※本記事はYouTube動画「とんでもないリスク忘れてる 半導体に高関税 ヤバい」の内容をもとに構成しています。
結論:半導体はこれから“地政学的リスク”の中心へ。AIブームの裏で進行する高関税リスクに注意
現在、AI関連銘柄を中心に米国株が上昇していますが、その裏でじわじわと迫っているのが「トランプ関税の復活」です。特に半導体に対して高関税が課される可能性が高まりつつあり、これはAIブームの成長を止める重大なリスク要因となりえます。
トランプ前大統領は2024年時点で鉄鋼やアルミ製品に最大50%の関税を課す方針を示し、さらに半導体、医薬品、木材など幅広い分野への関税拡大を予告しています。AIやハイテク機器の要である半導体への影響は計り知れません。
トランプ関税が再来することで起こること
1. 米国への半導体供給コストが激増
現在の半導体のサプライチェーンは多国籍にまたがっています。例えば:
- アリゾナで製造 → 中国・マレーシアで検査・パッケージング → iPhoneなどに搭載 → 米国再輸入
このような流れでは、米国内で一部製造されたとしても、最終工程が外国で行われていれば関税の対象になります。関税が課せられればコストは急増し、企業の利益率に打撃を与えることは避けられません。
2. サプライチェーン再構築は“数兆円”と“数年”単位
半導体製造には巨額の投資が必要です。米国内の新設工場1カ所あたりの建設費は数百億ドル(数兆円)にものぼり、稼働まで数年単位を要します。
たとえば:
- TSMC(台湾セミコンダクター)
- インテル
- サムスン電子
これら大手メーカーはすでに米国での生産拡大を進めていますが、それでもフル内製化には時間とコストがかかります。
3. 電子機器全体への関税も懸念材料
- スマホ輸入額(2023年):1140億ドル(約16.8兆円)
- ここに半導体25%の関税が課される可能性
- さらにノートPC・スマホ全体に対する10%関税も追加される可能性
こうした措置が現実化すれば、電子機器の価格上昇は避けられず、需要減退による企業収益の悪化が懸念されます。
半導体業界の経営者たちも“慎重姿勢”に転じている
- ASML(オランダの先端製造装置メーカー):米国での生産難易度が高く、受注に慎重姿勢
- TSMC:生産能力が逼迫しているにもかかわらず、設備投資は据え置き
こうした慎重姿勢の背後には、関税によりサプライチェーンや利益構造が大きく揺らぐリスクがあります。
FRB議長パウエル氏の「解任騒動」が市場の不安を加速
共和党議員がFRB議長ジェローム・パウエル氏に対する刑事捜査と解任要求を提出し、市場に不安を広げています。
- トランプ氏は以前から利下げに消極的なパウエル氏に対して不満を持っていた
- 現在、FRB本部の回収工事費(25億ドル)を理由に解任を試みる可能性
- ただし任期は残り10ヶ月で、解任訴訟を起こせば長引いて任期を全うする可能性が高い
- 中央銀行の独立性への介入は、市場混乱の引き金になりうる
投資家の戦略:AI株への過剰投資は危険。欧州・新興国への分散を
動画では、今後の投資戦略についても触れられています。
米国株の天井予想と下落シナリオ
- 7月:天井をつける
- 8月〜9月:モメンタムを失い下落局面へ
- 10月:底打ち
- 年末にかけて:一時的な反発
米国株は今後“低パフォーマンス”の可能性
- トランプ関税がインフレを高止まりさせ、金利上昇 → PR(株価収益率)低下
- ブームとなったAI銘柄や米大型株は次の景気拡大局面では不調に
代替の注目市場
地域 | 理由 |
---|---|
欧州株 | 次の景気回復局面で2桁リターンが期待される |
新興国株 | 通貨高+資産ブームの再来(2000年代ブリックス期の再来) |
金鉱株など | インフレ対策として注目されやすい資産クラス |
また、資金をドルではなく円で持つことも推奨されています。利下げサイクルにより円高方向に進む可能性があるためです。
まとめ:半導体関税リスクを見落とすな。AIバブル崩壊に備えて現金と分散を
- トランプ関税の再来は「AIバブル」に冷や水を浴びせる可能性が高い
- 半導体の供給コスト上昇・サプライチェーン分断はハイテク企業の利益率に大打撃
- 中央銀行への政治的介入リスクも市場の不安要因
- 米国株集中ではなく、欧州・新興国・コモディティ系への分散を視野に
特に「AI銘柄に全振り」している投資家ほど、秋以降の調整に備えてポートフォリオの見直しが求められます。今後の投資戦略は、「米国主導」から「多極化する世界」へのシフトがカギとなるでしょう。
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