※本記事は、YouTube動画「17歳の中国人高校生がエベレスト登頂した件に対する中国人の反応」に基づいて構成しています。
結論:登頂の偉業より「金で未来を買える不公平」への怒りが噴出
2024年5月、中国の17歳の高校生が世界最高峰エベレストの登頂に成功しました。通常であれば「若き挑戦者の快挙」として称賛される出来事ですが、今回の登頂は中国国内で批判の声が多数上がっています。
その背景には、「教育の公平性」が失われている中国社会の構造問題が浮き彫りとなっていました。特に「お金があれば大学入試でも有利になる」という制度への不信感が、国民の怒りを引き起こしているのです。
エベレスト登頂にかかる費用は約1000万円
注目すべきは、17歳の高校生が登頂にかけた費用です。報道によれば、登頂に必要な総額は日本円で約1000万円(約50万元)。この金額には以下のような項目が含まれます。
項目 | 内容 |
---|---|
登山許可証 | ネパール政府への支払い、数十万円相当 |
装備費 | 防寒着、酸素ボンベ、衛星通信機器など |
ガイド・ポーター代 | 荷物運搬やサポートに多数のネパール人を雇用 |
トレーニング・準備費 | 高地順応のための事前トレーニングや現地滞在費 |
この金額は、中国の平均的な家庭にとって到底支払えるものではありません。それゆえに、「登頂した事実」よりも「なぜ高校生が1000万円を使えたのか?」が議論の中心になったのです。
背景:大学入試制度と“加点制度”の悪用
中国には「高考(ガオカオ)」と呼ばれる全国共通の大学入試試験がありますが、その評価には試験の得点だけでなく“加点制度”が存在します。
加点制度の例:
- 貧困地域出身の学生:数点〜十数点の加点
- 少数民族:一定の加点
- スポーツや芸術、国際的な実績など特別功績:大幅な加点
今回のような「エベレスト登頂」という大きな功績は、北京大学や清華大学に入るための加点対象となる可能性が高いとされています。ネット上では、「この高校生は登頂実績によって一流大学への入学が“保証された”ようなものだ」との見方も多く見られました。
つまり、「金で登山させて、金で大学合格も確保した」と受け取られてしまったのです。
中国国内の反応:「金持ち優遇」に対する強烈な不満
中国のネットユーザーたちは、普段は中国人の偉業に対して称賛する傾向がありますが、今回に関しては以下のような否定的な意見が多く寄せられました。
- 「エベレストに登るのに1000万円?庶民には絶対無理」
- 「荷物は全部ネパール人が運んでくれるんだから、金さえあれば誰でも登れる」
- 「登頂が大学受験の加点対象になるのは不公平すぎる」
- 「金持ちの子供は大学に入りやすく、人脈も得て、将来の成功が約束されている」
このような意見の背景には、中国社会における教育格差や階級の固定化があります。
“教育の公平性”はすでに崩壊している?
中国ではかつて、「学歴は出自に関係なく努力で勝ち取れる唯一の手段」とされてきました。しかし現在では、以下のような不正や制度の悪用が横行しています。
問題点 | 内容 |
---|---|
加点の悪用 | 都市部の裕福層が試験前に貧困地域に“偽装移住”して加点を得る |
体育実績の捏造 | 実力がないのに書類上で優秀とされ加点された例も |
共産党の関与 | 加点対象の選定は共産党内部の人脈が左右する利権化 |
今回の登頂高校生のように「お金で実績を作る → 加点で名門大学に合格 → 社会の要職へ」というルートが出来上がってしまっていることに、多くの中国人が強い不満を抱いています。
不満の矛先は共産党へ…しかし口には出せない現実
中国の大学進学制度の構造を変えることができるのは共産党です。しかし、共産党の幹部自身がこの制度を利用して自分たちの子供を優遇しているため、改革はほとんど行われていません。
中国では直接的な共産党批判は非常に危険な行為とされるため、国民の不満は「制度が悪い」「社会が歪んでいる」といった間接的な表現にとどまります。
歴史的に続く“格差固定社会”としての中国
中国では歴史的に「官僚層が富と権力を独占し続ける社会」が繰り返されてきました。現在の共産党体制もその延長にあると捉えられています。
つまり、
- 金持ち → 子供が名門大学へ → 社会の要職へ → 次世代も富裕層へ
というサイクルが、制度によって維持されているというわけです。
日本人にも無関係ではない視点
このような中国社会の構造や思想は、中国人が海外移住した際にも影響を及ぼす可能性があります。
彼らは「政治家や権力者に近づき、利権を得る」ことを当たり前と考える文化を持っており、それが日本や他国の社会制度と摩擦を生む恐れがあります。
まとめ:一人の登山が浮き彫りにした社会の根深い問題
今回の17歳の中国人高校生によるエベレスト登頂は、「若者の挑戦」ではなく「教育と格差社会の象徴」として受け止められました。称賛の声が少ないのは、中国国民が直面している“未来への閉塞感”をこの件が可視化してしまったからです。
大学入試という重要な人生の節目すら「お金で操作できる」と思わされてしまうこの状況に、多くの人々が不満と怒りを感じています。これは単なる登山の話ではなく、中国社会の根本的な問題を浮き彫りにした出来事だったのです。
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