この記事は元動画のタイトル「ドル円、動かない理由。円を買うには無理がある?今は“待ち”の局面か 2025/9/1(月)井上義教【FX為替見通し】#外為ドキッ」を基に執筆しています。
結論(先に要点)
結論はシンプルです。ドル円は方向感のないレンジで、むやみに売買すると疲れるだけの相場。短期・中期の移動平均線に頭を押さえられつつも下を叩く力も弱く、円買いを強気に進める根拠は乏しい。トレードは「待ち」が基本で、動く通貨に資金を寄せるのが賢明です。
・ドル円は上値重いが下値も固い、ボラ低下の持久戦
・円買いシナリオは説得力に欠け、深押し期待の売りは空振りリスク
・相対的にトレンドが出やすいのは豪ドル関連やユーロドルの買い戻し傾向
・全体のボラは低いのにヒゲは残るため、損益効率が悪く消耗戦になりやすい
なぜドル円は動かないのか
背景として、市場は通商・関税の物価押し上げ効果を「限定的」と評価し始め、米金利はじわり低下方向。9月の米利下げ観測が強まる一方で、米株は底堅く、リスクオフの円買いにはつながっていません。テクニカルも方向感を欠き、日足ベースで短期・中期の移動平均線が横ばい化。上では売られ、下では買われる綱引きが続いています。
チャート上の手掛かりはあるものの、先週の陰陽や上ヒゲ・下ヒゲが交錯しており、典型的なレンジの値動き。移動平均群の上に出れば戻り売り、下に出れば押し目買いが出やすく、結果として値幅が出にくい構造です。
井上氏の視点:円買いに無理がある理由
井上氏は実地の肌感覚も踏まえ、円を強く買うのは現状ロジックが弱いと指摘。140円割れから130円、120円といった深押しシナリオは描きにくいとの見立てです。為替はファンダメンタルズだけでなく相対評価で決まりますが、米株の底堅さや米国経済の総合力を考えると、ドル安一辺倒にはなりにくいという読みが基調にあります。
クロス円と主要通貨の温度感
ユーロ円
・短期・中期の移動平均が横ばい。下を試しても買い戻されやすく、木金は要線で切り返し
ポンド円
・上値切り下げの形は残るが、金曜は下ヒゲの要線。売り崩しの勢いは乏しい
豪ドル円
・5連続要線(先々週からなら7連続)で持ち直し、短期・中期がゴールデンクロス
・下押しは深かったが、現状は唯一トレードアイデアを描きやすい通貨ペア
ユーロドル
・水曜は下を試すも下ヒゲで戻し。ドル安シナリオは決して非現実的ではなく、打診買いは検討余地
ポンドドル
・ユーロドルほど強くないが、下値切り上げ基調。売り崩し狙いは分が悪い
今、個人トレーダーが避けるべき落とし穴
・狭いレンジのブレイク待ちで何度もダマシを食らう
・値幅は小さいのにヒゲで損切りだけ積み上がる
・根拠薄の円買い・円売りを短時間で回転して体力を消耗
この相場は、勝つより「削られない」ことが大切です。勝機が来るまで資金もメンタルも温存する設計が結果的にリターンを高めます。
実務チェックリスト(点だけ抜粋)
・ドル円は移動平均群の傾きがはっきり出るまで新規の方向ベットを控える
・エントリーはヒゲ対策として指値分割と広めの逆指値をセットで
・豪ドル円は押し目買い候補だが、直近安値割れで機械的縮小のルールを事前に
・ユーロドルは下ヒゲ反転の継続確認後に打診買い、窓埋めや直近高値到達で一部利確
・ポジションサイズは平時の半分以下、同方向の通貨を複数持たない
戦略の骨子:待ちの設計図
フェーズ判定
・移動平均のクロスや傾き、実体とヒゲのバランスでレンジ継続か転換かを判定
・判定がレンジなら逆張り一回勝負、連発はしない
通貨選定
・動く通貨に寄せるのが鉄則。豪ドル円、ユーロドルの順で監視を厚く
・ドル円は「抜け」を見てからで遅くない
リスク管理
・ボラ低下時は利幅目標も圧縮。利確をケチらず、再エントリー前提で回す
・ヒゲ対策に逆指値は浅く置かず、分割で逃げ道を作る
まとめ
ドル円は典型的な待ち相場。上は重い、下も固い、ボラは低いのにヒゲが出る。円を強く買い進めるロジックも弱く、深押しを前提にした売りはリスキーです。いまはトレード回数を減らし、豪ドル円やユーロドルなど相対的に「絵が描ける」通貨に的を絞る時期。勝負は動いた後からで十分間に合います。
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