中央銀行売却でゴールドが弱気相場入りか。21%急落から見える金投資の落とし穴と「コア投資の仕組み化」

本記事は、YouTube動画『中央銀行がゴールドの売却を開始|ゴールドが21%急落で弱気相場入り|金が米国株の代替にならない理由|コア投資に必要な仕組みの作り方【米国株投資】2026.2.4』の内容を基に構成しています。

目次

ゴールドが高値から21%下落、弱気相場入りの衝撃

直近のゴールド市場で大きな変化が起きています。動画では、ゴールドが高値から最大で21%下落し、一般的に「下落率が20%を超えるとベアマーケット(弱気相場)入り」とされる水準に到達したことが語られています。

一方で、急落後に3日連続で反発し、足元の価格は5097ドルと節目の5000ドルを回復しています。

さらに、日足で見ると50日移動平均線の上で推移しており、短期的には上昇基調を維持しているようにも見えます。ここだけを切り取ると「急落したが、結局は戻り始めている」とも受け取れます。

しかし、動画の主題は「反発しているから安心」ではありません。ゴールドが急落した背景を整理し、金が米国株の代替になりにくい理由をデータで確認したうえで、投資で迷わないためのコア戦略の作り方まで踏み込んで解説しています。

なぜゴールドは中期で強かったのか

まず、なぜここまでゴールドが上がってきたのか。動画では、ゴールド上昇の構造的な理由として複数の要因が整理されています。

インフレ懸念はその代表です。CPIやPCEといった指標上は落ち着いているように見えても、コロナ対策で市場に広がった資金が背景にあり、再びインフレが再燃するのではないかという不安が残ります。さらに関税など政策要因が物価を押し上げる可能性も指摘されています。

次に地政学リスクです。ロシア・ウクライナ情勢は2022年から約3年が経過し、中東も含めて不確実性が続いています。動画では中国やグリーンランドなどの話題にも触れられ、リスクが広がるほど「安全資産」として金が買われやすい構図が説明されています。

そして、中央銀行の買いが続いてきたことも重要です。中央銀行は投資家と違い、短期的な価格変動で売買するというより「準備資産」として金を保有する傾向があります。このため、中央銀行が買っている間は市場に安心感が生まれやすい、という見方がありました。

景気後退懸念も動画では触れられています。

大きな景気後退はないかもしれないが、雇用環境は悪化しており失業率も上昇傾向であるため、リスク回避の動きが完全に消えたわけではない、という流れです。

さらにドル不安の視点もあります。日本から見るとドル円が円安で「ドルが強い」と感じがちですが、動画ではドル指数を確認し、節目の100を下回る97付近で推移しており、移動平均線の位置関係から下落基調が示唆されると説明しています。

こうした不安要因が積み重なると、金のような非通貨資産が買われやすくなります。

ただし動画では、これらの要因がすべて逆転すれば金は下がるとも述べています。インフレが収まり、世界が平和になり、中央銀行が買わなくなり、景気懸念がなくなり、ドルが強くなり、米国株が絶好調になる。

こうした環境に転換すれば、金価格が下がる局面は過去にもあったという認識です。動画では2010年代がその例として触れられています。

21%下落の直接要因と「金利」の壁

では、足元の急落は何が引き金になったのか。動画では、次期FRB議長にケビン・ウォーシュ元FRB理事が指名されたことがきっかけになり、コモディティ価格の下落が始まったという整理がされています。

ウォーシュ氏は金融引き締めに積極的な高派として知られるという見方があり、金利が高止まりするのではないかという懸念が高まります。金は利息を生まない資産なので、金利が高い環境は相対的に不利になりやすい、という説明です。

さらに、1月のFOMCで利下げが停止され、4会合ぶりに政策金利の据え置きが決定した点が触れられています。過去を振り返ると3.5%から3.75%という政策金利水準は高めであり、ここで高止まりするなら金への逆風になるという流れです。

加えて、12月の経済見通し(SEP)で示された中立金利の上限が3.6%だった点にも触れています。前回12月の利下げで政策金利が3.5%まで下がったことで、中立金利とほぼ同水準に到達しており、ここから追加利下げは難しいのではないか、という見立てが出てきたという説明です。

次に長期金利の話に進みます。動画では10年国債利回りが足元で4.27%と高い水準にあることが語られています。政策金利が据え置きで、利下げ期待が後退する局面では長期金利が上がりやすく、これも金には逆風になりやすい、という整理です。

ここで重要なのが「なぜ利下げ局面でも長期金利が上がるのか」という部分です。動画では、ターンプレミアムの影響が大きいと説明しています。10年間資金がロックされる長期投資に対し、投資家が上乗せの利回りを要求するのがターンプレミアムです。政策金利が下がっても、国の信用不安や財政不安が強まると、ターンプレミアムが上がって長期金利が上がることがあります。

動画では米国の債務が37兆ドル規模で増え続けている点や、政治リスク、さらに中国が米国債を売っているという話題にも触れ、米国リスクへの警戒が強まるとターンプレミアムが上がりやすい、という説明につながっています。

ただし、ドルが強くなっているかというと、動画内のドル指数の説明では明確な上昇ではなく、むしろ下落基調が示唆されるという指摘でした。つまり、金が急落した理由を「ドル高だから」と単純化するのは難しく、短期的なきっかけはあったが、目先の値動きだった可能性もあるというトーンが入ります。

ここから動画は「金は結局どうなのか」という問いに対して、需給と統計データで考える流れに移ります。

需給データで見るゴールド:供給は増え、需要は過去最高。ただし中身が変わった

動画ではワールドゴールドカウンシルが発表した2025年の年間データをもとに、供給と需要の内訳が解説されています。

まず供給側です。年間の総供給量は5000トン台に到達し、前年より1%増えていると説明されています。内訳では鉱山からの産出量が過去最高の3671トンとなり、前年の3650トンをわずかに上回った点が示されています。

一方でリサイクル供給は、金価格がドル建てで年間44%上昇したにもかかわらず、急激には増えず、1404トンで前年比3%増にとどまったとされています。価格が上がれば売る人が増えてリサイクルが増えそうですが、まだ上がるかもしれないと考えて保有を続ける人も多く、簡単には供給が増えないという解釈が示されています。

次に需要側です。2025年の総需要は初めて5000トンを突破し、OTC(相対取引)を含む年間需要が5002トンに達したと説明されています。金額ベースでも前年比45%増の5500億ドルで過去最高という話です。さらに、年間で53回も史上最高値を更新したという情報も出てきます。ここだけを見ると、需要が非常に強く、供給も安定しているので「金は盤石」に見えます。

ただし、動画はここで「内訳を見ると楽観できない点がある」と強調します。

需要の中でも投資需要、つまりETFやコインなどの分野が前年から801.2トン増え、前年比84%増とほぼ2倍になったという説明があります。これは統計開始以来で2番目に強い伸びだと述べています。

ここが重要な論点です。中央銀行が買う金は値段が上がっても売りにくい傾向がある一方、ETFや投資家の買いは上がれば売る可能性が高い。投資需要が増えるほど、相場が下がり始めたときに売り圧力になりやすい。つまり、需要が増えていることが必ずしも安心材料ではなく、価格変動の激しさを増やす側面もあるという整理です。

さらに中央銀行の買いについて、2025年は863トンと前年比21%減り、1000トンの節目を割り込んだと説明しています。2022年から3年連続で中央銀行の購入が強かったが、2025年は明確に減少したというのが動画のポイントです。

減少の理由として、ウズベキスタンやカザフスタンなどが国内生産分を買い取り、国際市場で売却して外貨準備を管理するアクティブマネジメントをしているという報道が紹介されています。さらに中国が買い増しを停止したという統計上の変化にも触れ、2024年5月以降、公式の保有量が変動なしと報告されていることが示されています。18カ月連続の買い増しが止まったという位置づけです。

ただし、動画ではここに一段の含みを持たせています。中国は金を国外に出すことを法律で禁止していること、保険会社などの買いが増えていることなどを踏まえ、本当に中国が買っていないのか、あるいは買っていても「買っていない」と報告している可能性があるという見方も専門家の中にあると述べています。

いずれにしても、中央銀行の買いが減っていることは事実であり、投資需要が増えている以上、今後のボラティリティが高まりやすいというのが動画の結論の一部です。

投資戦略の変更点:コア積立は維持しつつ、下落局面ではスポット買いを活用する

ここまでの分析を踏まえ、動画の発信者は自分の投資スタンスを整理しています。

まず、コア投資としてゴールドを積み立てる方針は変えないと述べています。毎月850ドルをGLDMとIAU(動画内ではUTFと発言されていますが、文脈上は金ETFの継続購入の意図です)で定期積立することを継続するという内容です。

一方で、2024年以降の急上昇で、定期積立は買えば買うほど高値掴みになっていたという反省が語られます。もし2024年1月に一括で買っていれば大きく増えたが、毎月買っているため平均取得単価は上がり続けた、という整理です。

ここで動画が示すのは、今回のような調整局面を「スポット買いのチャンス」として活用することです。発信者は先週の大きな下落局面でGLDMを100株買い増しし、同時にシルバーもSLVを110株買ったと述べています。もちろん一気に買うのではなく、下がった局面で分割して買い増しする姿勢です。

ただし、まだ下がる可能性も十分あると明言しています。20%超の下落で弱気相場入りとされる以上、反発後に再び下落することもあり得るという認識です。

今後の注目ポイント:FOMCと議長交代、特に6月の見通し更新

今後の注目として、動画ではFOMCとFRB議長交代が中心に置かれています。

今年の5月に議長交代があり、新体制での最初のFOMCが6月になるという想定です。そして6月は経済見通し(SEP)の更新もあるため、金利見通しがどうなるかが重要になります。年の半分が終わった時点で、年内に何回利下げできるのかが現実的に示され、期待より利下げが少なければ金には逆風になり得るという整理です。

また、スポット買いを行うなら、定期積立とは別に現金余力を用意し、重要イベント時にすぐ動けるようにしておくことが大事だと述べています。これを「仕組み」として組み込む発想が、後半のテーマであるコア投資の仕組み化につながっています。

なぜ金は米国株の代替にならないのか。220年データが示す結論

動画の中盤以降で、金をコア資産にするかどうかを考える際に、長期データが提示されます。ここが本動画の重要な核の1つです。

紹介されるのは、ジェレミー・シーゲル教授のデータとして、1801年から2021年までの約220年の複利実績です。1ドルを投資した場合の結果が示され、米国株は約5400万ドルになり、年平均リターンは8.4%と説明されています。

一方、長期米国債は年平均5%、短期米国債は4%程度。金は年平均2.1%で、1ドルが220年で94ドルになったという説明です。そしてインフレは1.4%程度であり、金はインフレヘッジとしては機能するが、長期で資産を大きく増やす「成長資産」としては株に劣るという結論に導かれます。

この話は、直近で金が株より上がっているように見える局面ほど重要になります。短期のチャートだけを見ると「株より金が強いから、金をコアにした方がいい」と思いがちですが、超長期で見ると金は基本的にインフレに沿ってじわじわ上がる性質であり、株式のように企業の利益成長を取り込んで指数関数的に増える資産ではない、という整理です。

つまり、金はコア資産の代替というより、コア資産を支える補助的な役割、具体的にはインフレや危機への保険としての位置づけが適している、という考え方になります。

コア投資に必要なのは「気合」ではなく「仕組み」:ブレない投資の作り方

動画の後半では、投資で迷わないための方法論として「コア投資の仕組み化」が語られます。

発信者はコア投資を5つのステップで整理しています。重要性を理解し、具体的な目標設定をし、仕組みを作り、銘柄と買い方を決め、最後に出口を決める。中でも最重要は3番目の「仕組みを作る」だと強調されています。

仕組み化の中身として、まずコア資産を何にするかを決め、比率も決める。そのうえで、投資心理も含めて「やってはいけない行動」を把握することが大事だと語られています。

ここで印象的な表現として、Amazonの企業文化にある「feeling doesn’t work, but mechanism does」という考え方が紹介されます。やる気や気合いは長期運用では機能しにくい。機能するのは、誰が見ても再現できるようなメカニズム、つまりルールと仕組みである、という主張です。

相場は情報が多く、金が上がれば金が正しいように見え、米国株が上がれば米国株が正しいように見えます。オルカンが話題になればオルカンが正しいように見えます。こうして目先の情報でブレてしまうのを防ぐのが、最初に作っておく仕組みです。後から点検でき、客観的に妥当性を確認できる形にしておけば、相場環境が変わっても一喜一憂しにくくなります。

高齢投資家の質問に見る「出口戦略」の現実:金属一本は危うい理由

動画の終盤ではQ&Aがあり、62歳の視聴者から「NISAで米国株や日本株に投資しているが怖い。貴金属投資一本にすべきか」という質問が取り上げられます。

回答の軸は2つです。1つは出口までの時間、つまり資産を取り崩すまでの期間です。退職して出口が近いのか、まだ働けるのか、収入があるのかでリスク許容度は変わります。

もう1つは、出口が近い状態で貴金属一本に寄せる危険性です。特にシルバーやプラチナはボラティリティが高く、精神的にも安定しにくい。出口が近い時期に急落が来ると、資産が減った状態で取り崩さざるを得ないリスクがあります。

その代替として、動画では米国債の現物を例に出し、満期まで持てば元本が戻るという性質に触れています。10年利回りが4.2%を超える状況なら、10年間で利息分が累積して資産が増える見通しが立ちやすいという説明です。出口が見える資産を一定割合で持つことが、出口戦略では重要になるという論点です。

また日本株については、過去に高値更新まで34年かかったことや、円安局面での通貨価値の弱さに触れ、リスクを取るなら世界的に資金が集まりやすい米国株が軸になりやすい、という考えが語られています。

まとめ:金は保険、株は成長。迷わないために「仕組み」を先に作る

今回の動画は、ゴールドが高値から21%急落し弱気相場入りとされる局面を入り口にしながら、金投資の本質と、コア投資でブレないための仕組み作りを一貫して解説していました。

ゴールドはインフレ懸念や地政学リスク、中央銀行の買いなどを背景に中期で強さを見せてきました。しかし足元では高派FRB人事や金利見通し、中央銀行の買い減少、投資需要の増加といった要因が絡み、ボラティリティが高まりやすい環境が見えています。

そのため、コアとしての積立は維持しつつも、調整局面ではスポット買いを分割で活用し、イベント前後に動ける現金余力を別枠で確保する、といった運用の工夫が重要になります。

そして最も大切なのは、金が株の代替になるかという議論を短期の値動きで決めないことです。220年という超長期データでは、米国株が年平均8.4%で資産を増やしてきた一方、金は年平均2.1%でインフレヘッジとしての性格が強いことが示されています。金は成長資産というより保険であり、成長の中心は企業利益を取り込める株式になりやすいという結論です。

相場環境は常に変化します。だからこそ、気分や流行ではなく、最初に作ったメカニズムで投資判断ができる状態を作ることが、長期投資で迷わない最大の対策になります。今回の急落局面は、金を否定する材料というよりも、資産配分と投資ルールを点検し、コア戦略を仕組みとして再構築する機会として捉えるのが現実的だと言えます。

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