本記事は、YouTube動画「中国なんて奥地の青空屋台までキャッシュレスだぞだから日本は中国に負けるんだよ」を基にまとめています。
堀江貴文氏の「中国の屋台でもキャッシュレスが使えるのに、日本の夏祭りの屋台は現金しか使えない。だから日本は中国に負ける」という発言が大きな議論を呼びました。
本当にそうなのか?中国と日本の事情を比較しながら、背景にある「安全性」「社会構造」「国家の方針」まで解説します。
目次
結論から
結論として、「中国では確かにキャッシュレス決済が非常に普及しているが、それは偽札の多さや共産党の政策的な後押しが背景にある。一方、日本は災害リスクや安全性重視の文化があり、現金決済が一定の役割を持ち続ける」ということです。
つまり「中国は進んでいる、日本は遅れている」と単純に比較するのは誤りであり、両国にはそれぞれの合理性があります。
中国キャッシュレス普及の実態
- 中国では都市部を中心にAlipay(アリペイ)、WeChat Pay(微信支付)が圧倒的に普及。
- 観光客が訪れる「山奥の観光地」でもキャッシュレスが使えることが多く、あたかも「中国全土で普及している」ように見える。
- しかし中国政府の統計によると、2025年第2四半期時点で農村部のインターネット普及率は約70%。つまり3割の農村ではネットが使えず、スマホ決済も不可能。
なぜ中国ではここまで進んだのか?
- 偽札問題
- 中国ではATMから偽札が出ることも珍しくなく、銀行に持ち込んでも交換してもらえないケースがある。
- そのため「現金は信用できない」と考え、スマホ決済の方が安心だと浸透。
- 政府の強力な後押し
- 中国共産党は「国民管理」のためにキャッシュレスを推進。
- 電子決済ならすべての取引を記録でき、脱税防止・犯罪抑止に役立つ。
- 逆に反政府的な人物の口座を止めれば、生活そのものを封じることも可能。
- スピード重視の社会
- 日本なら「99%安全」にならなければ導入しないところを、中国は「60%の完成度」で一気に広げる。
- EV(電気自動車)の普及も同様で、事故リスクが残っていても政府が後押し。
日本でキャッシュレスが進みにくい理由
- 災害大国
- 地震や台風などで停電した場合、電子決済は機能しなくなる。現金は「最後の砦」として必要。
- 偽札がほとんど存在しない
- 日本銀行の統計によると、1年間に発見される偽札は数百枚レベルで、中国とは桁違いに少ない。
- 安全性への強い意識
- 日本社会は「安全第一」の文化。中途半端な完成度では社会に受け入れられにくい。
興味深い事例:中国のガソリンスタンド
- 北京を含む多くの都市でガソリンスタンドは「スマホ決済禁止」。
- 表向きの理由は「電磁波や静電気で引火するリスク」。
- 実際には「中国製スマホの爆発事故」を恐れているという裏事情があると指摘される。
香港と中国本土の違い
- 香港ではキャッシュレス利用率は中国本土ほど高くない。
- 理由は「共産党の政策に乗りたくない」「手数料を払いたくない」という市民感情。
- 結果として「現金が依然として広く利用される社会」が維持されている。
日本は中国に「負けている」のか?
堀江貴文氏の発言は「屋台ですらキャッシュレスが普及している中国」と「未だ現金中心の日本」を単純に比較したものでした。しかし実際には、
- 中国は「偽札」「統制」「スピード重視」が背景。
- 日本は「災害対応」「安全性」「現金の信頼性」が背景。
というように、土台そのものが違います。したがって「日本が中国に負けている」という評価は短絡的であり、むしろ「お金を稼ぐことと安全・安心をどう両立させるか」という価値観の違いだといえます。
まとめ
- 中国では農村の3割は今もネットが未普及。全土がキャッシュレスではない。
- キャッシュレス普及の背景は「偽札の多さ」と「共産党による統制」。
- 日本は災害大国であり、安全性を重視するため現金が残り続ける。
- 「進んでいる=良い」ではなく、社会の背景や文化を踏まえる必要がある。
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