本記事は「【売り】ハイテク株急落理由」という動画の内容を基にしています。2023年から続いていた米国株の強気相場ですが、2025年に入りハイテク株が急落しています。その背景にはAIブームの踊り場、金利政策の不透明感、消費の冷え込みなど複数の要因があります。この記事では、急落の原因を整理し、今後の相場展望について初心者にも分かりやすく解説します。
目次
結論:AI関連株の「期待先行相場」が終わり、実績を示せなければ下落が続く可能性がある
- 生成AIへの投資は拡大しているが、多くの企業がまだ利益を得られていない
- EPS(1株あたり利益)の下方修正とPER(株価収益率)の低下で「ダブルパンチ」状態
- FRBは利下げに踏み切るかどうか迷っており、インフレと雇用の両方をにらんだ難しい政策運営が続く
- 消費低迷(ターゲットやマクドナルドの決算に反映)が景気後退リスクを高めている
ハイテク株急落の直接的な理由
1. 生成AI投資の「収益化」に疑問
- ニューヨーク州立大学の調査によると、95%の企業が生成AI投資から利益を得られていない
- これまで「AIで長期的に業績拡大」と期待されていたが、現実には投資に見合う利益が出ていない
- その結果、AI関連株の予想EPSは下方修正され、株価が調整
2. PERの低下
- AI関連株人気の低下+FRBの高金利政策が長期化 → 割高評価が見直される
- EPSとPERが同時に下がることで、株価の下落幅が拡大
3. FRBの金融政策の不透明感
- 7月FOMCでは金利据え置き決定
- ただし副議長ボーマンや理事ウォラーは「早めの利下げ」を支持 → 意見が割れている
- 雇用統計が過去分を大幅下方修正し、労働市場は弱含み
- 一方でインフレ懸念は残り、利下げに踏み切れない状況
消費低迷のサイン
景気減速の影響が消費者行動に表れています。
- ターゲットの決算
- 3期連続の減収
- 既存店売上高 -1.9%、客数 -1.3%
- 食品や生活必需品は堅調だが、衣類や家具など非必需品が弱い
- マクドナルドの値下げ
- ビッグマックセットが17ドル(約5900円)まで上昇 → 客離れ
- 9月からセットメニュー15%値下げ、さらに5ドル朝食メニューも検討
- 主力商品の値下げは「消費冷え込みの危機感」の表れ
これらはインフレと消費者の節約志向の高まりを示し、米国経済の景気後退リスクを裏付けています。
今後の相場見通し
短期(2025年末まで)
- 9月:本格的に下げ始める
- 10月:底打ちの可能性
- 年末:アノマリー的に反発しやすい
中期(2026年以降)
- 景気後退が深刻化すれば、底打ちは2026年10月頃になる可能性
- 戦後12回の景気後退では「天井から底まで平均15ヶ月」かかった
- 2025年8月が天井なら、2026年10月が目安
下落幅の想定
- 米国株:高値から30〜40%の下落もあり得る
- 欧州株・新興国株:米国より早く底打ちする可能性
投資家が注目すべきポイント
- AI関連株は「実績次第」
利益やコスト削減効果を示せなければ株価調整が続く - 米国一極集中から国際分散へ
米国株以外(欧州株・新興国株・金)への資金シフトが進む可能性 - オルカン(全世界株)の落とし穴
約6割が米国株のため、米国株の不振がそのまま足かせになる
まとめ
ハイテク株急落の理由は「AIの収益化への疑念」「高金利の長期化」「消費低迷」の三重苦によるものです。今後はAIがどれだけ実際に利益を生み出せるかが注目点となります。
短期的には秋に底打ちし年末に反発する可能性がありますが、中期的には景気後退シナリオを前提にしておくべきでしょう。投資家は米国株一極集中を避け、欧州株・新興国株・金なども組み合わせた国際分散投資を検討することが重要です。
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