イールドカーブについて解説した動画です。
よくニュース等で「逆イールド」と言われたりするのを見聞きすると思いますが、これらは一体どういった意味になるのでしょうか。分かりやすい解説ですので是非ご覧ください。
以下は動画のまとめとなります。
イールドカーブとは?
イールドカーブとは、異なる満期の債券に対する利回りを年限ごとにプロットし、一つの曲線で表現したものです。
一般的に、国債など信用リスクが低い債券を用いて作成されます。
このカーブを利用することで、債券市場の状況や経済の健康状態を予測する手がかりを得ることができます。
イールドカーブの形状と経済状況
イールドカーブには主に三つの形状があります:
順イールドカーブ(右肩上がり)
これは経済が正常に機能しているときに見られる形状で、長期の債券の利回りが短期のものよりも高くなっています。
たとえば、1年債の利回りが0.5%、10年債が1.5%といった具合です。
長期間にわたる投資は不確実性が高く、そのリスクを補うために高い利回りが求められます。だからこそ長期の債権の方が短期の債権よりも利回りが高いのです。
逆イールドカーブ(右肩下がり)
長期債の利回りが短期債より低くなる現象で、経済の先行きに対する悲観的な見方や、将来的な景気後退を示唆しています。
その理由としては、将来の景気予想が悪い時には、多くの投資家が不景気に備えて長期の国債を購入することで、長期金利よりも短期金利よりも利回りが下がります。
過去の例では、逆イールドが景気後退の約1年前に形成されることが多く見られました。
フラット
短期と長期の利回りが近似的に同じになる状態で、経済が転換期にあることを示しています。
正常なカーブから逆カーブへの移行、またはその逆の過程でこの形状が現れることがあります。
長期金利と短期金利の年限と債権
よく比較される長期金利と短期金利の組み合わせは以下のようなものがあります。
- 3か月と10年
- 6カ月と10年
- 2年と10年
また、債券には以下のようなものがあります。
- 国際
- 地方債
- 国際機関債
- 社債
- 証券化商品
イールドカーブを活用する具体例
イールドカーブは、単に債券の利回りを観察するだけではなく、異なる種類の債券間での比較にも利用されます。
例えば、米国政府債と企業債のイールドカーブを比較することで、市場がどの程度リスクを織り込んでいるかを分析できます。
政府債と比較した企業債の利回り差は、信用リスクの違いを示します。
上の図で言えば、米国債と米社債の差が信用スプレッドと呼ばれます。
企業が発行する債券は、同じ期間の政府債に比べて高い利回りを提供する傾向にあります。例えば、米国のAAA格付け企業債の利回りが1.8%、同期間の国債が1.5%の場合、0.3%がその信用スプレッドです。
経済予測とイールドカーブ
投資家はイールドカーブを使用して、将来の景気動向やインフレ率の変動を予測します。
特に、長短金利の差を分析することで、経済の拡大や収縮のサインを読み取ることが可能です。このようにイールドカーブは、単なる数字の羅列ではなく、経済全体の健康を測る重要なツールなのです。
以上のようにイールドカーブを理解し、それが示すさまざまな経済状況を把握することは、投資家にとって重要です。これにより、より賢明な投資判断を行う手助けとなります。
イールドカーブに関して知っておきたい専門用語集
- イールドカーブ(Yield Curve): 債券の利回りを満期別にプロットしたグラフ。市場の期待や経済の状態を反映します。
- 正常イールドカーブ(Normal Yield Curve): 長期債の利回りが短期債のそれよりも高い状態。経済の健全な成長を示唆します。
- 逆イールドカーブ(Inverted Yield Curve): 長期債の利回りが短期債よりも低くなる現象。経済の縮小や景気後退の予兆とされます。
- フラットカーブ(Flat Curve): 短期と長期の債券の利回りがほぼ同じ水準になる状態。経済の転換期に見られることが多いです。
- 信用スプレッド(Credit Spread): 異なる信用リスクを持つ債券間の利回り差。高リスク債券がより高い利回りを提供します。
- 国債(Government Bonds): 政府が発行する債券。低リスクとされ、基準として用いられます。
- 社債(Corporate Bonds): 企業が発行する債券。政府債に比べてリスクが高く、通常はより高い利回りを提供します。
- 景気後退(Economic Recession): 経済活動が減少し、広範囲にわたって景気が悪化する状態。逆イールドカーブがこの現象の予兆とされることがあります。
コメント