~バフェットも信頼する投資家の視点~
本記事は「バフェットも信頼するハワード・マークスの最新投資アドバイス『M7株価は妥当』」という動画をもとにまとめています。ハワード・マークスは、世界有数の投資運用会社オークツリー・キャピタルの創業者であり、著書「投資で一番大切な20の教え」はウォーレン・バフェットやジョン・ボーグルからも高く評価されている人物です。そんな彼が、現在の米国株市場、とくに「マグニフィセント7(M7)」と呼ばれる巨大テック株についてどのように見ているのかを整理します。
結論:M7は割高だが「妥当」、むしろ平均的企業の株価こそ警戒すべき
- Amazon、Google、Apple、MicrosoftなどのM7はPER33倍と高いが、独占的な市場シェア・高収益性を考えれば妥当
- 真に懸念すべきはM7以外の493銘柄。成長力が乏しいにもかかわらずPER22倍と歴史的に割高
- 市場はバブル初期段階にあり、狂乱ではないが過度な楽観は危険
マークスの警鐘:市場は「平均回帰」に向かう
マークスが最も強調したのは「平均回帰(Mean Reversion)」の考え方です。
- 投資家は「今の状況がずっと続く」と錯覚しやすい
- しかし株式市場は長期的に平均へ回帰する傾向がある
- 近年は株式リターンが強すぎたため、今後はやや弱い展開になる可能性が高い
彼は1997年のドットコムバブル初期を例に出し、「まだ狂気的ではないが、その初期段階にある」と警鐘を鳴らしています。
M7の株価はなぜ妥当なのか?
現在、M7の平均PERは約33倍。確かに市場平均より高いですが、以下の点から「妥当」と評価しています。
- 巨大な市場シェア(検索=Google、クラウド=AWS・Azure、スマホ=Apple)
- 圧倒的な利益率(ソフトウェア・広告ビジネス中心)
- 研究開発やM&Aによる競争優位性
マークスは、1960〜70年代に人気を博した「ニフティ・フィフティ」銘柄がPER60〜90倍で取引されていた例を挙げ、「それに比べれば33倍は合理的」と解説しました。
むしろ危険なのは「その他の493銘柄」
- S&P500の残りの銘柄はPER22倍
- 歴史的平均(10〜15倍台)を大きく上回る
- 成長性に乏しい「平凡な企業」にまで高い評価がついている
つまり「バブル的評価が広がっているのはM7ではなく、それ以外の銘柄」というのがマークスの指摘です。
債券投資の再評価
マークスはまた、株式市場の割高感を踏まえ「債券の相対的な魅力」を強調しました。
- 今後10年で年率6%前後のリターンが期待できる
- 株式よりも防御的な投資先になり得る
- 特にハイイールド債などは長期で安定した収益をもたらす可能性がある
株と債券の両方を理解することで、自分の投資判断をよりバランス良く下せると強調しました。
米国は「依然トップ」だが「圧倒的ベスト」ではなくなった
- 米国は依然として世界最強の投資先(自由市場・法の支配・巨大資本市場)
- しかし他国の追い上げもあり「かつての圧倒的ベストではない」
- 投資家は「国際分散」を意識する必要がある
若い投資家は「真の弱気相場」を知らない
最後にマークスは「16年間、深刻な弱気相場を経験していない」点を懸念しています。
- 2009年以降、押し目買いが常に報われる環境が続いた
- 35歳前後の投資家はリーマンショックを知らず、コロナショックも短期間で回復したため本格的な弱気相場を体験していない
- この「誤った安心感」が次の下落局面で大きな損失を生むリスクがある
まとめ
ハワード・マークスの最新アドバイスを整理すると次の通りです。
- M7株価は割高だが妥当(PER33倍は正当化できる)
- 本当の問題は成長性のない企業に高評価がついている点
- 市場はバブル初期段階にあり、過度な楽観は危険
- 債券投資が再び有力な選択肢
- 米国は依然トップだが、国際分散投資が重要
- 投資家は「弱気相場未経験」という安心感に注意
投資初心者にとっても学べるのは、「数字の高さ」だけで割高かを判断しないことです。成長力や競争優位性を持つ企業には相応の評価が与えられる一方、平凡な企業に過大評価がついている方が危険。今は「株式と債券のバランスを見直す時期」だと考えられます。
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