この記事は、元動画のタイトル「【コレが結論】マイホームor賃貸どっちがお得?答えは○○○○○【リベ大公式切り抜き】」を基に作成しています。初心者にも分かりやすいように、結論から整理し、数字と具体例を多めにまとめました。
先に結論
マイホームと賃貸、どっちがお得かの最終答えは分からない。
理由は、マイホームの損得は将来いくらで売れるかで決まるから。つまりマイホーム購入は実質的に不動産投資と同じ構造で、出口価格(リセール)が読めない以上、確定的な損得は出ない。
一般論としては、リセールの高い家を買えるなら買いが有利、維持できない(値下がりが大きい)なら賃貸が無難。
なぜ「分からない」が最も誠実な答えなのか
マイホーム購入は、簿記(会計)の視点で見ると不動産投資そのもの。以下の要素が常に動くため、将来の損得は不確定。
- 資産の部:建物(減価償却で価値が年々低下)と土地
- 負債の部:住宅ローンの元本残高
- 損益項目:ローン利息、固定資産税、保険料、修繕費、取得・売却時の諸費用
- そして最大の不確定要素が売却額(出口価格)
賃貸は、家賃を何年支払うかが比較的読みやすく、総額が確定しやすい。一方、購入は出口価格次第で損益が大きくブレる。
会計の目でみる「賃貸」と「購入」の違い
賃貸は損益計算書のみで完結する支出(家賃)が中心。
購入は貸借対照表と損益計算書の両方に関わる複雑な取引。
賃貸
- 家賃支払い(損益)
購入
- 建物と土地を資産計上
- ローンという負債を計上
- 減価償却(建物価値の逓減)
- ローン返済(元本減少)と利息費用
- 固定資産税、火災保険等
- 取得時・売却時の諸費用
この構造を理解していない状態で購入すると、将来の資金繰りで苦労するリスクが高い。
数字でつかむ「真の家賃」発想
動画内の考え方を、簡略モデルでなぞります。
前提例
- 物件価格 合計 5000万円(建物3000万・土地2000万のイメージ)
- 10年後の売却価格が損益の肝
- 期間中に発生する諸費用(例)は概算で積む
賃貸の簡易計算例
- 家賃10万円×12カ月×10年=1200万円
購入の簡易計算例(10年後の売却を仮定)
- 5000万円で購入
- 10年後の売却額が5000万円なら、値下がり分は0
- ただし、期間中の費用は発生
例:保険50万、修繕200万、固定資産税100万、ローン利息200万、その他取得・名義・仲介等の諸費用(売買両サイドで数十万〜数百万円規模) - 売却5000万円でも、合計コストは600万〜700万円程度かかるイメージ
- 売却4000万円なら、値下がり1000万円+諸費用600万〜700万円=約1600万〜1700万円程度の総コスト感
この場合、同条件の賃貸1200万円より重くなりやすい
要点
- 勝敗は出口価格でほぼ決まる
- 同じ10年でも、5000→6000万円で売れれば圧勝、5000→4000万円なら分が悪い
物件の価値は時間とともにどう動くか
建物は時間とともに劣化し、価値は原則下がる。
土地はエリア次第。郊外や供給過剰地域は下がりやすい。新築は購入直後が最も価値が高く、設備も新しい。一方で賃貸は、同額家賃でも引っ越しによりより良い条件へ移れる柔軟性がある。
住宅ローンは「借金」そのもの
購入で確実に発生する現実
- ローン返済(元本)
- ローン利息(将来の金利上昇リスクを含む)
- 固定資産税(毎年)
- 保険料(火災・地震等)
- 修繕費(築年とともに増加傾向)
- 管理費・修繕積立金(マンションの場合は上がっていくのが一般的)
新築マンションの修繕積立は序盤が安く設定されやすく、年数が経つと上昇しやすい。家電・設備の更新も賃貸より自己負担が重い。
リセールが高い家とは何か(一般論のヒント)
プロも狙う領域で競争が激しいが、傾向としては以下がプラスになりやすい。
- 希少性がある立地(駅近、都心・核駅の一次圏、学区・病院・商業利便のバランス)
- 将来の都市計画・再開発の追い風
- 流通実績が厚いエリア(相場が読みやすい)
- マンションなら管理の良さ、長期修繕計画の妥当性、戸数規模の適正
- 戸建てなら接道・形状・高低差・周辺インフラ・ハザードの低さ
- 坪単価や賃料相場との乖離が小さい購入価格
注意点
- 一般消費者に出回る物件は、プロ目線の純投資としては割高なことが多い
- 同じ街でも、通り一本、駅からのルート一つで流動性が大きく変わる
感情とお金を切り分ける
家はライフスタイルの核で、感情価値が大きい。十分な資産がある人が趣味として買うのは問題ない。
問題は、身の丈を超えた借金で買い、価格維持や上昇を前提にしてしまうこと。外れた場合、家計が詰む。
リスクチェックリスト
購入前に最低限ここを点検
- 価格が10〜20%下がっても家計は回るか
- 変動金利が上がった場合の返済余力はあるか
- 5年・10年・15年時点での設備更新費用を見込んでいるか
- 将来の転勤、家族構成変化に出口戦略(賃貸化・売却)があるか
- ペアローン解消不可リスク(離婚・病気・転職)に備えがあるか
- 流動性の低いエリアでないか(売るとき本当に売れるか)
判断を早める実務的フレーム
ステップ1:家計と金利耐性
- 金利+2%のストレスでも毎月余剰が確保できるか
- 緊急資金(生活費6〜12カ月分)を別途保有できるか
ステップ2:出口の見込み
- 過去の成約事例と坪単価トレンドで「購入価格の妥当性」と「売却イメージ」を数パターン試算
ステップ3:総コストの見える化
- 10年と20年の2本立てで、家賃総額 vs 購入総コスト(値下がり幅+諸費用)を比較
ステップ4:柔軟性の確保
- 将来の住み替え・賃貸化の障害が小さい間取り・エリアを優先
ざっくり比較表(10年の簡易例)
項目 | 賃貸 | マイホーム購入 |
---|---|---|
住居費の主な内訳 | 家賃のみ | 値下がり分+諸費用(利息・税・保険・修繕・取得売却費など) |
総額の確度 | 高い | 低い(出口価格次第) |
柔軟性 | 高い(住み替え容易) | 低め(売却・賃貸化の手間) |
物件の状態 | 家賃に応じて選び直せる | 時間経過で劣化、修繕が必要 |
勝ち筋 | 家賃を抑え機動性を確保 | リセール維持・上昇、諸費用最適化 |
試算イメージ(前提の一例)
- 賃貸:家賃10万円×120カ月=1200万円
- 購入:5000万円購入、10年後
ケースA 売却5000万円:諸費用等600〜700万円前後
ケースB 売却4000万円:値下がり1000万円+諸費用600〜700万円=約1600〜1700万円
この差から分かる通り、購入は出口価格で結果が激変する。
それでも買うなら、こう考える
- リセール観点で不利な条件の積み上げを避ける(郊外×バス便×供給過剰×特殊間取り、などの複合は避ける)
- きれいに使う、計画的にメンテする、管理の良いコミュニティを選ぶ
- 金利上昇シナリオを家計に織り込む
- 10年で売る、20年以上住む、どちらのルートでも破綻しない資金計画にする
それでも迷う人へのシンプル指針
- 価格維持か上昇が狙える物件を自信を持って選べるなら買い寄り
- その自信がない、もしくは借入に余裕がないなら賃貸が無難
まとめ
マイホームか賃貸かの答えは、将来の売却価格が確定しない以上、原則として分からない。ただし、リセールに強い物件を適正価格で買い、金利・修繕・税などのコストを抑えられるなら、購入が有利になる可能性は十分ある。一方で、価格維持が難しいエリアや物件を選ぶなら、賃貸の方が家計の安定と柔軟性を確保しやすい。まずは会計の目で構造を理解し、数字で比較し、出口戦略まで含めて意思決定することが肝心。
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