グローバル債券発行が過去最高900兆円超え!AI投資バブルの裏で進む「異常な債券市場」の実態

このブログは元動画「【債券市場】テック企業の債券発行がとんでもないことになっている!グローバル債券発行が急増900兆円超え!」を基に作成しています。


世界の債券市場で何が起きているのか、そしてなぜ「異常」と言われる状況になっているのかを、初心者にも分かるように整理します。


目次

結論:AI投資バブルが債券市場にも波及。テック企業が超長期債を乱発、利回りは異常な低水準に

2024年以降、世界の債券発行額がすでに915兆円を突破し、過去最高を更新しています。
その中心にいるのはアメリカのテック大手、つまりメタ・アルファベット(Google)・オラクルといったAI関連企業です。

これらの企業はAI開発投資の資金を確保するために、10兆円規模の債券を次々発行していますが、それにもかかわらず投資家からの需要は殺到


結果として、利回り(=借入金利)はむしろ下がるという異常な現象が起きています。


世界の債券発行が900兆円を超える異常事態

ブルームバーグの集計によると、2024年の世界全体の債券発行額は5兆9400億ドル(約915兆円)
まだ年末前の11月時点で、すでに史上最高額を更新しました。

前年も記録的な発行量でしたが、それをさらに上回るペース。
背景には各国の金融緩和政策AIブームが大きく影響しています。

世界債券発行額(ドル)日本円換算(約)
2023年約5.6兆ドル約860兆円
2024年5.94兆ドル約915兆円

テック企業が主役:AI投資資金を「社債」で調達

注目すべきはアメリカのテック企業による社債発行の急増です。

  • メタ、アルファベット、オラクルの3社だけで655億ドル(約10兆円)を発行
  • 今年のテック企業全体の社債発行額は2172億ドル(約30兆円)
  • 昨年比で約2倍の発行ペース

AI開発や半導体関連への巨額投資が相次ぐ中、企業は資金調達を「株式」ではなく「債券」で行う傾向を強めています。


つまり「株を増やさずに、借金でAI開発を進めている」構図です。


投資家が「リスクを軽視」?上乗せ金利が歴史的低水準に

通常、企業が債券を発行する際は、国債よりも高い利回り(=上乗せ金利)がつきます。
たとえば、5年国債の利回りが1.2%で、企業債の利回りが2%なら、「上乗せ金利」は0.8%です。

ところが今、世界中でこの上乗せ金利がリーマンショック以来の最低水準にまで下がっています。
つまり投資家が「企業の信用リスクをほとんど考慮していない」ということです。

要因としては、以下の3点が挙げられます。

  1. 世界的な金融緩和(金利低下)
     ・日本の政策金利は0.5%
     ・欧州は2.0%まで利下げ
     ・アメリカFRBも量的引き締めを終了し、利下げ局面へ
  2. AIブームによる過剰な楽観
     AI関連企業への信頼が過剰に高まり、「どんな債券でも買いたい」投資家が急増。
  3. 資金流入の偏り
     株式市場の上昇と並行して、債券市場にも投資マネーが流れ込み、需給バランスが崩壊。

40年債・50年債が人気?「テック社債バブル」の懸念

特に衝撃的なのは、テック企業が発行する超長期債の存在です。

  • メタ:40年債
  • オラクル:40年債
  • アルファベット:50年債

「50年後にアルファベットが存続しているのか?」という素朴な疑問が出るほどの長期債が発行されていますが、
これらの債券には発行額の4倍以上の注文が殺到。
結果的に、企業は提示レンジの中で最も低い利回りで債券を発行できました。

これはつまり、投資家が「どんなに低利でもいいから買いたい」というほど楽観的になっている証拠です。


AI投資バブルの裏側:回収不能リスクも

シティグループの試算によると、2029年までの5年間でAI関連投資は2兆9000億ドル(約430兆円)にのぼる見込みです。


しかし現時点で、AI関連サービスの消費者支出はまだ限定的。

つまり、企業の多くは「将来儲かるはず」という期待だけで巨額の借金をしている状態です。
このまま十分な収益を上げられなければ、将来的に
債務返済に行き詰まる企業が続出するリスクもあります。


今後の展開:バブル崩壊の前兆か?

現時点で市場に明確な崩壊の兆候は見られません。
しかし、AI投資の成果が思うように出ない企業が増えれば、以下のような連鎖が起こる可能性があります。

  1. 企業債の信用不安 → 債券価格の下落(利回り上昇)
  2. 債券を保有する銀行・保険会社の含み損拡大
  3. 信用収縮 → 景気後退

実際に、日本国内でもすでに影響が出始めています。
信用金庫の債券含み損は2.5兆円、生命保険会社4社の含み損は10兆円を超過
こうした状況は「第二の金融危機」への懸念を呼び起こしています。


まとめ:AIブームの影に潜む「静かなバブル」

今回の債券発行ラッシュは、AIバブルの延長線上にあります。
企業が「夢」を描き、投資家が「期待」に資金を投じる構図。
その熱狂の裏で、市場は冷静さを失いつつあります。

もし将来的にAI投資の多くが収益化に失敗すれば、
超長期債の利回り上昇(価格下落)→ 債券バブル崩壊
というシナリオも現実味を帯びてきます。

市場がどこまで楽観を続けられるかが、今後の焦点となるでしょう。

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