国内史上最悪の詐欺集団【乗ってはいけない儲け話】~豊田商事事件~

今回は、日本の詐欺事件史上でも特に衝撃的だった「豊田商事事件」について解説していきます。

この事件は、多くの人々を巻き込み、大きな社会問題となりました。クラウドファンディングや投資詐欺についての注意喚起として、ぜひ最後までお読みください。

目次

トヨタ商事の設立と創業者の経歴

豊田商事は、1970年代後半に永野一男という人物によって設立されました。

彼の経歴は非常に曖昧で、岐阜県出身ですが、家庭の事情で苦労し、多くの職を転々とした後、先物取引会社に入社します。

しかし、そこで顧客の3000万円を小豆相場損失し、会社をクビになるなど波乱万丈の人生を送っていました。

豊田商事のビジネスモデル

1977年頃に永野は個人で豊田商事という称号で、金地金や金の取引で顧客からお金を集める商売を開始しました。

豊田商事は、金を取り扱ってはいたものの、金の合法的な金取引所が存在しない時代だったため、非常に怪しい手法でお金を集めていました。

具体的には、顧客に「金を購入して豊田商事に預けることで利益を得る」と持ちかけ、その金を実際には購入せず、証券という名の紙切れを渡していたのです。

強引なセールス手法と被害の拡大

豊田商事のセールス手法は非常に強引で、特に高齢者をターゲットにしていました。

テレフォンレディーが片っ端から電話をかけ、顧客の情報を収集。

その情報をもとに外交員が訪問し、長時間にわたる説得や土下座までして契約を取っていました。この結果、毎月数十億円もの資金を集めることに成功しました。

会社内部は超体育会系のブラックで、社員同士での競争が激しく、入社半年で支店長になる者もいれば、急に降格させられる者もいる結果重視の会社でした。

80年代当時の豊田商事の求人広告は、大卒初任給が14万円の時代に30万円、さらには歩合給付き(契約の7%が歩合給)と破格でした。

その結果、高額な給料に目がくらんだ社員たちは、平気で顧客を騙すようになったのです。

詐欺の実態と企業の拡大

トヨタ商事は、非常に強引なセールスによって、右肩上がりで資金を集めました。

しかし金を実際には購入せず、顧客から集めたお金を他の事業に投資していました。

これは現物まがい商法と言われるもので、ペーパー商法、オーナー商法とも言われます。顧客には金の賃貸料と金の返金に対応しないといけないので、いずれは破綻する手法です。

そこで銀河企画という会社を立ち上げ、ベルギーダイヤモンドやゴルフ会員権の販売など、多岐にわたる事業展開をしていましたが、どれも詐欺的な手法でした。

特に、ゴルフ会員権は実際に存在しないゴルフ場を含めて販売され、多くの人々が騙されました。

最後の崩壊と驚きの結末

豊田商事は早い段階からマスコミからの非難がありました。1983年には被害者からの訴訟が頻発して、批判報道が過熱しました。

84年には衆議院予算委員会で話題になり、1985年にはついに外国為替管理法違反容疑で強制捜査が入りました。

そして衝撃的なことが起きます。
創業者の永野が逮捕される噂を聞きつけたマスコミの記者が永野マンションで待機している時に、2人組の男が現れ、永野を殺害します。

この事件により、トヨタ商事は完全に崩壊し、約2000億円もの被害が発生しました。

まとめと教訓

この事件は、詐欺の手口がいかに巧妙で、どれほど多くの人々が簡単に騙されるかを示しています。

私たちも、投資やクラウドファンディングを行う際には、常に慎重に情報を確認し、リテラシーを高めることが重要です。今回の解説が、皆さんの参考になれば幸いです。

専門用語解説

  • クラウドファンディング:インターネットを通じて多数の人から資金を集める方法
  • 詐欺:他人をだまして金品を騙し取る行為
  • 先物取引:将来の特定の日に特定の商品を特定の価格で売買する契約
  • テレフォンレディー:電話を通じて商品の販売や顧客の情報収集を行う女性スタッフ
  • 外交員:顧客を訪問し、商品やサービスを販売する営業担当者
  • ファミリー契約証券:特定の商品やサービスを契約し、その証券を発行するもの
  • ペーパー商法:実体のない商品やサービスを販売する詐欺的な手法
  • ゴルフ会員権:ゴルフ場の利用権を購入する権利
  • 現物まがい商法:実体のない商品を販売する詐欺的な手法
  • 差し押さえ:裁判所の命令で財産を取り上げること
  • 管財人:破産手続きにおいて、財産を管理・処分する役割を持つ人
  • 配当金:企業の利益の一部を株主に分配するお金
  • 証券取引相場:株式や債券などの金融商品が売買される市場
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