トルコ経済はどこへ向かうのか?止まらぬリラ安とイスタンブール市長逮捕の波紋

※この記事はYouTube動画「【トルコ経済】リラ安続く!イスタンブール市長逮捕のその後!大規模デモ!クルディスタン労働者党解散」の内容をもとに構成しています。

結論:トルコのリラ安は止まらない。政治的不安と構造的経済赤字が根本原因

2025年4月以降、トルコリラの下落が止まらず、トルコ経済は不安定な状況が続いています。イスタンブール市長の逮捕やPKKの解散といった政治的な大事件が相次ぐなか、根本的な経済構造の問題が放置されたままであることが、通貨安を加速させています。


目次

市長逮捕が引き金に。2028年大統領選を見据えた政敵潰し

2025年3月、イスタンブール市長のエクレム・イマモール氏が収賄疑惑などで逮捕されました。イマモール氏は野党・共和人民党(CHP)所属で、中道左派の立場からクルド人に対しても融和的な姿勢を取っており、与党・公正発展党(AKP)のエルドアン大統領の“最大の政敵”とされてきました。

  • **逮捕日:**2025年3月19日
  • **立候補予定:**2028年大統領選挙
  • **逮捕理由:**市政の汚職疑惑、PKK支援の可能性

この逮捕は多くの国民から「政敵潰し」との見方を持たれ、イスタンブールでは数十万人規模の抗議デモが発生。5月にも追加で市政幹部ら25人が逮捕され、緊張は続いています。


クルディスタン労働者党(PKK)が解散!背景にはシリアとアメリカの影響

同じく2025年5月には、クルド人の独立国家樹立を目指していたPKK(クルディスタン労働者党)が突如解散を宣言。その背景には、次のような国際的な動きがあります。

  • **シリアでの政権交代:**アサド政権が崩壊し、シャラール氏を中心とした暫定政権が誕生
  • **アメリカの制裁緩和:**新シリア政権と米国の関係が改善傾向
  • **クルド勢力の変化:**シリアのクルド勢力が暫定政権への合流を表明

こうした流れの中で、トルコ国内でもクルド人に対して強硬姿勢を取り続けることに対する批判が高まり、融和的なアプローチが支持されつつあります。


エルドアン大統領の野望:憲法改正で「3期目」を狙う?

トルコ憲法では、大統領は2期までと定められていますが、エルドアン氏は2028年に3選を狙っていると見られています。そのためには憲法改正が必要であり、国民投票で3分の2の支持が必要です。

そのため、クルド人や中道左派層の支持を得るために、あえて融和政策を打ち出す必要があるという背景が読み取れます。


トルコ経済の現状:インフレと赤字体質は改善せず

エルドアン政権の“経済失政”は、リラ安に直結しています。以下に最新の統計を示します。

指標数値(2024年4〜5月時点)
消費者物価指数(CPI)前年比 +37.9〜75.5%
貿易収支−120億ドルの赤字
経常収支−41億ドルの赤字

2023年に一時的に利上げを行った中央銀行も、2023年12月から3回連続の利下げを実施。これがさらに通貨安を招く結果となっています。


トルコリラ相場の今後の見通し

下落トレンドは基本継続

  • 構造的な貿易赤字
  • 慢性的なインフレ
  • 政治的リスク(市長逮捕、大規模デモなど)
  • 通貨安を容認するエルドアン政権の方針

これらを考慮すると、トルコリラは今後も「じりじりと下がる」展開が基本線です。

さらに、エルドアン氏が存在感を強めれば強めるほど、リラ安が進む傾向にあるとされ、政権の動きが通貨市場の直接的な材料となっています。


まとめ:政治リスクと経済の歪みが続く限り、リラ安は不可避

  • イスタンブール市長の逮捕により、2028年大統領選に向けた政局は激化
  • PKKの解散は一見ポジティブだが、裏には複雑な国際政治の駆け引きが
  • 経済指標はインフレ・赤字ともに高水準で構造的な問題を抱えたまま
  • 中央銀行の利下げと政治的混乱が通貨リラをさらに圧迫

今後もエルドアン政権の動向、そしてシリア情勢やクルド問題との関連が、トルコ経済と通貨リラの鍵を握ることになります。

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