本記事は、YouTube動画『サンリオの業績と株価を、2010年~の歴史から見通す』の内容を基に構成しています。
サンリオがストップ高を記録した理由とは
2026年2月12日に発表された決算を受け、翌13日のサンリオ株はストップ高気配となりました。株価は5464円、前日比14.69%上昇という強い値動きを見せ、市場の注目を集めています。
今回の決算では、2026年3月期第3四半期累計の連結売上高が前年同期比36.7%増、営業利益が51%増と、いずれも過去最高を更新しました。数字だけを見れば「絶好調」という表現がふさわしい内容です。
しかし、ここで重要なのは「なぜ業績がここまで伸びたのか」、そして「この成長は持続するのか」という視点です。本記事では2010年以降の歴史を振り返りながら、サンリオ株の今後を考察していきます。
2010年以降の株価推移とブームの波
サンリオの株価は、2011年から2015年頃にかけて第1次ブームともいえる上昇局面を迎えました。当時はビジネスモデルの転換が大きな転機となりました。
それまで自社物販中心だった収益構造を、キャラクターライセンス型へとシフト。いわゆる「ロイヤリティ収入モデル」に転換したのです。
ロイヤリティ収入は、キャラクター使用権を他社に与え、その対価として収益を得る仕組みです。原価負担がほとんどなく、利益率が非常に高いという特徴があります。この構造転換が奏功し、業績は急拡大しました。
しかし、その後はブームの反動もあり業績は低迷。株価も大きく調整しました。つまりサンリオは「ブーム型銘柄」であり、好調と低迷を繰り返す特性を持っています。
今回の業績回復を牽引した米国事業
今回の業績急拡大を支えた最大の要因は米国事業です。
特に2025年後半から米国でのライセンス収入が急増しました。YouTubeでのアニメ展開、Netflixでの新作配信などにより、若年層への再浸透が進みました。
2026年3月期第2四半期の米国事業利益は39億円でしたが、第3四半期には71億円まで急増しています。ほぼ倍増です。この復活がストップ高の直接的な引き金となりました。
米国売上210億円のうち194億円がロイヤリティ収入という構造は、収益性の高さを物語っています。売れれば売れるほど利益率が高まるビジネスモデルです。
インバウンド減少懸念は限定的
株価が一時下落した背景には、中国人観光客減少によるインバウンド需要低下への懸念もありました。
しかし決算説明会では具体的な数字が示されています。
サンリオ単体の物販売上200億円のうち店舗売上は約4割(80億円)。その3割がインバウンド需要(約24億円)。さらにその3割が中国人観光客(約7〜8億円)です。
全体から見れば影響は限定的であり、この懸念は過度だったといえます。
乱発による飽和リスクという構造問題
一方で、長期視点では別の懸念があります。
スターバックス、マクドナルド、F1アカデミー、クロックスなど、米国では多数のブランドとのライセンス提携が進んでいます。これは短期的には好材料ですが、同時に「キャラクターの乱発」リスクも内包します。
キャラクタービジネスは希少性や新鮮さが重要です。供給過多になると飽和が起き、ブームが急速に冷める可能性があります。
実際、過去の業績低迷期もこの構造が影響していました。
過去のブームとの類似性
2011年〜2015年の上昇局面と現在のチャートは形状が似ています。
当時も業績急拡大 → 株価急騰 → ブーム沈静化 → 業績低迷という流れでした。
現在が第1の山なのか、第2の山なのかは断定できませんが、歴史は繰り返す可能性があります。
キティ依存の構造
欧米売上の約6割は依然としてハローキティ関連とされています。複数キャラクター展開は進んでいるものの、依存度はまだ高い水準です。
一本足打法からの脱却は道半ばといえます。
PER25倍は妥当か
現在のPERは約25倍です。成長企業としては割高感はありません。
しかし仮に利益成長が鈍化した場合、評価は一気に変わります。キャラクタービジネスはボラティリティが高く、好不調の波が大きい点は理解しておく必要があります。
長期視点での評価
短期的にはブーム継続の可能性もあります。
しかし5年スパンで見ると、ブーム → 調整 → 再成長という循環を繰り返してきた歴史があります。
中長期投資を考える場合は、こうした周期性を理解した上で判断することが重要です。
まとめ
サンリオは現在、米国事業復活を軸に業績が急拡大しています。ロイヤリティモデルの強みが最大限に発揮されている局面です。
一方で、
・キャラクター乱発による飽和リスク
・ブーム終焉の可能性
・キティ依存構造
・ボラティリティの高さ
といった構造的特徴も抱えています。
2010年以降の歴史を振り返ると、サンリオは「波のある企業」です。短期的な熱狂に流されず、ビジネスモデルの特性と周期性を理解することが、投資判断の鍵になります。
成長力と循環性。その両面を見ながら、冷静に向き合うことが求められています。


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