本記事は元動画のタイトル「【大注目】今週は運命の一週間 ドル急落リスク」を基に執筆しています。
結論(先に要点)
・米国株は9月に崩れ、10月に一旦底打ち、年末にかけて反発というシナリオ
・9月FOMCでの利下げ再開観測が強く、年内は合計2回の利下げがメインシナリオ
・利下げペースが市場想定より速まると、ドルは急落しやすい
・今週はISM、JOLTS、ADP、雇用統計などが集中し、為替と金利の方向性を決める分水嶺
・半導体は中国勢の台頭ニュースで短期調整色が強まり、関連ETFは50日移動平均線割れリスク
直近のパフォーマンスと為替の動き
・8月の米主要指数は上昇。S&P500は1.9%高の6460、ナスダック総合は1.6%高の2万1455で月足陽線
・一方でドル円は2.5%のドル安円高進行で147.50近辺へ
・円建てS&P500は約95万と、7月末の高値約96.9万から2%下落
為替の逆風で円建てパフォーマンスは目減り。株高でも通貨で削られるという典型的なパターンです。
なぜドル安が進んだのか
・9月FOMCで利下げ再開の見方が優勢
・7月PCE総合は前年比2.6%で予想一致、コアPCEも2.6%で小幅加速
・一部FRB高官は年内2回の利下げを支持。大幅利下げ不要というトーンながら、方向は緩和寄り
ポイントは、利下げ回数そのものよりもペースの織り込み。市場は緩やかな0.25%刻みを想定しがちですが、景気が減速に傾けばペース加速に一気に修正され、ドル売りのスピードも増します。
雇用の変化は不況のシグナルになりやすい
・雇用者数の伸びが2カ月連続で減少転換すると、過去は高確率で景気後退に接続
・2007年は9月に減少転換し3カ月後の12月に景気後退入り
・2000年は7月に減少転換し8カ月後の2001年3月に景気後退入り
足元の改定や統計ブレもありうるため、直近データの連続性が焦点になります。
今週の経済イベントが「運命の一週間」になる理由
・ISM製造業、ISM非製造業
・JOLTS求人件数
・ADP雇用
・雇用統計
ここで景気の底堅さが再確認されれば長期金利は上振れ、ドル円は50日線付近から反発も。逆に減速色が強まれば、利下げ加速観測でドル円は50日線割れから円高が一段と進む可能性があります。
シナリオ早見表(ドル円)
経済指標の強弱 | 市場解釈 | 金利 | ドル円の反応 |
---|---|---|---|
強い | 利下げ観測後退 | 上昇 | 反発しやすい |
中立 | コンセンサス維持 | 横ばい | 方向感出にくい |
弱い | 利下げ加速観測 | 低下 | 50日線割れから円高進行 |
現状のテクニカルは147.50前後で50日線が意識される水準。割るか守るかは今週のデータ次第です。
FRBの利下げ見通しと市場の織り込み
・9月FOMC利下げ確率は高水準
・年内2回の利下げ観測がメインシナリオ
・市場は「ゆっくり0.25%刻み」を想定しやすいが、実際の不況局面では利下げは速く、連続的になりやすい
つまり、統計が弱ければ為替・債券・株のボラティリティが同時に高まりやすく、ドル急落のトリガーになりうるということです。
米株の地合いと筆者のタイムライン
・米国株は9月に崩れ、10月に底打ち、年末に向け反発というシナリオ継続
・完全な底打ちは2026年10月頃を想定、最大下落率は株で30〜40%、円のパフォーマンスはマイナス40%超の可能性も
短期と長期で時間軸を分けるのが前提。足元は統計に揺さぶられますが、長い谷を見据えた資産配分が問われます。
半導体に走った冷や水と短期テクニカル
・中国勢の汎用性高い推論用半導体の開発報道が出て、米半導体株が一斉安
・NVIDIA、ブロードコム、AMDがそれぞれ下落、対して中国関連は急騰
・半導体ETFは出来高増で2〜3%安。短期的に50日移動平均線の攻防へ
・推論需要シフトで超高性能チップ一辺倒でなくなる可能性が意識され、過熱調整の口実に
AI関連はテーマ自体が消えるわけではないものの、銘柄間・用途間の優劣がより鮮明になり、インデックスよりも選別のフェーズに入りやすい局面です。
投資家が今週やっておきたいこと
・ポジションと為替感応度の棚卸し
・ドル円が50日線を明確に割った場合のヘッジ手順を事前に用意
・重要指標の発表予定と自分の取引時間の整合を取る
・半導体は50日線の攻防と出来高に注目し、追いかけ買いは避ける
まとめ
・今週は米景況感と雇用のビッグイベントが集中し、金利と為替の方向性を大きく動かす可能性が高い
・利下げは年内2回がメインシナリオだが、景気悪化が強まればペース加速でドル急落リスク
・米株は9月調整、10月底打ちから年末反発の想定。ただし完全な底はさらに先という長期観測
・半導体は中国勢の推論用チップ報道で短期調整色。指数より個別の選別が重要
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