本記事は、YouTube動画『ホルムズ海峡封鎖と米国株下落リスク、弱気相場でどう動くべきかを解説した動画』の内容を基に構成しています。
導入
米国とイランの戦争をめぐる報道が続く中で、株式市場や原油市場、さらには世界経済全体への影響を不安視する声が強まっています。特に個人投資家の間では、「戦争が停戦すれば相場はすぐ戻るのではないか」「今は押し目買いの好機なのではないか」といった見方も出ています。
しかし今回の動画では、そうした見方に対して強い警鐘が鳴らされています。動画の主張は非常に明確で、今回の問題は単なる戦争の長短ではなく、ホルムズ海峡の支配権と、それに伴うエネルギー供給の混乱が世界経済にどこまで深刻な打撃を与えるのかにある、というものです。
さらに動画では、原油高によるインフレ再燃、米国消費の冷え込み、企業業績の悪化、株価下落、そして金融システムにおけるプライベートクレジットのリスクまで、複数の問題が連鎖的に広がる可能性が語られています。単独の悪材料ではなく、複数のリスクが重なり合って弱気相場を形成するという見方です。
この記事では、動画の内容を初心者にも分かるように整理しながら、背景や補足も交えて丁寧に解説していきます。
背景説明
今回の焦点は「戦争終結」ではなく「ホルムズ海峡」
動画では、トランプ大統領がホワイトハウスでの演説で、イラン戦争について米軍が圧倒的な勝利を収めつつあり、今後2〜3週間で戦争が集結する可能性があると述べた点が取り上げられています。その一方で、短期的には攻撃がさらに激化する可能性も示唆されました。
ここで重要なのは、表面的に「戦争が終わるかどうか」だけを見ても、本質は見えないという点です。動画では、今回の戦争は単純な停戦交渉の問題ではなく、ホルムズ海峡を誰が実質的に支配するのかをめぐる争いだと強調されています。
ホルムズ海峡は、中東から世界へ向かう原油輸送の要衝です。ここが封鎖される、あるいは封鎖リスクが高まるだけで、原油価格は大きく動きます。
仮に米国が一方的に勝利宣言をして軍を引き上げたとしても、イランが封鎖を続けるなら、世界経済への打撃は終わりません。つまり、見かけ上の終戦と、経済的な正常化はまったく別問題だということです。
原油高は株価下落だけでなく景気後退も招きうる
動画では、トランプ大統領の演説を受けて原油先物価格が7%上昇し、107ドルに達したこと、同時にS&P500先物やNASDAQ100先物が下落したことが紹介されています。
これは、市場が戦争終結を楽観せず、むしろ供給不安の長期化を警戒したことを示しています。
原油価格が上がると、まずガソリン代や輸送コストが上がります。
すると家計は支出を抑えざるを得ず、企業もコスト増に苦しみます。売上は減り、費用は増えるため、利益が縮小しやすくなります。さらに、原油高がインフレを再燃させれば、金利上昇圧力も強まり、株式市場ではPERの低下、いわゆるマルチプルコントラクションが起きやすくなります。
株価が下がると、投資家の資産が目減りし、消費意欲も弱くなります。これを逆資産効果と呼びます。特に米国では富裕層の消費が全体に与える影響が大きいため、株価下落は個人消費の減速を通じて景気全体に悪影響を及ぼしかねません。
動画内容の詳細解説
トランプ大統領の強硬姿勢とイラン側の反発
動画では、トランプ大統領がイランの軍事インフラや産業基盤を破壊し、核開発やテロ支援能力を断つことができると戦果を強調した一方で、今後2〜3週間でさらに強力な攻撃を行う可能性を示した点が詳しく語られています。
しかし、こうした強硬姿勢は、イランをすぐに屈服させるどころか、かえって態度を硬化させる恐れがあるとされています。実際、トランプ氏がSNSで「イラン新政権の大統領が米国に提案を求めた」と投稿したのに対し、イラン側はすぐに否定しました。
さらに、少なくとも6カ月間の戦闘継続に備えている姿勢を示し、簡単には停戦に応じない考えを見せています。
また、イラン側は再攻撃をしない保証や賠償金の支払いを戦争終結の条件として求めているものの、トランプ政権はそれに応じる構えを見せていません。
このため、両者の主張には大きな隔たりがあり、形式的な終戦宣言が出ても、実質的な緊張状態は残る可能性が高いと考えられます。
ホルムズ海峡封鎖が続くと第3次オイルショックの恐れ
動画で特に強調されているのは、ホルムズ海峡が封鎖されたままであれば、それだけでイランは米国や世界経済に大きな打撃を与えられるという点です。
もし海峡封鎖が続けば、エネルギー供給が不安定化し、原油価格は高止まりしやすくなります。全米自動車協会のデータとして、ガソリン価格が1ガロン4ドルを超えたことも取り上げられており、この4ドルという水準は米国の消費者心理に大きな影響を与える壁だと説明されています。
ガソリン価格が高くなると、家計は日常支出を見直し、外食や旅行、娯楽、耐久消費財の購入を控えるようになります。消費が落ちれば、企業業績も悪化します。さらに企業側も物流費やエネルギー費の上昇に直面するため、ダブルパンチになります。
動画では、この状態が続けば、単なる市場調整ではなく、世界的な景気後退や政治不安にもつながりかねないと指摘されています。
S&P500はまだ強気になれる形ではない
動画では、S&P500のチャート分析にも触れられています。株価は急反発しているものの、依然として50日移動平均線と200日移動平均線を下回って推移しているため、戻り売りに押されやすい局面だと説明されています。
初心者向けに補足すると、50日線や200日線は、市場参加者が中期・長期のトレンドを判断する際に重視する代表的な移動平均線です。株価がこれらを下回っている場合、上昇トレンドが完全に回復したとは言いにくく、むしろ上値抵抗として機能しやすくなります。
つまり、見た目の反発に安心して強気になるよりも、まだ慎重姿勢を保つべき局面だというのが動画の見立てです。
バフェット氏が警戒するプライベートクレジットの問題
動画の後半では、ウォーレン・バフェット氏が銀行システムの脆弱性について警告した点が紹介されています。ここで話題の中心となるのが、プライベートクレジットです。
プライベートクレジットとは、銀行ではなく、ファンドや資産運用会社などが企業に直接お金を貸す仕組みを指します。市場規模は2兆ドル、円換算で約320兆円規模に達したとされ、近年急拡大してきました。
動画では、この市場に3つの問題があると説明されています。
中身が見えにくいこと
上場株式のように毎日価格が付きにくいため、損失や信用不安が表面化するのが遅れやすいという問題です。見た目には安定しているようでも、実際には評価が古いだけで、内部では傷みが広がっている可能性があります。
2008年のサブプライムローン問題でも、最初は一部の局地的な問題と見なされ、対応が遅れた結果、金融危機へと発展しました。動画では、それに似た構図が今後起きる可能性があると示唆しています。
流動性が低いこと
プライベートクレジットの借り手は、景気悪化局面で業績が急速に傷みやすい企業が多い一方で、投資家側には換金ニーズがあります。平時は問題がなくても、有事になると一斉に解約が殺到する可能性があります。
すでに一部のプライベートクレジットファンドでは解約制限が発表されているとされており、これが投資家の不安をさらに強める恐れがあると動画では指摘しています。
銀行とつながっていること
プライベートクレジットは銀行の外側で起きているように見えて、実際には銀行がファンドに融資したり、間接的に関与したりしているため、完全に切り離された存在ではありません。
そのため、借り手企業の信用不安が拡大すれば、その損失が銀行部門にも波及しうるとIMFも警戒していると動画では述べられています。つまり、表面上はノンバンクの問題でも、金融システム全体の問題へ発展する可能性があるということです。
今はまだ「火」は見えなくても、匂いはしている
動画では、パウエルFRB議長が、現時点では銀行システム全体への重大な脅威は見えていないと発言したことにも触れています。ただし、これは安全宣言ではなく、まだ明確な火柱は見えていない段階だという意味に近いと解釈されています。
バフェット氏の「混雑した映画館で誰かが火事だと叫べば、皆が出口へ殺到する」という例えも紹介されており、金融市場では一度パニックが始まると、問題の大小にかかわらず一斉に資金引き揚げが起こることが強調されています。
動画では、まさに今は「煙も見えないが、焦げ臭い匂いがし始めた段階」だと整理されています。初心者にとっても分かりやすい表現ですが、同時に非常に示唆的です。つまり、表面上は静かでも、深部ではリスクが蓄積している可能性があるということです。
追加解説
弱気相場では「何を買うか」より「どう守るか」が重要になる
動画の結論として最も重要なのは、今は積極的にリターン最大化を狙うよりも、リスクを抑えることが優先される局面だという点です。
具体的には、レバレッジを控えること、フルインベストメントを見直すこと、そして現金比率を高めることが勧められています。相場が不安定なときは、現金を多く持つだけでも大きな防御になります。なぜなら、大きく下がった後に余力を持って動けるからです。
強気相場では、現金を持つことが「機会損失」に見えることがあります。しかし弱気相場では、現金は単なる待機資金ではなく、価格変動から資産を守るための防御手段になります。動画で語られる「キャッシュ・イズ・キング」という考え方は、まさにそのことを表しています。
VXUSやラッセル2000への見方
動画では視聴者からの質問に答える形で、米国を除く国際株ETFであるVXUSの底打ち時期や、小型株指数ラッセル2000の見通しについても述べられています。
VXUSについては、早ければ2026年10月頃、あるいは2027年3月や10月頃まで底打ちがずれ込む可能性があるとされ、少なくとも今後3カ月以内に底打ちする可能性は低いと見ています。背景には、戦争の長期化とホルムズ海峡封鎖による世界景気悪化のリスクがあります。
ラッセル2000については、景気後退局面ではS&P500とともに下落するものの、その後の景気拡大局面では大きくアウトパフォームする可能性があると説明されています。1970年代のスタグフレーション期には、大型株より小型株のほうが良好な成績を収めた歴史があり、その再現が起こる可能性もあるという見方です。
ただし、動画では「今すぐ小型株を買うべき」という話ではありません。最初の景気後退を伴う下落では、小型株のほうが大きく下げやすいため、本格的な買い場はその後だと慎重な姿勢を示しています。
2027年にかけた底打ちシナリオ
動画の終盤では、S&P500の景気後退を伴う下落相場は、天井から平均15カ月ほどで底打ちしやすく、相場の転換月として3月と10月が意識されやすいことを踏まえ、2027年3月または10月頃に底打ちする可能性があると予想しています。
また、S&P500の最大下落率はドル建てで50%、円建てで60%程度を想定しており、かなり厳しいシナリオを描いています。その一方で、欧州株、新興国株、コモディティ、暗号資産などは、その後の回復局面で相対的に高いパフォーマンスを見せる可能性があるとも述べています。
この見立ての根底にあるのは、次の景気拡大局面では、米国一極集中ではなく、国際分散投資の時代が来るのではないかという考え方です。
まとめ
今回の動画では、米国とイランの戦争をめぐる市場の混乱について、単なる軍事ニュースとしてではなく、ホルムズ海峡、原油高、インフレ、景気後退、金融システム不安、そして株式市場の弱気相場という大きな連鎖の中で捉える重要性が語られていました。
特に印象的なのは、戦争が終わるかどうかよりも、ホルムズ海峡の封鎖が続くかどうかのほうがはるかに重要だという視点です。原油価格の高騰は家計と企業の両方を圧迫し、インフレ再燃と景気後退を同時に引き起こす可能性があります。そこにプライベートクレジット市場の不安まで重なれば、株式市場は単なる調整では済まないかもしれません。
そのため、今の局面では無理に利益を追いかけるよりも、現金比率を高め、レバレッジを抑え、シンプルで守りを重視した投資姿勢を取ることが重要だといえます。積立投資の継続は前提としつつも、短期的な楽観に流されず、次の本格的な買い場に備えるという姿勢が求められています。
今回の動画は、いま市場で起きている値動きの背景を理解したい人、戦争と相場の関係を整理したい人、そして弱気相場でどう行動すべきかを考えたい人にとって、非常に示唆の多い内容だったといえるでしょう。


コメント