オプション市場が示す暴落確率は本当に低いのか。NISAで米国株投資を続けるための「データで整える」2026年の視点

本記事は、YouTube動画『オプション市場が示す暴落確率わずか8%|株価下落予想の投資家は資産を失う|株価暴落は優良企業の利益成長と無関係|NISA3大コアETFはSPYM, GLDM, 2256【米国株投資】2026.1.12』の内容を基に構成しています。

米国株は2026年に暴落するのか。この問いは、投資を始めたばかりの人ほど強く気になります。なぜなら、ニュースやSNSでは「そろそろ崩れる」「バブルだ」「トランプの発言が危険だ」といった言葉が繰り返し流れ、感情が揺さぶられやすいからです。一方で、長期投資は感情で判断すると失敗しやすいというのも事実です。

この動画が面白いのは、暴落の有無を「予想」ではなく、「確率」「データ」「実績」という、比較的ぶれにくい材料で冷静に整理している点です。さらに最後は、NISAでコア資産を作るための具体的なETFまで提示し、最終的に投資家の行動設計へと話がつながっていきます。この記事では、動画の流れをできるだけ削らずに丁寧に整理し、初心者でも理解できるように補足を加えながら解説します。

目次

暴落は「起きない」と言い切れないが、「起きる前提」で動くと損をしやすい

動画は冒頭で、米国株が2026年に暴落するのかという問いに対して、結論をこう整理します。おそらく起きないが、絶対に起きないとも言えない。投資をしている以上、これは極めて誠実な前提です。

ただし、重要なのはここからです。暴落が怖いからといって、感情と予想だけで動くと、かえって資産形成に不利になる可能性が高い。動画全体は、このメッセージを、過去データと市場の確率、さらに投資家行動の罠を使って説明していきます。

背景説明:過去の暴落を知ると「下がったら買えばよかった」と誰もが思う

まず動画は、ウォールストリートジャーナルの1月8日の記事を参照し、S&P500が直近で30%以上暴落した局面を振り返ります。具体例として挙げられるのは以下のような歴史的イベントです。

1987年のブラックマンデー
2000年前後のITバブル崩壊
2008年のサブプライムローン問題からの金融危機
2020年のコロナショックでS&P500が約34%下落

こうした局面を見ると、多くの投資家は「その時に戻れるなら買っておきたかった」と思います。

つまり、下がったら買いたいという感情は自然に生まれます。しかし実際の相場では、下がっている最中は不安が強く、買う判断が難しくなります。このギャップが、後半で出てくる「行動の失敗」につながります。

人は暴落確率を過大評価する。だが市場の確率は約8%だった

ここから動画は、人間の心理とデータのズレを具体的に示します。

資産運用会社エルムベルスが、今後12か月でS&P500が30%下落する確率を投資家に聞いたところ、平均は約31%でした。

つまり投資家の感覚としては、3年に1回くらいの頻度で30%級の暴落が来ると思っている人が多い、ということになります。しかも、この調査は個人投資家だけでなく、プロや著名エコノミストにも行われ、結果はほぼ同じでした。

さらに、イェール大学のロバート・シラー教授が長期投資家を対象に行っている調査でも、今後6か月以内に株式市場が20%以上暴落する確率は、個人投資家で約30%前後、機関投資家で25%から30%前後とされます。つまり、半年という短い期間でも、かなり高い確率で暴落すると感じている人が多いことになります。

ところが、ここで動画は「実際にお金が賭けられている市場」を見に行きます。オプション市場が織り込む暴落確率は、わずか8%前後だと紹介します。

ここが動画の核です。口で言う予想ではなく、実際にリスクを取って売買している市場参加者の価格形成に基づく確率は低い、という整理です。

歴史的に見ても、この8%は妥当な水準だと動画は言います。

30%を超えるS&P500の暴落は、過去100年で8回。単純平均すると10年から12年に1回程度の頻度になります。確かに、2020年のコロナショックから2026年時点ではまだ6年も経っていないため、統計的な感覚としては「すぐまた来る」とは言いにくい、という見方になります。

そして面白いのは、エルムベルス調査の続きです。調査対象者に暴落の実績データを見せた後、再度暴落確率を聞くと、個人投資家の平均は15%まで下がりました。データを見ると恐怖が減ったということです。ただ、それでもオプション市場の8%よりは約2倍高い。つまり、人はそれでも恐怖を過大評価しやすい生き物だ、という整理になります。

この背景として、動画はプロスペクト理論を挙げます。得られる利益よりも、失う損失を約2倍大きく評価してしまう傾向がある。暴落の話題が強く刺さるのは、この心理構造があるからです。

暴落を予想して逃げた投資家が失うのは「下落そのもの」より大きい

ここで動画は、著名なファンドマネージャー、ピーター・リンチの言葉を持ち出します。株価下落を予想しようとした投資家が失ったお金は、実際の下落局面で失われたお金よりもはるかに多い。

この意味は、初心者ほど誤解しやすいポイントです。株価の下落そのものより、投資家の行動が損失を拡大させてしまう。具体的には、次のような流れです。

相場が不安定になる
まだ下がっていない段階で「逃げよう」と売る
実際に下がると「もっと下がるかも」と怖くて買えない
そのまま上昇局面に戻っても乗れず、最高値更新に取り残される

このパターンは、相場の読みが当たった外れたではなく、心理と行動が原因で起きます。動画はこれを、S&P500の急上昇10日間ルールという実績で補強します。

1928年以降、S&P500の年間リターンは約8%ですが、毎年「急上昇した10日間」だけ株式を保有していないと、総利益がマイナスになるというデータがあると紹介します。さらに2015年以降の10年でも、年間利益が約12%あったのに、同じく急上昇した10日間を逃すだけでマイナス10%になってしまう、と説明します。

ここが重要なのは、暴落を避けようとして市場から離れた瞬間に、次の上昇の核となる短期間を取り逃がすリスクが高いという点です。相場はゆっくり上がるように見えて、実際はごく一部の急伸日がトータルリターンを決めてしまうことがある。だから、予想で売ってしまう行動が長期投資にとって致命傷になりやすい、という流れです。

政治リスクや地政学リスクは不安を強めるが、長期の本質は企業利益である

とはいえ、2026年の投資家が不安になる理由も動画は丁寧に扱います。トランプ大統領の言動、ベネズエラ関連の報道、グリーンランド取得をめぐる武力行使も排除しないという報道などが挙げられ、デンマーク首相が安全保障体制の崩壊につながりうると声明を出した話も触れられます。

こうした不安が増えると、ドルが下落し、資金が他地域に向かう局面が出ます。動画では、2025年のドルベースのリターンで、米国株よりも英国、新興国、欧州、日本株の方が大きかったという実績が示されます。さらに金が約70%近い上昇を記録したという話も出てきます。リスクが意識されるほど、株以外の資産に資金が向かいやすいという現象です。

ただし、動画はここで釘を刺します。2025年の結果が、その後の長期的な米国株の結果を決めるわけではない。短期のランキングで判断すると、投資の軸が揺れやすいからです。

そこで話は、2000年ITバブル崩壊に戻ります。S&P500が約48%下落した後、2001年の同時多発テロ、2002年前後のエンロンやワールドコムの不正会計など、米国市場への不信が広がる出来事が続きました。環境だけ見れば絶望的だったはずです。

しかし、動画が強調するのはここからです。優良企業の業績と、こうした事件は基本的に無関係であることが多い。ITバブル崩壊で株価は下がっても、インターネット革命は終わっていない。その後にGAFAが生まれた。株価は短期で揺れるが、長期では利益成長が本体である、という整理です。

株価は企業利益を現在価値に割り引いたものだ、という基本式も動画では語られます。分子に来るのは利益やキャッシュフローであり、割引く際には金利やリスクプレミアム、成長率などが影響します。だから、長期投資で重要なのは、結局は利益の成長を見続けることになる、という話です。

動画では、S&P500の利益成長見通しとして、2025年は前年比で約11.8%のEPS成長、2026年は約13.8%、2027年は約14.4%と、利益成長が拡大していく予測が示されます。さらに景気指標として、アトランタ連銀のGDPNowで2025年第4四半期のGDPが1月9日時点でプラス5.1%という強い数字になっていると紹介します。FRBの見通しが2025年通年で1.7%成長に上方修正されていることにも触れ、景気の底堅さが示唆されます。

金利については、6月の利下げ確率が高いという市場の織り込みが紹介され、金利は分母に効くため、金利が下がれば株価にプラスになりやすい、という説明につながります。

米国株が強い理由は「暴落がないから」ではなく「暴落前に最高値更新を繰り返すから」

動画の後半で出てくる、初心者にとって重要な視点があります。それは、米国株に暴落が来ないわけではない、という点です。ブラックスワンが起きれば、明日でも30%を超える暴落はあり得ます。

ただし、ブラックスワンは想定外の出来事です。起きる前にそれを前提として行動しようとすると、ほとんどの場合は外れる。さらに、「分かっている問題」はブラックスワンではない、という整理も出ます。例えば低所得者層の消費減速、商業用不動産の空室率など、話題になって分析されているものは想定内であり、ブラックスワンの定義とは違う、ということです。

ではどう備えるのか。動画は3つの考え方を示します。

1つ目は、暴落リスクは受け入れるしかないということです。暴落リスクを取るからこそ、年10%近いリターンが期待できる。リスクとリターンは表裏一体であり、リスクゼロで年10%を求めると詐欺になってしまう、という強い言い方で整理します。

2つ目は、下がったら買うことを事前に想定しておくことです。そのためには、一定の現金を持つことも大切になります。暴落時に「買いたいのに買えない」を防ぐ準備です。

3つ目が分散投資です。株と違う値動きをする資産を持っていれば、株が下がった時に、下がらなかった資産を売って現金化し、株を買うという行動が取りやすくなります。

この流れの中で登場するのが、コアサテライト戦略です。資産の中心となるコアを守りとして固め、その上で一部の資金で攻めのサテライトを行う。コアがないままサテライトだけ頑張っても、長期的に資産は増やしにくい、という主張が出ます。

追加解説:NISAでコアを作るための3大ETFはSPYM、GLDM、2256

そして動画は、NISAで使える「コア資産」を作るETFとして、3つを提示します。

1つ目はSPYMです。以前はSPLGというシンボルだったが、昨年10月にステートストリートが名称を変更したと説明されます。中身はS&P500連動で変わらない。最大の特徴は年経費率が0.02%という低さです。100万円投資しても年間コストは約200円という例で、コストのインパクトが分かりやすく示されます。NISAの積立枠ではETFを買えないが、成長枠でS&P500を買うならSPYMが最有力、という位置づけです。

2つ目は金のETFでGLDMです。金価格に連動し、年経費率は0.1%。GLDが0.4%であることに触れ、長期運用ならGLDMが有力だという考え方が示されます。株と違う値動きをする資産として金を組み込む意義が、分散の文脈で語られます。

3つ目は債券ETFの2256です。米国債券に投資する代表的ETFとしてAGGやBNDがあるが、毎月分配のためNISA成長枠で買えないという制約がある。そこを意識してブラックロックが東証に上場したのが2256で、中身はAGGそのままだと説明されます。年経費率は税込み0.088%。四半期ごとの分配に設計し、NISAで使えるようにした点がメリットとして語られます。さらに、1株約2000円程度から買える、ドルを買わずに円のまま投資できる、といった実務的なメリットも整理されます。

動画の結論としては、NISAを活用してコアを作るなら、SPYM、GLDM、そして債券をETFで持ちたい人は2256が現時点でベスト、という整理になります。ただし、米国債は現物が好きで、償還まで持てば元本が守られるという考え方もあり、ここは好みだという補足も入ります。現物の米国債はNISAを使えないが、ETFならNISAで買えるという比較も行われます。

追加解説:手数料や代替ETFの考え方。999mよりVUGを勧める理由

Q&Aでは、楽天証券でSPYMや999mを買うと買付手数料が0.495%で上限22ドルかかるが、それでも選ぶべきか、手数料ゼロのSPYや999Qの方が良いのか、という質問が取り上げられます。

回答は、買付手数料は上限22ドルで1回しか発生しないコストなので、気にせず買っている、というものです。なぜなら年間コストが圧倒的に安いからです。SPYMは0.02%、999mは0.15%。999Qもコストが0.18%に下がったが、999mの方が0.03%安い、という比較が示されます。

さらに代替として紹介されるのがVUGです。NASDAQ100は金融セクターが含まれない指数であり、例えばロビンフッドのような金融系の大型成長銘柄が入らないという偏りがある。それを避けるなら、バンガードの成長株ETFであるVUGを使うと金融セクターも取り込める、という主張です。VUGの年経費率は0.04%で、999mよりさらに低いことも理由として挙げられます。

ここは、指数の性格の違いを理解する良い教材です。同じ「ハイテクっぽいETF」でも、構成ルールが違えば、取れるリターンの源泉も変わる。初心者ほど「NASDAQ100だから勝てる」と単純化しがちですが、指数の設計が何を含み、何を含まないかを知ることが、長期投資のブレを減らします。

まとめ:暴落を恐れて予想で動くより、確率と行動設計で「投資を続ける仕組み」を作る

この動画が伝えている核心は、米国株が暴落しないという断言ではありません。暴落は必ず来る。ただしそれは想定外であり、予想で回避しようとすると、むしろ資産形成に不利な行動を取りやすい、という点です。

投資家は暴落確率を31%程度と過大評価しやすい一方で、オプション市場が示す織り込みは約8%前後という整理が提示されます。過去100年で30%超の暴落は8回という実績も示され、恐怖の見積もりが過剰になりやすいことが説明されました。さらに、ピーター・リンチの言葉として、下落を予想しようとした投資家の損失が、実際の下落より大きくなり得るという警告が提示され、急上昇10日間ルールの実績が、売買タイミングの難しさを補強しました。

その上で、ブラックスワンのリスクは受け入れ、下がったら買えるように現金と分散を準備し、コアサテライト戦略で長期投資を続ける仕組みを作る。具体策として、NISAでコアを作るETFとしてSPYM、GLDM、2256が紹介され、手数料や代替案としてVUGなどの考え方も語られました。

2026年の相場がどうなるかは誰にも分かりません。しかし、相場の未来を当てるより、投資家自身の行動を壊さない設計をしておく方が、長期では再現性が高いというのが、この動画の一貫したメッセージです。恐怖が強い時期ほど、確率とデータに立ち戻り、NISAを使ったコア形成を淡々と続けることが、結果的に資産形成の近道になりやすいと言えそうです。

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