※本記事は、YouTube動画「【トランプ政権】ハーバード大学潰しとUSスチール買収容認…異例の介入に通底する思想。」の内容をもとに構成しています。
結論:トランプの思想に通底するのは「反エリート」と「自国産業の復活」
トランプ政権の一連の行動には一貫した思想があります。
それは、アメリカを支配してきたリベラルエリート層への挑戦と、失われたアメリカの製造業の復活を目指す「反グローバリズム」的国家戦略です。USスチールの買収容認とハーバード大学への締め付けは、表面的には無関係のように見えますが、根本には共通する思想が貫かれています。
USスチール買収問題の背景と真相
日本製鉄による買収は「完全子会社化」には見えないが、実質は子会社化
2023年、日本製鉄がアメリカの名門鉄鋼企業「USスチール(United States Steel)」の買収に動きました。トランプ前大統領はこれを「歓迎」と明言。買収の裏には、日本製鉄が追加で2兆円を投資し、トータルで4兆円にのぼる対米投資を行うという合意があります。
買収形態としては、51%以上の議決権を持たず、「形式上の完全子会社化」は避けていますが、49%の中で議決権を持たない株式を抑えることで、実質的には支配を可能にする構造となっています。
トランプの狙いは「鉄のアメリカ」の復活
トランプ氏はこの買収を、「かつてのアメリカの誇り=鉄鋼業の復活」と位置づけています。USスチールの世界シェアはわずか0.1%程度で、韓国や日本に大きく後れを取っているのが実情です。
アメリカの造船・軍需産業の復興のためには、鉄鋼は不可欠。中国に押されていたこの分野に、日本の先端技術を取り込み、国内産業を蘇らせようという意図が見えます。
地政学的な狙い:ペンシルベニアを制する者は選挙を制す
USスチールの本社は、トランプ氏の母校であるペンシルベニア大学がある州に位置しており、雇用創出(7万人規模)とともに中間選挙対策としての意味も強いです。トランプ陣営にとって、ペンシルベニアは選挙の最重要地域のひとつです。
ハーバード大学潰しの背後にある思想
留学生ビザの取り消しと資金源の締め上げ
トランプ政権は、ハーバード大学に対して「留学生の受け入れ資格取り消し」を宣言。7,000人にのぼる外国人留学生に対し、「他の大学に移れ、さもなくば滞在資格を失う」と警告しています。
この措置はハーバード大学の学費収入に直撃するだけでなく、大学への助成金カットや税制優遇の撤廃も含まれており、財政的に圧迫する狙いが見えます。
ハーバード大学=ディープステートの象徴
ハーバード大学は、アメリカ司法界・行政官僚・ロースクール卒業生などあらゆるエスタブリッシュメント(支配層)を輩出するエリート養成機関です。
トランプ氏はその「リベラルで権威主義的な象徴」としてハーバードを標的にしており、同大学を「中国共産党のスパイ拠点」とする疑惑まで掲げて攻撃の正当化を図っています。
サンデル教授の思想とトランプの逆張り
トランプ政権のエリート批判の象徴的な存在が、ハーバードの政治哲学者マイケル・サンデル教授です。
彼は「実力も運のうち」とする主張で、能力主義の限界を指摘しますが、トランプ陣営にとってはこうしたリベラル思想こそがアメリカの病巣なのです。
トランプ政権における“反知性主義”の意味
単なる「バカの思想」ではない
「反知性主義」とは知性を否定することではありません。
むしろ、知性が権力と結びつきすぎることへの警鐘です。トランプ陣営は、ハーバードをはじめとする知的エリートたちが「権威」「正義」「自由」を掲げながらも庶民を見下していると感じています。
アメリカには2つの国がある
- 東海岸・西海岸のリベラルエリート層(ブルーゾーン)
- 中西部のプロテスタント福音派を中心とした保守層(レッドゾーン)
アメリカ人口の4人に1人が「進化論を否定する」ほどのキリスト教福音派であり、彼らの世界観とトランプは完全にシンクロしています。
日本にとってこの動きはプラスか?
日本製鉄の「高すぎる買い物」説もあるが…
4兆円という投資額は、「コスパが悪い」との声もあります。しかし、アメリカの鉄鋼市場へのアクセス、日本の高級鋼技術(特に電気自動車向け素材)を通じて、戦略的価値は計り知れません。
特に日本の造船技術と組み合わせれば、アメリカの軍需復活にも貢献でき、日米の国防・産業協力が強まるきっかけになる可能性もあります。
まとめ:USスチールとハーバードは「1本の思想」でつながっている
一見無関係な鉄鋼産業とエリート大学。しかし、トランプ政権から見ると、それはどちらも「リベラル支配」「グローバリズム」「知性の権力化」に象徴される、失われたアメリカの再建に必要な敵です。
- USスチール買収支援 → 「失われた鉄のアメリカ」復活
- ハーバード潰し → 「知の支配層」への反逆
この構図は、2024年の大統領選挙に向けて、トランプ氏の再起戦略の中心にあるとも言えるでしょう。アメリカを“もう一度偉大に”するための、壮大な「象徴政治」がここにあります。
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