ソフトバンクと聞くと「携帯会社」や「Yahoo!」のイメージを持つ人が多いかもしれません。
しかし、実はその正体は「通信×投資×AI」を軸に世界を動かす巨大テクノロジー企業です。
本記事では、ソフトバンクグループ(SBG)の誕生から、インターネット革命、そしてAI時代に至るまでの歴史を、初心者にもわかりやすく整理していきます。
結論:ソフトバンクの歴史は「ソフト→通信→AI」の進化物語
孫正義さんが創業したソフトバンクは、
- ソフトウェア販売(1980年代)
- 通信インフラ・インターネット事業(1990〜2000年代)
- AI・半導体・投資(2010年代以降)
という3つのステージを経て、世界有数のテクノロジー企業グループへと成長しました。
孫さんは常に「次の時代の波」を読み取り、30年、100年、300年先を見据えて投資を続けているのです。
創業の原点:24歳で「日本ソフトバンク」を設立
ソフトバンクの歴史は、1981年、孫正義さんがわずか24歳で起業したことから始まります。
社名の「ソフトバンク」は「ソフトウェアの銀行(Bank)」という意味。
当時の日本はまだパソコン黎明期でしたが、孫さんは「これからはハードではなくソフトの時代」と直感し、ソフト流通事業を開始します。
その後、「PCマガジン」「Oh!PC」などの専門誌を創刊し、IT文化を日本に根付かせました。
まさに“情報の架け橋”をつくる存在だったのです。
上場と拡大:インターネット革命を日本に持ち込む
1994年に株式を店頭公開(後に一部上場)。
翌年、運命的な出会いが訪れます。
それがYahoo!創業者ジェリー・ヤンとの出会いです。
1995年、孫さんはアメリカ・シリコンバレーで彼と面会し、インターネットの未来を確信。
すぐさま**「Yahoo! JAPAN」を設立**し、日本で初のポータルサイト事業を展開しました。
検索・ニュース・オークションなどを次々と立ち上げ、日本のネット文化を支える基盤に。
さらにこの時期、中国アリババへの初期投資(当時約20億円)も行っています。
のちにこの投資が数兆円規模のリターンを生む伝説となりました。
通信インフラの掌握:固定からモバイルへ
2004年、孫さんは次なるステージへ。
通信インフラを自社で持つために、日本テレコムを買収します。
これによりブロードバンド(ADSLなど)事業を強化。
そして2006年には、ボーダフォン日本法人を約1兆7500億円で買収。
これにより、携帯通信の世界へ本格参入しました。
当時としては破格の買収額ですが、孫さんの狙いは明確でした。
「情報革命をモバイルへ拡張する」こと。
iPhoneを日本で初めて導入し、“料金革命”を起こしたのもソフトバンクです。
若者層を中心に爆発的な人気を獲得しました。
半導体への進出:アーム買収でIoT時代を先取り
2016年、ソフトバンクは世界を驚かせます。
イギリスの半導体設計大手アーム・ホールディングス(ARM)を約3兆円で買収。
これは当時、日本企業による海外企業買収として史上最大規模でした。
アームはスマートフォンやIoT機器向けチップ設計で世界シェア約90%を誇ります。
孫さんは「すべてのモノがインターネットにつながる(IoT)」時代を見据え、その“根幹”である半導体技術を自社に取り込んだのです。
AI時代の幕開け:ビジョンファンドの誕生
翌2017年、孫さんはソフトバンク・ビジョン・ファンドを立ち上げます。
世界中のAI、ロボティクス、自動運転関連企業に巨額投資を行う巨大ファンドです。
総額は約10兆円規模とも言われ、
投資先にはウーバー、ディディ、WeWorkなどが含まれています。
ただし、WeWorkの破綻(2023年)など、失敗も経験。
しかし孫さんは「AI革命の中心に立つ」という信念を曲げず、再びアーム上場を成功させ、AI関連株ブームの火付け役となりました。
そして未来へ:AIインフラ国家構想「スターゲート」
2025年には、ソフトバンクがアメリカ主導のAIインフラ計画「スターゲートプロジェクト」に参画。
孫さん自身がアジア代表を務めることも発表されています。
通信・クラウド・半導体・AIを融合させた巨大構想で、ソフトバンクは単なる日本企業ではなく、世界のAIインフラを担う存在になりつつあります。
ソフトバンクの3つの時代を整理
| 時代 | 期間 | 主な事業 | キーワード |
|---|---|---|---|
| 第1期:ソフトウェア時代 | 1980〜1990年代 | パソコン用ソフト販売、雑誌出版 | 情報流通の民主化 |
| 第2期:通信・ネット時代 | 2000年代 | Yahoo!、ADSL、携帯事業 | 情報革命・料金革命 |
| 第3期:AI・投資時代 | 2010年代〜現在 | ARM買収、ビジョンファンド、AI戦略 | テクノロジーで人を幸せに |
孫正義という人物:未来を300年単位で見る男
孫さんはよく「私は300年先を見ている」と語ります。
目先の利益ではなく、**“人類の進化をテクノロジーで支える”**という哲学のもとに動いてきました。
学生時代に自動翻訳機を開発して売った逸話から始まり、
ソフトウェア、通信、AIへと時代ごとに軸を変えながら、
常に“次の産業革命”を先取りしてきたのが孫正義という人物です。
まとめ:ソフトバンクは「挑戦し続ける企業」
ソフトバンクの歴史を振り返ると、
・どんな事業も時代の最先端に挑戦している
・失敗を恐れずに次のステージへ進む
・投資も通信も「人を幸せにする」ための手段
という一貫した姿勢が見えてきます。
AI時代において、ソフトバンクは再び世界を驚かせる存在となるでしょう。
その中心には、今もなお未来を描き続ける孫正義さんがいます。


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