
本記事は、YouTube動画「投資は才能より教育!素人集団が2週間の研修で億トレーダーに」を基にまとめています。
かつて「投資はセンスや才能が全て」という考えが常識でした。しかし1980年代に実際に行われた実験が、その常識を覆しました。たった2週間の研修で集められた素人が、最終的に1億5000万ドル(当時の為替で約150億円)を稼ぎ出したのです。その集団は「タートルズ」と呼ばれ、投資の世界に大きな衝撃を与えました。
タートルズ誕生の背景
伝説のトレーダー「リチャード・デニス」と、その理論派パートナー「ウィリアム・エックハート」が、「トレードは才能か教育か」という論争を繰り広げたことが始まりです。
- エックハート:デニスは天才だから成功できる。教育では再現できない
- デニス:いや、トレードはルール次第で教育可能だ
この議論を決着させるため、新聞広告で「経験不問」の募集を出し、投資未経験者を含むさまざまな人材を集め、2週間の集中研修を行いました。これが「タートルズ」です。
タートルズのトレード手法:シンプルなトレンドフォロー
彼らが学んだのは「トレンドフォロー戦略(順張り)」でした。
- 買いのルール:株や先物が「過去55日の高値を更新」したら買い
- 売りのルール:価格が「過去55日の安値を更新」したら売り
つまり「安く買って高く売る」ではなく「高く買ってもっと高く売る」。逆に下落時は「さらに売ってもっと安く買い戻す」スタイルです。
さらに特徴的なのは以下の点です。
- ニュースやファンダメンタルズ分析は一切使わない
- テクニカルのルールのみで売買
- 損切りラインやポジションサイズも厳格に設定
特に強調されたのが「ルールを守ること」。天才的な閃きや想像力は不要で、決められたルールを守り続ける一貫性こそが成功の鍵でした。
勝率10%でも勝てる仕組み
タートルズの戦略は「小さな負けを繰り返し、大きな勝ちで取り返す」仕組みです。
- 10回取引して9回は損しても、1回の大勝で全てを覆す
- 大谷翔平選手のバッティングに例えると「8試合ホームランが出なくても同じフォームを続ける」ことが大切
一貫性を崩さなければ、確率の積み重ねで最終的にはプラスになるという考え方です。
ボラティリティ(N)とポジション管理
タートルズの最大の特徴の一つが「N」という指標です。
- **N=ボラティリティ(値動きの大きさ)**を数値化
- 「今日は1.5N上昇した」など、ドルや円ではなくNで会話
- Nが大きければポジションを小さく、Nが小さければ大きく取る
この仕組みにより、素人でもリスクを取りすぎず、銘柄ごとの値動きに応じた適切な投資が可能になりました。
師匠リチャード・デニスの失敗
驚くべきことに、タートルズの師匠であるリチャード・デニス本人は1988年に月間リターンでマイナス55%という大損失を出しています。
- タートルズ(弟子たち):ルール通りに運用 → 損失はマイナス10%程度
- デニス本人:ルールを守らず過剰なリスクを取り大失敗
これは「どんな天才でもルールを破れば破滅する」という強烈な教訓を残しました。
タートルズ解散とその後
タートルズは最終的に解散しましたが、その後も各メンバーは学んだノウハウを活かして独立。しかし、同じ教育を受けても成功する人とそうでない人に分かれました。ここからも「ルールを守る一貫性」が最も重要であることが証明されました。
投資家への教訓
タートルズの物語から学べるポイントは次の通りです。
- 投資は才能ではなく教育で身につく
- ルールを守り、一貫性を維持することが最重要
- 勝率よりもリスクリワード(大きな利益)を重視
- ボラティリティに応じたポジション管理が有効
- 感情ではなく合理性で行動することが投資成功の鍵
まとめ
タートルズの実験は、「投資は才能より教育」という事実を証明しました。ルールに従えば素人でもプロに匹敵する成果を出せる一方、どんな天才でもルールを破れば失敗します。
これは短期トレードに限らず、長期投資やインデックス投資でも同じです。積立をやめずに続ける一貫性こそが、最終的に大きなリターンをもたらすのです。
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