※本記事は元動画「【待望の新刊】2億円を作った超分散株投資の秘密が大公開!」の内容を基に、初学者にも分かりやすいよう再構成しています。事実関係は動画で語られた範囲を中心に、数字・具体例・背景説明を補って解説します。
結論(先に要点)
著者・名古屋の長期投資家さんの核心は「割安株(バリュー)をコツコツ買い、1銘柄の保有額を小さく抑えつつ“超分散”で長く持つ」という一点です。
年収300万円台、10年の追加入金は合計約200万円という“入金力の弱さ”でも、1995年の50万円スタートから、2011年に約1,700万円、アベノミクス期の波を捉えて5年でほぼ4倍、さらに8年で2億円到達。
秘訣は、値動きに翻弄されないポジション設計と、常に割安な“働く企業”を数多く組み合わせる超分散の仕組み化にありました。
著者の出発点:50万円から始まった「価値探索」
1995年、アルバイトで貯めた50万円で投資を開始。
当時は手数料も高く、単元株も重かった時代です。
IT相場の追い風で幸先よく増やした一方、推奨銘柄を鵜呑みにして大きく損を出す経験も重ね、資産が半減する局面も味わいます。
2002年秋、「このままでは危ない」と投資の根本を見直し、決算書を読み込んで“本当の企業価値”と“市場価格”のズレを探る「割安株投資」へと舵を切りました。
投資観を決定づけた2つの出会い:アクティビズムと“眠れるポジション”
第一は、村上ファンドの事例から学んだ「企業価値と市場価格の乖離は収斂する」という視点。
資産が厚いのに割安放置の企業に変化が起こると、株価は本来価値へ近づく――この“仕組み”が投資の軸になりました。
第二は、投資家仲間F氏からの助言。「決算前に眠れないならポジションが大きすぎる。眠れる量まで減らし、その代わり銘柄数を増やせばいい」。
ここから、1銘柄のサイズを小さく、全体を“超分散”する設計が生まれます。
以後は大型ショックでも姿勢を崩さず、東日本大震災時に海外比率が高く影響が限定的な「日ASB機械」を拾うなど、企業実態を軸に淡々と仕込みを継続しました。
数字で見る成長曲線:複利は“後半で加速する”
2011年時点で約1,700万円。16年かけて50万円が約34倍と聞くと、速度は平凡に見えるかもしれません。
しかし本当の加速はここからです。2012~2017年のアベノミクス初期にほぼ4倍、そこからさらに8年で2億円に到達。複利は“後半で効く”――超分散でドローダウンを浅く保ちつつマーケットに晒し続けた時間が、雪だるまを大きくしました。
「価値×超分散」の作法:集中投資を真似せず、あなたの人的資本に合わせる
著名投資家の成功譚は集中投資が多く、背後には高い人的資本(高収入・再起可能性)があることが少なくありません。
入金力が弱い投資家が同じリスクを取ると、失敗時に立て直しが難しく、冷静さを失いがちです。名古町さんの選択は逆方向でした。
- 銘柄は200超まで広げ、1銘柄あたりの金額を“眠れる水準”に固定。
- 市場全体の上昇益を取りこぼさないよう、現金は薄めに保ち“ほぼ常時フルポジ”。
- 新規投資は「売却候補リスト(伸び切り・魅力度低下)」と「買いたい候補リスト(価格到達待ち)」を使って入れ替える。
この“ルール化”により、感情の振れ幅を投資から切り離しています。
株価はノイズ、企業価値は実体:暴落耐性の根っこ
株価はニュース・金利・政治に振られますが、企業が持つ「稼ぐ力」そのものは一夜で10%減るわけではありません。
短期の上下はノイズと捉え、決算・財務・事業ポジショニングを愚直に追う。超分散で“個別の不確実性”を薄めておくからこそ、この姿勢を維持できます。
日本株のバリュエーション:時代は巡るという仮説
30年前の入門書には「日本株のPER・PBRが米国より高いのはなぜ?」という問いが平然と載っていました。
今は真逆の空気です。著者は「時代は巡る」と見ています。
現状の日経平均PERはおおむね19倍前後、バブル期の60倍と比べれば常識的な範囲。
米国S&P500が高バリュエーションを許容されやすい今の常識も、永遠ではないかもしれない――だからこそ、日本の知られざる好企業に“発見余地”があるとします。
超分散のメリットとトレードオフ
超分散の長所は、個別の悪材料リスクを抑え、精神的安定を得やすいことです。
短所は、集中投資に比べてリターンの“爆発力”が落ち、上昇相場で指数に劣後しやすいこと。名古町さんはここを「ほぼフルポジ」「機動的な入れ替え」で補いました。常に市場に触れていれば、複利の効きは最大化されます。
本書を読むべき人
・年収が高くない、入金力が弱いが、それでも資産形成を諦めたくない人。
・決算前に不安で手仕舞いしてしまい、結局リターンを取り逃してきた人。
・集中投資の成功譚に憧れたが、現実の生活リスクと噛み合わないと感じている人。
名古町さんのやり方は、派手さはありませんが“再現性”が高い。長く働く企業の価値に賭け、個別のヒットに依存せず、数と時間で勝つ。その思想が一冊に詰まっています。
まとめ
「価値を見て、眠れるサイズで、数で分散し、時間を味方にする」。
これが“2億円を作った”ポートフォリオの原型でした。大切なのは、集中投資の英雄譚を真似ることではなく、自分の人的資本・生活・メンタルに合う運用設計を選ぶこと。本書は、入金力が弱くても市場に残り続けるための“地に足のついた教科書”です。


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