価が支持線付近にある場合 → 通常通り積立
- 株価が高値圏にある場合 → 積立額を減らす or 一時停止
- 横ばいの相場が続く中では、下がったところで買うことが重要。
機会型投資家の戦略(例:アクシャット氏)
- 現在はインド株に対しては慎重姿勢。
- **「割安なタイミング・技術的サポートレベルでのみ買う」**というルールを徹底。
- 一方、米国株にはすでに多くを投資済み。特にAIファースト企業への注目が強い。
投資先の多様化も視野に
- 暗号資産(クリプト):米国でのStablecoin規制整備により機会が拡大。
- 金・銀:インフレと不確実性に対するヘッジ資産として注目。
- 不動産・ビジネス投資も選択肢として検討すべき。
最後に:今のインド市場で投資家がやるべきこと
- 焦って全力投資しない
- バリュエーションが高いため、慎重さが求められる。
- 期待リターンを調整する
- 特に大企業株では10〜13%程度のリターンが現実的。
- 学びの時間として活用する
- 特に今の「退屈な相場」は投資家としての基礎力を高める好機。
まとめ:インド市場は「過熱」しているが、チャンスもある
- 短期的にはインド市場は横ばい傾向が続く可能性が高い。
- 米国や中国と比べて、成長企業の選択肢が少ないことが課題。
- それでも**適切なタイミングと評価(バリュエーション)**で投資すれば、中長期でのリターンは十分狙える。
投資家としては、過去の習慣に固執せず、市場環境に応じて柔軟に戦略を変えることが重要です。
コメント