本記事は、YouTube動画「ジャクソンホール会議」(バフェット太郎氏)を基にまとめています。パウエル議長の講演内容から今後の米国株・ドル円相場の展望を解説し、投資家が押さえておくべき注目ポイントを整理しました。
目次
結論:9月から米国株は下落基調、ドル円は円高方向へ
ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長は「雇用の下振れリスクが高まっている」と発言し、利下げの可能性を示唆しました。これにより米国株は短期的に上昇しましたが、中長期的には「景気後退→株価下落→利下げ本格化→ドル安・円高」という流れが強まると予想されています。
パウエル議長の発言ポイント
- 雇用リスクの強調
- 7月雇用統計で非農業部門雇用者数が予想を大幅に下回り、過去2か月分も下方修正。
- 直近3か月の平均増加数は3.5万人にとどまり、失業率を安定させるのに必要な10〜15万人を大きく下回る。
- 労働参加率の低下が失業率を一見低く見せているだけで、実態は悪化傾向。
- インフレリスクは残存
- トランプ政権の関税が物価を押し上げ、過去1年間で1.1%上昇。
- 一時的要因と見つつも、インフレが再燃すれば利下げを停止する可能性を示唆。
- データ依存の姿勢を強調
- 政治的圧力(トランプ大統領)には屈せず、経済データに基づいて判断する。
- ただし金融政策の効果は半年〜1年遅れるため、景気後退を防ぎきれないリスク。
米国株に待ち受ける下落シナリオ
- 戦後12回の景気後退局面におけるS&P500の平均最大下落率は −32%。
- 下落幅が大きかったケース(2000年ITバブル:−51%、2007年リーマンショック:−58%)では株価バリエーション(PER)が高かった。
- 現在のS&P500のPERは 30倍 と歴史的に見ても割高で、平均以上の下落幅(−30〜40%)が警戒される。
下落のタイミング予想
- 米国株は 9月から崩れ始め、10月に一旦底打ち、年末に反発。
- 本格的な底打ちは 2026年10月〜2027年3月 と想定。
ドル円相場への影響
- 利下げサイクルが進めば ドル安・円高 に触れやすい。
- 8月のドル円は月間で −2.6%下落、すでに円高トレンドが進行。
- 高金利が続いてもインフレ率がそれ以上に高ければ「実質金利はマイナス」となり、ドルは売られやすい。
スタグフレーションの場合
- 名目金利が5%でもインフレ率が6%なら実質金利は−1%。
- 70年代のスタグフレーション期と同様、ドルは下落する可能性が高い。
国際分散投資と「グレートローテーション」
- 今後の長期テーマは「米国株から他地域への資金シフト」。
- 米国株は高バリュエーションと景気後退リスクでリターンが低下。
- 一方、新興国(ラテンアメリカ、グローバルサウス)、欧州株などに資金が流入する可能性が高い。
- 「オルカン(全世界株式インデックス)」は米国株比率が約6割を占めるため、リターンは年平均1桁台前半にとどまる可能性がある。
投資家が取るべき対応
- 現金比率を高める
景気後退に備え、暴落局面での買い場に備える。 - 国際分散投資を意識
米国株一辺倒ではなく、新興国や欧州株などへのシフトを検討。 - 投資初心者は積立から
- S&P500やオルカンへの小額積立から始める。
- 一括投資は避け、生活費6か月〜1年分を除いた余剰資金で2年ほどかけて投資。
まとめ:米国株は9月から崩れ、景気後退を経て「グレートローテーション」へ
ジャクソンホール会議で示されたのは「米国株のリスク増大」と「ドル安円高トレンドの始まり」でした。
- 米国株は今秋から下落基調に入り、最大30〜40%の下落リスク。
- ドル円は利下げサイクルで円高方向へ。
- 次の景気拡大局面では、米国株以外の資産に注目が集まる可能性大。
投資家はこの変化を冷静に受け止め、短期的な値動きに振り回されず、長期的な「資金の大移動=グレートローテーション」に備えることが重要です。
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